バンガードは、「バンガード・ディビデンド・グロース」VDIGXを含む、ウェリントンがサブアドバイザーとして運用している同社で最も有名な複数の株式ファンドをアクティブ・ファンダメンタルETF(上場投資信託)として新たに3本提供すると発表した。
この新規ETFは、バンガードにとってボトムアップ戦略の株式運用を行う初のETFであり、同社の最大かつ最も古くからのサブアドバイザーであるウェリントン・マネジメントにとっても初めての試みとなる。
バンガードのこの発表の背景には、資産運用業界でアクティブ・ファンドからの資金流出が続いている現状がある。投資家はこの10年にわたって、投資信託よりコストが低く税効率に優れたETFへの資金シフトを進めている。
今回のバンガードの動きは、バンガードとその顧客である投資家、いずれにとっても利点がある。投資家は手数料の削減と、より税効率の良い投資が可能になる。既存のアクティブファンドと他の条件が同じであれば、コストと税効率の面でメリットがあるETFは、長期的なパフォーマンスで勝るはずだ。同じ理由から、バンガードはより魅力的で販売しやすい投資商品を提供できるというメリットがある。
前述のとおり、3つのETFは全く新しいものというわけではない。いずれも、現在バンガードがミチュアル・ファンドとして提供しているウェリントンによる投資戦略の一部を活用するものである。
「バンガード・ウエリントン・ディビデンド・グロース・アクティブETF」 (VDIG)は、いちばんはっきりと既存のミューチュアル・ファンドとの関連がわかるものだ。運用責任者であるウェリントンのピーター・フィッシャー氏は、既存の「バンガード・ディビデンド・グロース・ファンド」や「バンガード・アドバンス・セレクト・ディビデンド・グロース・ファンド」VADGXで採用しているのと同様のプロセスで新規ETFの運用を行うと予想される。
「バンガード・ウェリントン・U.S.グロース・アクティブETF」(VUSG)については、共同で運用を担当するマイケル・マスディア氏とブライアン・バルベッタ氏が「バンガード・グローバル株式ファンド」VHGEXのウェリントン担当部分と同様のアプローチで運用するとみられる。ただし新規ETFでは、投資対象は米国株式に限定する。
最後に「バンガード・ウエリントン・U.S.バリュー・アクティブETF」 VUSVでは、デビッド・パーマー氏が「バンガード・ウインザー・ファンド」VWNDXのウェリントン運用部分で採用しているのと同様の運用プロセスを用いてファンドを率いると考えられる。
これら3本の新規ETFは、いずれも従来のバンガードと同様の(抑制された)手数料設定となる。「バンガード・ウェリントン・U.S.グロース・アクティブETF」と「バンガード・ウエリントン・U.S.バリュー・アクティブETF」の予想経費率(下表TERおよびTERカテゴリーパーセンタイル参照)は、それぞれモーニングスターの大型グロースと大型バリューのカテゴリーにおける最安の10分位近辺の水準である。「バンガード・ディビデンド・グロース・ファンド」 の経費率は、同様に大型ブレンド・カテゴリの最安の四分位からほんのわずかに高い方へズレているだけだ。
バンガードの新しいETF
アクティブ運用のETF自体は、バンガードにとって目新しいものではない。同社内のクオンツ株式グループは、米国とカナダでルールベースの株式ETFのいくつかのラインナップを運用してきた。また、ここ数年、アクティブ運用の債券型ETFの取り組みも強化してきた。しかし、これらは同社の事業の中で大きな部分を占めるものではない。ETF-of-ETFを除くと、2025年7月末現在、バンガードのアクティブ運用ETFの残高は約150億ドルであり、同社がグローバルに運用する10兆ドルの資産の中ではごく一部にすぎない。
バンガードのアクティブETF資産
ETF市場は非常に厳しい競争にさらされている。バンガードのように有利な立場の運用会社でさえも、単にETFを提供するだけでは確かな成功は望めない。多くの競合他社がアクティブETFに挑戦してきたが、今までに成功した例はほとんどない。
これらの新しいETFにとって、販売戦略、運用プロセス、マネジャーの選定は非常に重要だ。より多くの運用会社がファンドのETF化に参入し、手数料が下がり続ければ、これらの戦略や特性によってETFにおいても独自の存在感を示すことがより重要になるだろう。◇
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

