ポートフォリオの見直しが必要になる8つの理由

自らの状況を意識すれば、目標達成に最適な資産配分にカスタマイズできる

ブリーフケースを主役としたイラストで、背景にはドーナツチャートとドル記号のアイコンが配置され、抽象的な形状で彩られています。

平均的な体格で完璧なプロポーションの人ならいざ知らず、たいていの人は既成服がぴったりフィットするとは限りません。熟練の仕立て職人は、裾上げや袖口の調整、あるいはあちこちを少しだけ縫い直すことで、既製服をまるでオーダーメイドのように見せてくれます。

ポートフォリオについても同様です。標準的な資産配分比率(モデルポートフォリオなど)は「平均的な」投資家には有効かもしれませんが、必ずしも万人にぴったりというわけではありません。

以下のような状況では、ポートフォリオをより適切に調整することを検討するようお勧めします。

短期的な支出のため、より多くの現金が必要となるかもしれません

実際の支出を把握することは、特に退職後の生活に移行する初期段階において、非常に重要です。

私の同僚のクリスティン・ベンツが、資産配分における「バケツ方式」について非常に分かりやすく解説しています。この方式では、資産をいつ使用するかによって異なるバケツ(区分)に分けます。これは、ご自身の特定のニーズにより適した資産配分を実現するための優れた方法です。

基本的な考え方としては、短期的な現金需要に対応するための資金を確保しておきます。具体的には、1~2年分の生活費に相当する金額を流動性の高い証券(または預貯金)で保有します(さらに、インカムと安定性を確保するため、5年分以上の生活費に相当する金額を高格付の債券で保有します)。

こうしておけば、継続的な支出をまかなうために慌てて証券を売却する必要がなくなります。実質的に、この手法はボトムアップ方式(必要な支出から考える)でカスタマイズして資産配分を構築する方法です。

短期または中期の目標があって資産を保有している場合

同様に、資産配分が「長期目標」と「短期目標」の両方を考慮していることを確認しましょう。

今後特定の目的のために使うことが前提の資金、たとえば住宅購入、大学の学費、結婚式、または長期休暇など、予定されているイベントがある場合は、これらの目標を達成するために、ポートフォリオの十分な割合を中程度のリスク資産(例えば、高格付の 短期または中期債ファンドなど)で保有していることをご確認ください。

経験則として、資産のデュレーションと負債のデュレーションを一致させることで、過剰なリスクや、必要なときに不足するリスクを回避することが望まれます。デュレーションは、資産のキャッシュフローの加重平均残存期間に基づいて算出され、金利感応度の指標としても活用されます。

資産の大部分が勤務先の株式で構成されている場合

まず第一に、これはあまり良い考えではないかもしれないという点を考慮してください。

勤め先の株式が下落した際に7桁の損失を被った投資家の方々とお話ししたことがありますが、その精神的・経済的打撃は甚大なものでした。 個別株式が大幅な損失を被る可能性は、銘柄を分散投資している投資信託よりもはるかに高いものです。勤務先の株式が大幅に下落した場合、具体的にいくら(金額で)損失が出るのかを把握する時間を割く価値は十分にあります。

Microsoft (MSFT)のように長期的に優れたパフォーマンスを示してきた株式でさえ、2000年には約63%、2008年には46%も下落しました。

そのような損失を避けるためには、保有株式を整理し、1銘柄への投資をポートフォリオの10%未満に抑えることが賢明です。ただし、総報酬の一部として多額の株式報酬を受け取っている場合、大きなキャピタルゲインを確定せずにこれを実行するのは難しいかもしれません。そのような状況にある場合には、リスクを軽減するためにいくつかの対策が考えられます。

まず、ポートフォリオの他の銘柄を確認し、特定の企業リスクを重複して保有していないかご確認ください。 例えば、Microsoft、Apple (AAPL)、Amazon.com(AMZN)の個別株式を保有されている場合、S&P 500種指数ファンドに投資すると、これらの銘柄へのエクスポージャーがさらに高まります。なぜなら、これら3銘柄が同指数の上位3銘柄を占めているためです。過剰なエクスポージャーを避けるため、大型バリュー株ファンドなど、異なる種類のファンドへの投資をご検討ください。(※訳注:2025年12月時点でマグニフィセント7で指数の3割以上を占めています)

セクター・ファンドは、特定の銘柄への集中投資リスクを軽減するためのもう一つの手段です。テクノロジーセクターの企業株を保有されている場合、不動産エネルギー分野に重点を置いたセクター・ファンドへの投資をご検討ください。これらのセクターは歴史的にテクノロジーセクターとの相関性が比較的低く、個別銘柄リスクの分散化に寄与する可能性があります。

