史上最大規模のIPO(新規株式公開)となったSpaceX(SPCX)の初値は、公募価格の135.00ドルを11%上回る150.00ドルだった。株価は一時176.52ドルまで上昇したが、午後の取引では値を下げ、公募価格を19.2%上回る160.95ドルで取引を終えた。
無事上場を果たしたものの、今後のSpaceXには課題もある。投資家は株価が妥当なのか、またIPO以前の株主による売り圧力に耐えられるのかを見極めようとするだろう。この売却圧力は、時間が経つにつれて公開時の売出し量をはるかに上回るものとなる可能性が高い。
史上最大のIPO
6月12日、SpaceXは1株あたり135ドルで5億5560万株を売り出し、史上最大規模となる750億ドルを調達した。引受会社は、さらに8300万株を購入できる30日間のオプション権を付与されている。
以下は、公開初日の同社の株価推移を示している。
SpaceXは、異例のIPOの仕組みを構築して、株価の変動を抑え、初日の株価を135ドル以上に維持しようとしたと見られている。
同社は当初、応募が殺到した中で最大30%を個人投資家に割り当てたが、これは異例の高い比率である。また、浮動株数が少なく、段階的なロックアップ期間があるため、市場に出回る株式数はさらに制限されている。報道によると、11日にはその個人投資家向け割当が、公募株の20%近くまで大幅に削減されたという。
上場を終えた同社は、高い期待を寄せる市場に応えていかなければならない。IPOは1株135ドル、企業価値は1兆7700億ドルと設定されたが、モーニングスターのエクイティ・リサーチは、SpaceXの企業価値を7800億ドル、つまり1株あたり63ドルと推計している。
「初期浮動株数が限られる中で、ほぼ世界中の投資銀行が支援するIPOが実施され、投資家の旺盛な需要がAIインフラ関連投資に向かっている。さらにIPOから15営業日でNASDAQ100指数に組み入れとなる。こうしたの前例のない経緯を踏まえると、SpaceXの株価は公開後も持ちこたえ、少なくとも当面は好調に推移する可能性が高いと考えている」と、モーニングスターのエクイティ・アナリスト、ニコラス・オーウェンズは6月12日のレポートで述べている。
決算が最初の試金石となる
同社の市場での成否を占う最初の試金石となるのは、上場後初の決算発表だろう。第2四半期決算の発表日はまだ公表されていないが、7月下旬から8月上旬になる見込みである。
オーウェンズは、主にスターリンクの加入者数増加率と、スターシップの研究開発費をどの程度開示するかに注目すると述べている。「スターリンクは、現時点で同社にとって最大の収益源となっている」とオーウェンズは指摘する。一方、研究開発費の開示はスターシップが商用化されるまでにSpaceXがどれだけの費用を投じる必要があるかを示す指標となるだろう。
これらと並行して、SpaceXとTesla(TSLA)との合併の可能性について、今後も様々な憶測が飛び交うだろう。モーニングスターの株式アナリスト、セス・ゴールドスタインは、この合併には「確固たるビジネス上の根拠」があるとしながらも、その過程で複数の障害が生じる可能性もあると述べている。その一つが、Teslaの株主を納得させることである。
この夏から、大株主が売却する株式が続々と市場に流入
公開後初の決算発表から2日後、IPO以前からの初期株主が保有する大量の株式が売却可能となる。6月3日付のSpaceXによる2回目のS-1届出書によると、制限付株式の保有者は、発行済み株式の7%相当の株式を売却する権利を有している。「これはIPOの規模を上回るものだ」とオーウェンズは指摘している。
その後、初期株主が保有する株式がさらに市場に放出されることになる。創業者イーロン・マスク氏が保有する発行済み株式の50%を含め、初期株主が保有するすべての株式は、2027年7月までの間に段階的に一般投資家へ売却可能となる。
そのため、SpaceX株式にとっての潜在的な逆風は、希少性ではなく希薄化である。一方で、オーウェンズ氏は、インデックスファンドがその要因を相殺する可能性を挙げている。インデックスファンドは「浮動株比率に応じて構成比率を調整し、浮動株数の増加に伴い、配分比率を高めていく」からだ。
それでもなお、彼は次のように付け加えている。「SpaceXの投資家は、2027年、インサイダーによる売却によって株式の供給量が大幅に増加する可能性が非常に高いことを認識しておくべきである。そのため、市場における需要の継続的な水準次第で、SpaceX株式のボラティリティが高まる可能性がある」。 ◇
※ 本稿はモーニングスターの「SpaceX Jumps 19% In Debut, but Hurdles Lie Ahead」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。


