安全な取崩し率の見つけ方【2026年更新版】:モーニングスターによるリタイアメント後の引き出しについての調査

退職後の取り崩し額を決定するために活用できる様々な戦略について紹介

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さて、あなたはご自身の資産ポートフォリオから、退職後に毎年いくらお金を引き出すことができるでしょうか?

多くの投資家にとって、従来からよく言われている定番の答えは「4%」です。

これは、ビル・ベンゲン氏が1994年に提唱した経験則によるルールで、「いかなる経済環境においても投資家の退職後の生活を支えきれる適切な引き出し率は、『1年4%』である」とされています(2021年に実施したベンゲン氏へのインタビューでは、このルールは現在も有効であると語られています)。

2021年、歴史的な債券利回りの低下と株高という市場環境のもとで、私たちはベンゲン氏のこの今も影響力を持つ研究を再評価してみることにしました。大きな相違点は、私たちが主要資産クラスに対する将来の収益見通しを組み込んだのに対し、ベンゲン氏は過去の市場収益に基づいていることです。

モーニングスターが行った最初の研究では、2021年時点の安全な取崩し率の開始値として、より現実的な見積もりは「3.3%」という結果になりました。前提としたのは、株式と債券の複合型ポートフォリオを保有し、退職期間を30年間と仮定し、そして90%の成功確率(資産不足にならない確率)で実現する固定の実質引き出し額を考えました。

その後、数年でこの推計値は変動してきました。2022年は取崩し開始引き出し率は「3.8%」という結果が出ましたが、2023年はインフレが緩和傾向にあるという予測から債券や現金の利回りが上昇したため、推計値は「4.0%」に上昇し、2024年は株式評価額の上昇と債券利回りの小幅な低下により、「3.7%」になりました。

最新の2025年の試算では、この推計値は「3.9%」となっています。

私たちの研究で評価している「柔軟な」引き出し戦略

もっとも、こうした推計は実質的な固定引き出し額についての保守的な見積もりです。私たちの研究では、退職者が初期の引き出し額や生涯の引き出し額を増やすために利用できる柔軟な引き出し方法についても検討しています。

モーニングスターは、以下の戦略が持つ潜在的なメリットについて検証しています:

  1. ポートフォリオで損失が発生した翌年は、引き出し率をインフレ率に合わせて完全には調整しないようにします:例えば 、この戦略を採用した場合、2022年の弱気相場後、同時期に大幅なインフレ上昇があっても引き出し率を上げません。
  2. 必要最低引き出し額 (※米国で定められているRMD:一定年齢に達したら毎年必ず年金から引き出さなければならない最低額) に沿って引き出します:退職者はIRA(個人退職勘定)からのRMD(最低引き出し額)の基盤と同じ枠組みを利用できます。つまりポートフォリオの価値を余命で割って、適切な引き出し率を算出します。
  3. ポートフォリオに安全策(ガードレール)を導入します:市場が下落した時は引き出しを抑え、市場が上昇している時にも引き出し率の増加に上限を設定します。
  4. 過去のデータと同様に、支出の減少が進むものと想定します:私たちは2023年から、退職後の生活において一般的に生じる支出の減少を、退職者の引き出し率にどのように反映できるかを検証しはじめました。
  5. 毎年、ポートフォリオの一定割合を引き出します: ポートフォリオから定率引き出しを行うことで 、リタイアメント後にポートフォリオを完全に使い果たすことはなくなります。ただし、年ごとの引き出し額に大きな変動が生じる可能性があります。
  6. ポートフォリオの過去10年間の平均資産総額から一定の割合を常に引き出します: この手法 は、5(固定割合戦略)で生じる引き出し額の変動を緩和するために大学基金が採用している戦略を応用したものです。
  7. 確率に基づいた安全策を引き出しに適用します: 成功確率を再計算することで 、退職者は市場環境の変化を考慮して支出を調整できます。
  8. Vanguardの動的支出法(dynamic spending method)を利用する: ガードレールを適用する方法と同様に 、退職者はポートフォリオのパフォーマンスに基づいて支出を調整できます。Vanguardの方法では、毎年の調整幅に下限と上限を設定します。

(参考)最新の退職後の収入に関する調査

安全な引き出し開始率についての当社の調査から得られた重要なポイントと実践的な知見をご覧ください。

Here’s What Your Retirement Spending Rate Should Be in 2026(2026年の退職後引き出し率について))

New research shows that flexible withdrawal strategies can help you spend more in retirement.(最新の調査が示すより柔軟な引き出し戦略の有効性)
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(参考)過去の退職後の収入に関する研究

市場と経済環境が変化し続ける中、モーニングスターの予測も同様に進化します。リタイアメント後の引き出し率は難しい問題ではありますが、適切な柔軟性を確保することで、退職後の生活を成功へと導くことが可能です。

当社の研究内容や、その研究が年月を経てどのように発展してきたかについて、さらに詳しく知りたい方は、以下のコンテンツをご覧ください(英語)。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針