新時代を迎えるVanguard、次の50年も勝ち続けられるか?

CEO交代、組織再編、アクティブETF――8つの問いで見る「Vanguardは変わる?変わらない?」

Vanguard Is Entering a New Era. Can It Keep Winning for Another 50 Years?
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投資家から絶大な支持を受けてきたThe Vanguard Groupは、数百万人の一般投資家を顧客としている。競合他社であるBlackRockから移籍し、2024年にVanguardのCEOに就任したサリム・ラムジ氏は、Vanguardのミッションを堅持しつつも、同社の進む道の鍵を握っている。同社は新たなリーダーシップの下で進化を続けており、アドバイス業務の強化や新規ファンドの立ち上げに取り組んでいる。

今回『インベスティング・インサイト』に招いたダン・ソティロフは、モーニングスターで米国パッシブ運用戦略を担当するリサーチ部門のアソシエイト・ディレクターで、Vanguardの分析を手がけている。

創業から50年、Vanguardは次の50年も、その成功に比肩する未来を切り開けるだろうか?

Vanguardに関する2026年の8つの質問

質問1. サリム・ラムジ氏がVanguardのCEOに就任してから、まもなく2年が経とうとしている。就任以来、彼は同社の方向性にどんな影響を与えてきたのか?

――ラムジ氏は意欲的に様々な取り組みをしているが、それらは非常にVanguard的な改革であり、期待されていたものも、思いがけないものも、いずれも上首尾に進んでいると思う。手数料引き下げや、新ファンドの設定なども着々と進めている。現時点で皆が気にしているのはプライベート資産についてであろうが、その点については多くは明かされていないので、引き続き注視したい。現時点では1~5で評価するなら、Vanguardは最上の5の評価である。

質問2. 現在進んでいる大きな変化の一つは、同社を「Vanguard Capital Management」と「Vanguard Portfolio Management」という2つの投資顧問会社に分割することである。各部門の役割と、責任者はどうなっているのか?

――答えは次のセクションで掲載。

質問3. なぜ50周年を迎えた今、このような分割を行うのか?これは、一般投資家にとってどんなメリットがあるのか?

――分割に至る詳細は明らかではないが、莫大な運用資金量をどうマネジメントするかという機能的な問題が大きいとわれわれは考えている。同様に運用資産規模が大きい他の運用会社でも過去に同様の例があるからだ。

もちろん、分割によってすべての課題が解決するわけではないし、一部の規制当局は、Vanguardのファンド全体や特定の論点について今後も監督を続けるとみられる。それは総額で12兆ドルにおよぶ極めて巨大なVanguardの運用資産によるものだ。とはいえ、実際に何故運用会社の分割を選択したのかは、定かではない。後述するが、私は、個人投資家にはこの分割がデメリットとなる懸念はないと考えている。

質問4. VanguardはSEC(米国証券取引委員会)から調査・是正処置を受けている。その理由を説明してもらえるか?また、Vanguardに対して提起された問題は、同社の「投資家第一」という評判を損なったのか?

――以下5とまとめて回答。

質問5. SECによる罰金処分を受けて、法務部門では幹部が刷新され、ラムジ氏は、連邦検察官の経歴を持つ新たな最高法務責任者を迎え入れた。これについてどう考えるか?

――おそらく2025年8月終盤の出来事を指していると思うが、アドバイザーなどのサービスにおける手数料の利益相反についての情報開示における不備 の問題である。SECのプレスリリースによると、アドバイザーは2020年8月から2023年12月の間に、顧客にサービスへの加入と加入継続を勧めるようインセンティブを与えられていたが、その点に関する十分に一貫した開示が無かったという。

Vanguardは、その行為に対して1950万ドルの制裁金を科せられた。これはアドバイザーサービスに付き物の実に基本的な利益相反事例であり、どのアドバイザーにも顧客を開拓したり維持したりするためのインセンティブは存在しうるが、この場合はVanguardの不用意なミスのように見える。確かに彼らは間違いを犯したが、それは常習的なものでも、意図的な規制回避や不正行為でもなく、法務部門の刷新など、改善にしっかり取り組んでいる点を評価したい。良いことでは無かったが、われわれもここから学ぶことはあった。

質問6. Vanguardは、投資信託におけるETF(上場投資信託)型のシェアクラス導入の先駆者である。当初はインデックスファンドから始まったが、現在この仕組みはアクティブ運用型のファンドにも適用範囲を拡大している。この構造の利点は何か?アクティブファンドにも、そのメリットは同様に機能するのか?

――回答は下記引用に掲載。

質問7. Vanguardは最近、3つの新しいアクティブ型株式ETFを発売した。それらの特色と、一般投資家が知っておくべきことは何か?

