インデックス・ファンドだけで十分ですか?

データが示すアクティブ運用の現実

Illustration of investor pointing at a network of colorful data point spheres

「長期投資ならインデックス・ファンドが有利」

このように聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

近年、インデックス・ファンドへの資金流入が続いています。低コストで投資ができる株式のインデックス・ファンドは、多くの長期投資家にとって優れた選択肢です。しかし、「インデックス・ファンドなら常に正解」というほど、投資は単純ではありません。

モーニングスターでは、アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドのパフォーマンスを定期的に調査し、その結果を公表しています。この記事では、日本における最新の調査結果を紹介します。

今回の調査結果から見えてきたのは、全体的には長期ではアクティブ運用が苦戦している一方、資産クラスやカテゴリーによっては、アクティブ運用が力を発揮していることでした。

投資家が考えるべきは、「アクティブかインデックスか」という二択ではなく、「どこでアクティブを使うのか」「どのアクティブを選ぶのか」です。

株式ではアクティブ運用は簡単ではない

まず、株式で運用を行うアクティブ・ファンドは、インデックス・ファンドを上回るのは難しいという現実が見えてきます。株式型ファンドにおいて、過去10年間で償還されず、かつインデックス・ファンドの平均を上回ったアクティブ・ファンドは16.9%でした。(※)

特に厳しかったのが先進国の株式型カテゴリーです。米国や世界の先進国の株式市場には、世界中の投資家やアナリストが多く参加しています。企業情報は瞬時に共有され、多くの市場参加者が同じ情報を分析しています。その結果、割安な企業や有望な銘柄を見つけて投資し、継続的に市場を上回る運用実績を上げることは容易ではありません。

ただし、この結果だけで安易に判断してはいけません。これはアクティブ運用の意味がない、ということを示しているわけではありません。実際に、長期でインデックス・ファンドを上回ったアクティブ・ファンドは存在しています。問題は「アクティブが不要かどうか」ではなく、「どのアクティブを選ぶか」です。

(※)それぞれのカテゴリー内で、インデックス・ファンドの資産加重平均リターンを上回ったアクティブ・ファンドの本数に基づき計算しています。直接投資ができないインデックスとの比較ではなく、投資家が投資できるインデックス・ファンドとの比較を行っています。

株式型ファンド – カテゴリー別アクティブ・ファンド勝率(%)

カテゴリー
1年
3年
5年
10年
株式全体31.734.430.116.9
国内株式
国内株式・大型ブレンド型57.148.430.423.1
国内株式・大型成長型5.37.63.62.3
国内株式・大型割安型73.250.016.734.2
国内株式・中小型成長型9.479.182.6-
国内株式・中小型割安型74.265.546.9-
先進国株式
外国株式・世界型22.612.98.6-
外国株式・世界型(除く日本)26.524.210.312.9
外国株式・米国型27.122.69.516.3
外国株式・米国型(円ヘッジ)18.220.611.842.1
新興国株式
外国株式・新興国型・グローバル38.522.920.514.0
外国株式・中国圏型32.120.68.311.9
セクター株式
株式・セクター型・ヘルスケア48.572.775.9-
株式・セクター型・テクノロジー17.931.372.4-
出所: Morningstar Direct, 2026年6月末基準. 日本籍の公募追加型株式投資信託およびETFを対象, ただし確定拠出年金専用またはSMA・ファンドラップ専用ファンドを除く.

常にインデックス・ファンドが正解とは限らない

株式でアクティブ運用が苦戦した一方、債券では状況が大きく変わりました。10年の勝率は30%を超え、償還ファンドの影響を除けば50%超という結果です。

債券市場では、金利の変化が投資成果を左右します。インデックス・ファンドは市場構成に沿って機械的に運用されますが、アクティブ・ファンドは金利の方向性を予想して投資対象の債券を調整することができます。近年のように金利環境が大きく変化する局面では、この柔軟性が強みとなることがあります。例えば、金利上昇局面にあると判断すれば、満期までの期間が比較的短い債券に多く投資することで、金利上昇による損失を抑えることができます。実際、日本の債券カテゴリーでは、アクティブ運用が比較的高い勝率を示しました。為替ヘッジを行う外国債券カテゴリーでも同様の傾向が見られます。