最後に、勤務先の株式への集中投資は、実質的に株式エクスポージャーのさらに尖った投資と言えます。したがって、年齢やリスク許容度に基づいて設定した目標値よりも、ポートフォリオ全体の株式比率を低く抑えることが合理的です。

パートナーとの年齢差がある場合

パートナーが自分より5歳以上年上または年下の場合、ポートフォリオはおそらく少し異なるべきでしょう。

若いパートナーならより高い株式比率と積極的なリスクプロファイルを選択できる一方、年上のパートナーならリスクを抑制することが望ましいでしょう。資産を共同で保有している場合は、二人の年齢の平均値に基づいた折衷的なアプローチをご検討ください。

自分の健康状態と家族の病歴から、通常より長生きすると思う場合

もしご親族の中に90代以上まで存命の方がおられる幸運な方であれば、通常よりも長い寿命を見据えた計画を立てることが理にかなっているでしょう。

株式やハイリスク資産への投資比率を高めることで、より多くのリスクを取ることが可能になるでしょう。保険数理的な観点から言えば、年を重ねるごとに平均余命は延びていきます。一部の専門家(マイケル・キッチェス氏やウェイド・ファウ氏など)は、年齢とともに株式比率を減らすのではなく、逆に高めていく「逆グライドパス戦略」を提唱しております。

この手法は主にリターン順序リスク(基本的に、退職初期に大型市場下落が発生するリスク)を最小化することを目的としていますが、長寿リスクの軽減にも役立ちます。たとえ年齢を重ねるにつれてポートフォリオの株式比率を高めることに不安を感じられる場合でも、長寿の家系でご自身の黄金期が平均より長く続く可能性があるならば、基準となる株式配分比率を引き上げることは理にかなっています。

健康問題があり、平均より寿命が短くなる可能性がある場合

一方で、深刻な持病や末期疾患と向き合っている場合は、予想以上に高額となるヘルスケア費に備え、また残された月日や年数を少しでも快適に過ごすために必要なものを確保できるよう、ポートフォリオを十分に保守的に保つことをお勧めします。

子供や孫に遺産を残したいとお考えかもしれませんが、お金ではなく、ご自身の時間という贈り物こそが最も意味のあるものとなるでしょう。ですから、必要に迫られた状況で資産を使い切ることに、どうか罪悪感を抱かないでください。

自分の資産が生涯を通じて十分ではないと心配している場合

キャリアの早い段階で貯蓄や投資ができなかった場合、ポートフォリオの残高は比較的低くなっている可能性があります。

支出を厳しく見直すことは、この状況において最も重要な一歩です。損失を取り戻そう、あるいは足りない分を早く稼ごうと、株式への投資比率を高めたくなるかもしれませんが、小額のポートフォリオは市場損失を吸収する余地が少ないため危険ですから、むしろ逆のアプローチを取る方が賢明です。

ただし、ご自身の財務状況が非常に厳しい場合であっても、資産の100%を現金や固定利回り証券に保有し続けることは、ほとんど意味がないことをご留意ください。株式と固定利回り証券の相関性が低いという特性により、株式を25%組み入れることで、固定利回り中心のポートフォリオのボラティリティを実際に低減させることが可能です。

即時年金保険または据置き(繰延)年金を検討されるのも一案です。これらは保証されたインカムを提供し、資産が尽きる前に寿命が尽きるリスクに対する一定の保護策となります。

年金やその他の安定した収入源があり、本当に幸運な場合

従来の確定給付企業年金制度(DB)は、401(k)などの確定拠出年金制度に次第に押されつつありますが、それでもなお、退職者の半数以上が少なくとも何らかの年金収入を得ています。

もし幸運にもその一人であるならば、受け取る月次または年次インカムの額を基に、それを補填するために必要な固定収入の割合についてご検討ください。年金は文字通り固定収入であるため、ポートフォリオにおける債券ポジションと同様の機能を果たします。そのため、他の資産で株式の比率を高める余裕が生まれます。

社会保障制度も同様の仕組みです。月々の給付額は物価上昇分を超えて増加することはありませんが、実質的に債券のような収入源となります。

資産配分は万人に一律では通用しないという、最も一般的な事例をいくつかご紹介いたしました。モデルポートフォリオや年齢に応じた資産配分を活用することは良い出発点となりますが、より適切な資産構成を得るためには、ご自身の状況に合わせてポートフォリオを調整されることをお勧めいたします。◇

※ 本稿はモーニングスターの記事「8 Reasons You Might Need to Tweak Your Portfolio」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

編集者注記: 本記事のバージョンは2024年10月28日に公開されました。

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