――「Vanguard Wellington US Value Active ETF」(VUSV)、「Vanguard Wellington US Growth Active ETF」(VUSG)、「Vanguard Wellington Dividend Growth Active ETF」(VDIG)の3本だが、概してVanguardは良識ある選択をしたと思う。

いい加減な覚悟でETF設定はできない。何もかもが既に存在する厳しい競争環境に乗り出し、投資家の視線を捉えるためには、全力で取り組む必要がある。そのための極めて「Vanguard的」な、非常に低コストな商品を提供するという手法でアクティブETFに挑んでいる。またVanguard設立当初から培ってきたWellingtonとの関係を最大限活用したことも、有利に働くだろう。ボーグル氏はVanguardを設立する以前はWellingtonのCEOを務めていた。

Wellingtonは非常に評価の高い資産運用会社でもある。長期投資の視点で運用商品を設計し、コスト効率の良い、回転売買率を抑えた運用を行う様々なファンドの実績がある。ある意味でVanguardのポリシーによく適合する「投資家に寄り添う」タイプの運用である。

質問8. これらのETFを、モーニングスターのアナリストが調査対象に加えるのはいつ頃になるのか?

――もちろんそれらのファンドをカバーしていくし、トッド・トルービーと私が担当して、すでに2月に運用担当者と対話も始めている。実際は、以前から他のミューチュアル・ファンドの担当者として調査対象となっていて見知っている担当者も居る。現在は運用の中身を見て判断できるよう、ファンドのトラックレコードを待っている段階である。資産が積み上がり、投資家の反応が表れるまでということもあり、いずれにせよ、時間の問題である。

アクティブ型ファンドのETFシェアクラス承認についてのソティロフのコメント

すべては節税効果の問題である。ETFは周知の通り、投資家が実際にファンドを売却するまでキャピタルゲインの課税を繰延べられるという点で、(ミューチュアル・ファンドより)はるかに税効果が高い。それが、現在Vanguardや他の多くの資産運用会社にとって大きな魅力となっている。多くの個人投資家がミューチュアル・ファンドから資金を引き揚げる局面では、それが残存する投資家に対する多額のキャピタルゲイン分配金につながることがある。ETFは、こうした状況への対応において非常に優れており、それは、インデックス型ETFでも、アクティブ型ETFでも同じように機能する。その仕組みはETFの構造に組み込まれており、適切に運用されている限りその利点は有効だ。VanguardはETFの運用方法を熟知しているので、その点については何の懸念もない。

モーニングスター、米国パッシブ運用戦略リサーチ担当アソシエイト・ディレクター、ダン・ソティロフ

Vanguardの分割後も体制は変わらない

Vanguardは、2つの投資顧問部門、「Vanguard Capital Management」と「Vanguard Portfolio Management」に分割される。ソティロフによると、より規模の大きい「Capital Management」は、Vanguardの預かり資産の70~80%を受け持ち、債券ファンド、幅広いインデックス・ファンド、そして多くの人が年金口座で保有するターゲットデート型ファンドのようなパッシブ型マルチアセットファンドの運用を行うという。各部門のCIOは、グローバル株式部門をロドニー・コメギス氏、グローバル債券部門をサラ・デヴルー氏が務めている。

一方、「Portfolio Management」は、アクティブ運用型ファンドと投資対象がスタイル別などより絞られたインデックス・ファンド、Wellingtonのようなアクティブ型のマルチアセットファンドを管轄する。同部門のCIOは元株式クオンツ運用のヘッドだったジョン・アメリクス氏が務め、引き続きクオンツおよびストラテジック・エクイティ部門を率いる。

この分割について疑念を示す風評もあるが、ソティロフは、今回の分割は形式的なものに過ぎないため、懸念はしていないと述べている。各部門は分割前と同等のリソース、同等の業務体制、同等の運用プロセスを有し、各部門の責任者はグローバルCIOのグレッグ・デイビス氏に報告することになる。◇

<参考>その他バンガードについての情報

● Vanguard Capital Managementのデヴルー氏がポッドキャスト『The Long View』に出演し、債券がいまだにポートフォリオの安定剤としての役割を果たしている理由や、債券市場の展望について語った。

● モーニングスターのダン・カロトンが偶然にもパフォーマンスの高いバンガードのファンドを発見した経緯について。

● 長期保有を志向する投資家は、高評価のバンガードETFや投資信託が参考となるだろう。

● 『Investing Insights』では、相場が荒れた際にポートフォリオを安定させる可能性のある8つのファンドについて解説している。

本稿で言及された証券

バンガード・ウェリントン・USバリュー・アクティブETF(VUSV

バンガード・ウェリントン・US・グロース・アクティブETF(VUSG

VDIG ヴァンガード・ウェリントン・配当金グロース・アクティブETFVDIG

※ 本稿はビデオ「Vanguard Is Entering a New Era. Can It Keep Winning for Another 50 Years?」掲載頁の解説をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針