投資信託を選ぶ際、直近の運用実績を見るだけでは将来もその強みが持続するかは判断できません。特にアクティブ投信については、運用実績とともに重要なことは、誰が運用し、どのような投資哲学と規律に基づいて投資の意思決定をしているかです。今回はモーニングスターの定性評価をもとに、長期投資に適した日本株アクティブ運用として注目したい5つの運用戦略を紹介します。
※ 本稿はモーニングスター・ジャパンのマネジャー・リサーチによるレポート「運用戦略ベストコレクション」に基づいた解説です。レポート全文は以下からダウンロードしてお読みいただけます。
2026年上半期の日本株式市場
2026年の日本株式市場は、企業収益の拡大に加え、資本効率の改善に向けた企業改革や株主還元の強化を背景に堅調に推移しました。2026年上半期のMorningstar日本株式指数は17.1%上昇しています。
一方、市場全体が上昇する局面でも、すべての企業が同じように評価されるわけではありません。業績、競争優位性、成長余地、経営陣の資本配分、バリュエーションの差は広がっています。また、AI・半導体関連企業の株式に資金が集中し、株価が一方的に上昇するような環境において、株価が割安に放置される企業も少なくありません。企業調査を通じて個別企業を選別するアクティブ運用にとっては、このような環境は有利に働く可能性があります。
投資スタイルによって、強みを発揮する局面は異なる
日本株のアクティブ戦略は、大きく「割安型」「成長型」「ブレンド型」そして「中小型」に分けて考えることができます。
「割安型」は企業価値や収益力に比べて株価が低い企業に投資機会を見出す戦略で、バリュー投資戦略とも呼ばれます。「成長型」は高い利益成長が期待できる企業に投資を行う戦略で、グロース投資戦略とも呼ばれます。「ブレンド型」は割安・成長などの特定のスタイルに偏らず企業の質を総合的に評価し、それぞれ投資を行います。「中小型」戦略は、時価総額がさほど大きくない企業へ投資を行います。なお、「割安型」の一部ではありますが、企業の配当利回りや配当の持続性・成長性に着目して投資を行う「配当型」もあります。
どのスタイルが常に優れているということではありません。直近数年は「割安型」に属する投信が相対的に良好な運用実績を示してきましたが、2010年代の半ば頃は「中小型」の投信の運用実績が良かったなど、時期によって投資スタイルの優劣は異なります。従って、「これからは成長株がよくなる」などスタイルの動きを予想し、そのスタイルだけから投信を選ぶことは失敗する可能性が高くなります。まずはスタイルをバランスよく組み合わせる、ということを意識すると良いでしょう。
各スタイルの中から投信を選ぶ際に重視すべきは、ファンド名や目論見書に記載されている「運用の特色」などから、そのファンドの投資哲学や投資スタイルを理解し、それに沿った運用が一貫して継続されているか確認することです。「成長型」だと思って選んだ投信が、「割安型」のスタイルに変わっていた、などのケースは要注意です。過去の運用実績だけではスタイルの変化を捉えることは困難です。投信の保有銘柄なども確認する必要があります。モーニングスターの調査では、これらの点に着目して投信評価を行っています。
モーニングスターが確認する3つのポイント
運用体制:経験だけでなく、継続性を見る
主担当ポートフォリオマネジャー(PM)の経験や実績に加え、チーム内の役割分担、社内アナリストとの連携、副担当者の配置、後継者育成まで確認します。優れた個人に依存し過ぎていないか、担当者が変わっても投資哲学を維持できるかが重要です。
運用プロセス:強みが再現できる仕組みか
銘柄をどのように発掘し、企業価値をどう評価し、いつ購入・売却するのか。投資判断の根拠が明確で、異なる市場環境でも規律を保てるかを見ます。ポートフォリオが掲げる投資哲学を実際に反映していることも欠かせません。
運用費用:長期のリターンを左右する
ファンドの信託報酬などの運用費用は、保有している間、継続的に運用資産から差し引かれます。運用担当者やプロセスに強みがあっても、費用が高いほど、市場平均や同じカテゴリのファンドを上回るためのハードルは高くなります。長期投資ではわずかな費用差も累積するため、信託報酬に加え、購入時手数料などのコストを目論見書で確認することが重要です。
日本株投信の注目運用戦略リスト
以下は、2026年上期版のレポート「運用戦略ベストコレクション」で取り上げた5つの戦略です。各戦略は異なる役割を持つため、優劣の順位ではなく、自分が求める投資スタイルとの適合性から比較することが大切です。
選定対象は、モーニングスター・メダリスト・レーティングの評価軸である「運用担当者」または「運用プロセス」の少なくとも一方が「平均以上」、もう一方も「平均」を下回らない戦略です。経験豊富な運用者、安定したリサーチ体制、明確な投資哲学、規律あるリスク管理など、短期の運用実績だけでは見えにくい「運用の土台」を評価しています。
| タイプ | ファンド | メダリスト・レーティング | ISIN | スター・レーティング |
|---|---|---|---|---|
| 割安型 | 大和住銀DC国内株式ファンド (三井住友DSアセット) | 銀 (Silver) | JP90C0002MF1 | ★★★★★ |
| 成長型 | 年金積立 Jグロース (アモーヴァ・アセット) | 銅 (Bronze) | JP90C00021F1 | ★★★ |
| ブレンド型 | スパークス・厳選投資ファンド(DC) (スパークス・アセット) | 銀 (Silver) | JP90C000K9L6 | ★★ |
| 配当型 | ニュー配当利回り株オープン (三井住友トラストアセット) | 銀 (Silver) | JP90C0000LS0 | ★★★★ |
| 中小型 | 小型ブルーチップオープン (野村アセット) | 銅 (Bronze) | JP90C0003D90 | ★★★★★ |
注1:スター・レーティングは過去のリスク調整後リターンに基づく評価であり、将来の成果を保証するものではありません。
注2:スパークス・厳選投資ファンド(DC)と同じ戦略の下にある一般向けの公募投信「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」のメダリスト・レーティングはNeutral。
まとめ
2026年上期の日本株市場は力強く上昇しましたが、株価上昇の背景や企業ごとの持続力には差があります。アクティブ・ファンドを選ぶ際は、過去の運用実績だけでなく、運用担当者、運用プロセス、運用費用、ポートフォリオの一貫性を確認することが重要です。今回紹介した5つの戦略は、割安、成長、ブレンド、配当、中小型と役割が異なります。自分の資産配分やリスク許容度に照らし、どのような値動きと投資成果を期待するのかを明確にしたうえで検討しましょう。◇
※ 本稿は情報提供のみを目的としており、特定の投資手法、投資商品などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、投資資金の性格、投資への姿勢などを考慮して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

