アクティブ・ファンドとインデックス・ファンド、どちらを選ぶべき?

データから見る投資戦略のヒント

A decorative image used to represent the theme of the contnet, the Active-Passive Baromter Report.

近年、低コストのインデックス・ファンドが個人投資家の間で人気を集めています。一方で、運用のプロが銘柄を厳選するアクティブ・ファンドも数多く存在し、投資家にとっては選択肢が豊富です。「コストが安いからインデックス・ファンドが有利」と単純に判断できるわけではありません。アクティブ・ファンドが高いコストを上回るリターンを生み出せば、結果的に投資家にとってより良い選択となる可能性があるからです。

では、実際のところ、どちらのタイプのファンドがより優れたパフォーマンスを発揮しているのでしょうか。モーニングスターの「アクティブ・パッシブ・バロメーター」の最新レポート(2025年6月末基準)の結果をもとに解説します。

レポートはこちらからダウンロードできます。

アクティブ・ファンドの「勝ち」を定義する

「アクティブ・パッシブ・バロメーター」では、アクティブ・ファンドを指数(インデックス)自体と比較するのではなく、指数に連動するインデックス・ファンドの平均と比較をして、その平均を上回った割合を「勝ち」として勝率を求めています。コストが考慮されていない指数ではなく、実際に投資家が投資可能なインデックス・ファンドと比較する、つまり、運用費用を含めた実質的なパフォーマンスの比較しています。

資産クラス・カテゴリ別の違い

日本株式: アクティブファンドに一定の可能性

国内株式では、アクティブ・ファンドが健闘しています。特に国内株式・大型ブレンド型の1年間の勝率は65%に達し、前年から約25ポイントも上昇しました。これは、アクティブ・ファンドが中小型株を多く組み入れる傾向があり、過去1年間で中小型株のパフォーマンスが良好だったことが要因です。

10年という長期で見ても、償還ファンドの影響を除けば勝率は40%超となります。日本株式については、比較的優れたアクティブ・ファンドを探しやすいと言えるでしょう。

アクティブ・ファンドの勝率(日本株式・%)

カテゴリ
1年
3年
5年
10年
15年
国内株式・大型ブレンド型65.531.629.522.024.0
国内株式・大型成長型39.730.823.523.219.2
国内株式・大型割安型82.628.910.0--
国内株式・中小型成長型13.053.771.9--
国内株式・中小型割安型63.044.026.9--

米国・世界株式: インデックス・ファンドが優位

一方、米国株式や世界株式では状況が異なります。5年および10年の勝率は概ね20〜30%を下回っており、アクティブ・ファンドにとって厳しい結果となっています。これは先進国株式市場の効率性と競争の激しさを反映しています。

さらに、日本の運用会社が運用する米国株式や世界株式のアクティブ・ファンドは、海外の運用会社に再委託することが多く、運用費用が割高になる傾向があります。この点も勝率の低さにつながっています。

アクティブ・ファンドの勝率(米国・世界株式・%)

カテゴリ
1年
3年
5年
10年
15年
外国株式・世界型32.418.27.1--
外国株式・世界型(除く日本)38.716.19.713.311.1
外国株式・米国型31.533.720.012.5-
外国株式・米国型(円ヘッジ)30.342.932.3--

債券: アクティブ・ファンドが安定した強み

債券型のアクティブ・ファンドは、株式型と比較して一貫して高い勝率を示しています。1年の勝率は約50%と高水準で、3年、5年でも同様の水準で安定しています。近年の金利変動の高まりが、アクティブ・ファンドにとって有利な環境を生み出していると考えられます。

特に国内債券・中長期型では、全ての期間で高い勝率を維持しています。外国債券では、為替ヘッジありのカテゴリの方が、ヘッジなしと比べて勝率が高い傾向にあります。これは、為替の予測の難しさに起因しています。金利は上昇・下落の局面が一定期間続く傾向があるため、方向性を予測しやすく、アクティブ運用が効果を発揮しやすい特徴があります。しかし、為替ヘッジなしの債券ファンドは、金利よりも為替変動の影響を大きく受けます。為替は金利と比べて変動が激しく、また決定要因も多岐にわたるため、その方向性を予測することは非常に困難です。そのため、アクティブ・ファンドの運用者でも、為替を含めてインデックス・ファンドを上回ることが難しくなるのです。

アクティブ・ファンドの勝率(債券)

カテゴリ
1年
3年
5年
10年
15年
国内債券・中長期型81.873.761.162.575.0
外国債券・世界型(除く日本)30.042.039.316.75.2
外国債券・世界型(除く日本、円ヘッジ)54.571.056.761.9-
外国債券・米国型86.160.647.4--
外国債券・米国型(円ヘッジ)100.085.072.7--

投資家が注意すべきポイント

● 償還リスクを考慮する

日本では株式型ファンドの過去10年の償還率が50%に達しました。日本のファンドは信託期間が有期限のものが多く、運用成績が良好でも償還される場合があります。投資家は自身の投資期間を上回る信託期間を持つファンドを選ぶことが重要です。NISA成長投資枠対象の投資信託は、信託期間が長い傾向があるため、候補として検討する価値があるでしょう。

● コストの影響を理解する

特に米国株式や海外株式のアクティブ・ファンドでは、運用の再委託により費用が高くなりがちです。長期投資では、わずかなコストの差が大きなリターンの差につながります。

資産クラス別アクティブ・ファンドの勝率(10年間)

まとめ: より良いファンド選択のために

データが示すように、多くの資産クラスでインデックス・ファンドが長期の期間では優位性を示しています。勝率が0%ではないので、良いアクティブ・ファンドが存在しないわけではありませんが、特に米国株式や海外先進国株式では、インデックス・ファンドが有力な選択肢となりそうです。

一方で、日本株式や債券では、インデックス・ファンドを上回るリターンを得られる、優れたアクティブ・ファンドを見つけやすい環境にあります。単にコストの低いインデックス・ファンドを選ぶのではなく、アクティブ・ファンドを調べてみる、というのも良いでしょう。特に日本株式の割安株ファンドは、割安株を代表するようなインデックス・ファンドが無いため、アクティブ・ファンドの選択が重要となります。

大切なことは、それぞれの資産クラスの特性を理解し、自分の投資目的や期間に合わせて適切に使い分けることです。アクティブ・ファンドを選ぶ際は、長期の運用実績、償還リスク、運用費用などを総合的に評価し、慎重に判断することをお勧めします。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針