SpaceXの急騰続く バリュエーションは「成層圏」水準に

IPO価格から50%上昇し、売上規模を大きく上回る株価水準、今後の成長が焦点。

建物に掲げられたSpaceXのロゴの全体像です。
AaronP/Bauer-Griffin/GC 通じて Getty

SpaceX(SPCX)は、上場後も上昇基調を保ち、財務指標に対するバリュエーションはさらに高水準に拡大している。6月16日の株価上昇は、同社が600億ドル規模の新株式発行を通じてAIコーディングプラットフォーム「Cursor」を買収するためのオプションを行使すると発表したことが背景にある。

上場3日目、SpaceXの株価は前日比約5%の上昇となり、1株あたり201.68ドルで取引を終えた。これは、IPO価格の135ドルを約50%上回り、金曜日の初値150ドルからも35%上昇している。その結果、SpaceXは米国市場で時価総額第6位の上場企業となった。また、モーニングスターの調査対象企業の中で、Bloom Energy(BE)に次いで「最も割高」な企業でもある。

売上高やファンダメンタルズの観点から、モーニングスターのアナリストは、SpaceXは株価や時価総額の高さに見合う段階に達していないと指摘している。さらに、7月下旬から8月上旬に予定されている同社のIPO後初の決算発表後、IPO以前からの初期投資家は発行済み株式の7%相当の株式を自由に売却できるようになるが、これはIPO時の株式数よりも多いことにも留意すべきだろう。

IPOするや否やSpaceXは、上場企業の中で最大規模の企業に躍り出た。IPO時点でのSpaceXの時価総額は1兆7,700億ドルの評価となり、イーロン・マスク氏が率いるもう一つの上場企業Tesla(TSLA)を上回り、半導体大手のBroadcom(AVGO)に次ぐ規模となった。15日と16日の株価上昇により、SpaceXは規模の面でAmazon(AMZN)の時価総額に迫る勢いを見せた。16日の株価急騰により、SpaceXの時価総額は約2兆6,400億ドルに達した。

SpaceXは技術開発に重点を置いており、Cursor買収により、その傾向はさらに強まると見られるが、収益面では、現在の売上高の大半はスターリンク衛星サービスによるものである。モーニングスターのアナリスト、ニコラス・オーウェンズは、今後のSpaceXの成長は、再利用可能なスターシップロケットの成功と、軌道上データセンターの商用化次第であろうと指摘している。

SpaceXは巨大な時価総額を誇ることになったが、創業24年の同社の収益は、超大型の同業他社に比べるとはるかに少ない。決算報告ベースではSpaceXの2025年の収益は187億ドルであったが、オーウェンズは、2026年には368億ドルに達すると予測している。しかし、この拡大をもってしても、SpaceXの収益はMicron Technology(MU)の2025年の売上高にようやく並ぶ程度に過ぎない。一方、アマゾンの昨年の収益は、その19倍以上である。

SpaceXの企業価値と収益は、同社の株式が極めて高い評価倍率で取引されていることを示している。SpaceXは黒字化していないため、利益に基づくバリュエーション倍率の算出はできない状態にある。2025年の収益に基づくと、SpaceXのPSR(株価売上高倍率)は概算で141倍となる。オーウェンズの2026年の予測値を用いても、同社のPSRは約78倍となり、これは同グループ内で最も株価が高いBroadcomの3倍以上、Amazonの約26倍に相当する。

オーウェンズは、SpaceX株式の適正価値(フェアバリュー)推計値を1株あたり62ドルと評価している。これは、Cursorとの買収案件を織り込んだことで、IPO時の63ドルからわずかに引き下げられた。その結果、株価/適正価値(P/FV)倍率は3.2となり、SpaceX株式はモーニングスターが調査対象とする全企業の中で2番目に割高な企業になっている(1位は比率が3.9のBloom Energy)。◇

※ 本稿はモーニングスターの「SpaceX Rally Continues, Expanding Sky-High Valuations」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

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著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針