ただし、債券ならアクティブ運用が有利、と単純に結論づけることもできません。債券アクティブ運用の強みは金利変化への対応力にあります。しかし、為替ヘッジを行わない外国債券では、金利だけでなく為替も運用成果を大きく左右します。外国債券のカテゴリーでは、為替ヘッジの有無によって結果が大きく異なりました。為替ヘッジを行わない場合は、金利よりも為替の変動のほうがリターンに与える影響が大きくなることがあります。為替の方向性を継続的に予想することは容易ではなく、そのことがアクティブ運用の難易度を高めていると考えられます。

債券型ファンド – カテゴリー別アクティブ・ファンド勝率(%)

カテゴリー
1年
3年
5年
10年
国内債券
国内債券・中長期型78.773.252.857.6
先進国債券
外国債券・世界型(除く日本)39.231.330.220.0
外国債券・世界型 (除く日本、円ヘッジ)84.472.253.656.0
外国債券・米国型46.340.650.0-
外国債券・米国型(円ヘッジ)55.082.477.8-
新興国債券
外国債券・新興国型・ グローバル(現地通貨建て)47.818.227.817.1
外国債券・新興国型・ グローバル(円ヘッジ)46.731.843.5-
出所: Morningstar Direct, 2026年6月末基準. 日本籍の公募追加型株式投資信託およびETFを対象, ただし確定拠出年金専用またはSMA・ファンドラップ専用ファンドを除く.

実は株式でもカテゴリーによって景色は違う

株式の中でも同じことが言えます。中小型株式市場では、大型株式市場ほど多くのアナリストや機関投資家が企業を分析しているわけではありません。そのため、企業との面談や独自の調査によって、アクティブ運用者が付加価値を生み出せる余地が相対的に大きい市場と考えられています。今回の調査でも、中小型株カテゴリーではアクティブ運用が比較的良好な結果を残しました。

なお、中小型株式を含め、カテゴリーによってはインデックス・ファンドの選択肢そのものが限定的であるという点も理解する必要があります。例えば、日本の割安株式カテゴリーでは、インデックス・ファンドの中では配当利回りに着目した指数に連動するものが中心であり、割安株式市場全体を幅広く表すような指数に連動する商品は多くありません。そのため、高配当株式が相対的に不利となる市場環境では、インデックス・ファンドが必ずしも有利とは限りません。

足元の成績だけで判断しない

投資家が陥りやすい落とし穴の一つが、直近のパフォーマンスだけを見て判断してしまうことです。カテゴリーによっては短期と長期で結果が大きく異なっています。

近年は、AI関連企業や大型テクノロジー企業が市場上昇をけん引したことも、アクティブ運用には逆風となりました。このような環境下では、インデックス・ファンドは、株価が上昇した企業の比率が自動的に高まります。一方で、多くのアクティブ・ファンドは、値上がりした株式を買い増すような投資行動はとりません。これはリスク管理の観点や、投資哲学に沿って運用を行うためです。その結果、少数の勝ち組企業が市場全体を押し上げる局面では相対的に不利になりやすい傾向があります。

しかし、ある時期に有利だったものが、次の局面でも有利とは限りません。直近1年や3年の短期的な実績だけで「アクティブは不要」「インデックスが絶対に有利」と結論づけるのは危険です。

本当に重要なのは「どう選ぶか」

今回の調査が示しているのは、アクティブ運用で成功することが簡単ではないという事実です。一方で、資産クラスやカテゴリーによっては、アクティブ運用が十分に価値を発揮していることも分かりました。

特に株式のインデックス・ファンドは、多くの長期投資家にとって優れた選択肢です。しかし、それはアクティブ・ファンドが不要であることを意味しません。

重要なことは、「アクティブかインデックスか」を決めることではなく、それぞれの運用手法の特徴を理解し、資産クラスや投資目的に応じて使い分けることです。

そしてアクティブ・ファンドを選ぶのであれば、運用チームや投資プロセス、運用会社の質まで踏み込んで評価することが欠かせません。モーニングスターでは、ファンド・マネージャーへのインタビューや運用プロセスの分析を通じてこれらを総合的に評価し、メダリスト・レーティングを付与しています。アクティブ・ファンド選びに悩んだときは、過去の運用実績だけでなく、このような定性的な評価にも目を向けてみてはいかがでしょうか。◇

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針