再投資は必須か?時期を見るべきか?

配当金や分配金についての方針と対応を決めておくことは、細かいけれど大切なこと

エイミー・アーノットのアイコンとシェイプのコラージュイラスト

株式や投資信託を保有していると、配当金や分配金が支払われるのはごく普通にあることだ。証券会社で口座を開設する際、「再投資」のコースを選択するよう促されるが、その後はあまり気にしない人も多いかもしれない。

しかし、「再投資をするか、しないか」という質問は、少なくとも気をとめるに値する。配当金(や分配金、以下略)を再投資することに意味がある場合もあれば、そうでない場合もある。ここでは、投資家にとって考慮すべきポイントを説明しよう。

配当金再投資の仕事

最初にひとつ確認しておきたい。配当金を再投資してもしなくても、あなたが支払う税金はまったく変わらない。課税口座で証券を保有している場合、配当金を再投資しようが現金で受け取ろうが、配当金に対して同じ比率で税金を支払うことになる。

ファンドや上場投資信託(ETF)を保有している場合、証券会社の口座の設定には分配金を再投資するかどうかの選択肢が含まれているはずで、これはファンドごと、または口座レベルで指定することができる。株式については、証券会社の口座で保有している銘柄ごとに、株式配当金の再投資サービスを利用することも可能である。一度設定してしまえば、自分で変更しない限りその選択が維持される。

企業型確定拠出年金(401(k))等の企業が実施する退職年金制度を通じて投資する場合は、通常、自動的に再投資するように運用商品や口座が設定されている。

もう一つの問題は、証券口座ではなく直接株式を保有している場合である。米国では多くの上場企業(すべてではないが)が配当金再投資制度(DRIP/dividend reinvestment plans)を提供しており、配当金を自動的に株式の買い増しに充当することができる。多くの場合、DRIPでは端株を購入でき、場合によっては市場における時価より若干割引された価格で株式を購入できることもある。株式を直接保有し、DRIPを設定したい場合は、会社に代わって保有記録を管理している名義書換代理人(トランスファー・エージェント)に連絡する必要がある。

※ DRIP制度は日本には無いので証券会社で購入する必要がある。

※ NISA口座で株式を保有している場合は「株式数比例配分方式」を選択しないと配当金に課税されることがあることに注意。

配当金の再投資が合理的な場合

長期的な資産の成長を主な目的として投資する場合は、配当金を再投資するのがよいだろう。1926年以降、株式市場の年率平均リターン10%のうち、配当金は約4パーセント・ポイントという大きな割合を占めている。

配当金を再投資するもう一つの利点は、そのシンプルさにある。資産管理の手間が一つ減るからだ。配当金再投資の設定を行っていない場合、定期的に口座にログインし、現金残高をどうするかー例えば、別の投資商品の購入に使ったり、売却益を別の口座に移すなどー決める必要がある。配当金は通常利回りの低い指定口座に入金されるため、この作業を忘れて資金を滞留させることは得策ではないだろう。

配当金の再投資に意味がない場合

退職後の生活費を配当収入で賄いたいと考える投資家は多い。そのような戦略を取るのであれば、配当金再投資を設定する必要はないだろう。また、米国では73歳以上の投資家がIRA(個人退職勘定)や401(k)などの税金繰延口座から引き出さなければならない必要最低引き出し額(RMD)として配当金が加算されるのは、現金で引き出され、再投資されない場合のみである。

※ RMD対象開始年齢は段階的に引き上げられているため2024年以降に75歳になる人は75歳からRMDが開始となる。

※ RMD(引き出すべき最低限の額の引き出し)を怠ると、最低引き出し額と実際の引き出し額との差額に対して50%のペナルティが課される可能性がある。

配当金を再投資しないもう一つのケースは、ポートフォリオの問題である。株式や投資信託で多額の資産を保有しており、同じ企業の有価証券をそれ以上保有したくない場合である。配当金を再投資しない(代わりに別のものに投資する)ことで、ポートフォリオの分散効果を長期的に高めることができる。

また、ヴァリュエーションの問題もある。たとえ株式をそれほど多量に保有していなくても、すでにかなりのプレミアムが付 いて取引されている場合は、買い増しを控えた方がよいかもしれない。モーニングスターのアナリストは、現在の株価が妥当か(または割安か、割高か)かを判断するのに役立つ適正価値推計値を公表しているので、参考にされたい。

さらに、配当金を再投資しない方が、税務の観点からは楽になることもある。配当金を再投資する場合、各配当金(株式の買い増し額)を保有株式の取得原価に加算する必要がある。その結果、取得原価が異なる、複数の課税対象ロット(まとまり)ができてしまう可能性がある。最終的に株式を売却する際に、それぞれの売却額についてどのロットを売却するのが税務最適かなど、保管した取得記録をもとに算出する必要があるため、問題が複雑になる可能性がある。

優先順位を明確にする

結局のところ、 再投資をするか、しないかの決定は、資産を管理する上で何を優先したいかによって決まる。配当金を再投資するための口座を持てば保有中の手間はかからないが、売却時の税務上複雑になる。一方、配当金を再投資しない場合は、ポートフォリオを微調整するのに役立つものの、現金として滞留しないように常に状況を把握して行動する必要がある。◇

※ この記事の原文は2024年5月17日に初出の記事を加筆修正したものです。

※ 本稿はモーニングスターの記事「When to Reinvest Dividends (or Not)」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

※ 本稿は情報提供のみを目的としており、特定の投資商品、投資手法、投資対象などを推奨するものではありません。投資における判断は、投資目的、投資期間、投資資金の性格、投資姿勢などを考慮して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

Correction: この記事は、現金で引き出された(再投資されない)配当金は必要最低引き出し額には含まれないことを明確にするために改訂されました。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針