「アナリストに訊く」は、投資商品、パーソナル・ファイナンス、そして退職後のマネープランに関するご質問に答えます。
さて、本日取り上げるのは以下の質問です:
「ジャック・ボーグル氏が提唱する『年齢に応じた債券比率』というポートフォリオ配分は、良い指針となるのでしょうか。それとも、退職者にとっては(リスク許容度や財務目標を考慮した上で)、年齢に応じた債券比率に±5%の幅で調整する配分の方が適しているのでしょうか?」
まず少し歴史を振り返ってみましょう。ヴァンガード創業者の故ジョン・ボーグル氏は、キャリアの初期の頃、年齢に基づいてポートフォリオの債券配分を決めることを、妥当な指針として挙げていました。20歳の投資家は債券を20%、40歳なら40%、60歳なら60%保有するという具合です。
その後、彼は株式の配分比率について「120から自分の年齢を引いた数値」を用いることを提唱しました(これにより、債券の配分比率は「年齢マイナス20」となります)。その理由として、従来の指針は債券利回りがはるかに高かった時代に考案されたものであると説明しました。この戦略を採用する投資家は、20歳では債券を0%、40歳では20%、60歳では40%保有することになります。
綜合的に見ると、年齢に基づく債券の指針は手始めとしては悪くありませんが、結果として過度に保守的になってしまう可能性があります。この問題を、いくつかの異なる角度から考えてみましょう。
検証その1:ターゲット・デート・ファンド(TDF)
資産配分の決定を検討する際、投資家の退職予定時期に基づいて自動的に資産配分が調整されるターゲット・デート・ファンド(TDF)は、有用な参考基準となります。TDFの資産構成は、さまざまなライフステージにある投資家にとって適切な債券の保有比率について、金融の専門家が導き出した最善の知見を反映したものです。
以下のグラフは、債券への配分比率の比較を示しています:100-年齢(青)、120-年齢(水色)、平均的なターゲット・デート・ファンド(黄色)
債券の配分比率:年齢による配分とファンドとターゲット・デート・ファンドの比較
このグラフが示すように、年齢に基づく債券の配分比率は、平均的なTDFよりも一貫して保守的に(債券比率が高く)なります。例えば、40歳の場合、一般的なTDFではポートフォリオのわずか9.1%を債券に配分しており、これは「年齢に応じた債券比率」というガイドラインよりも約30パーセントポイント少ない水準です。この差は、40歳から50歳の間、および85歳以降で最も顕著です。
この差が生じる原因は何でしょうか。年齢に応じた債券の配分比率は時間の経過とともに着実に増加していきますが、退職までまだ10年、20年ある場合、退職資金を積み立てている人が債券の配分比率を高めるべき明確な理由が、必ずしもあるわけではありません。むしろ長期的な成長を後押しするため、株式の配分比率を適切に維持する方が合理的であると考えられます。同様に、高齢の退職者も、時間の経過とともに債券の保有比率を高める必要はないかもしれません。退職後の最初の5年または10年が過ぎれば、一般的にはリターンの順序リスク(シークエンス・オブ・リターン・リスク)における危険な時期はすでに越えたと考えられるためです。
年齢に応じた債券配分ガイドラインのうち、より積極的なバージョン(120マイナス年齢)は、TDFの資産配分方針にかなり近いものとなっています。例えば、65歳の場合、より積極的なバージョンでは債券の配分比率が45%ですが、一般的なTDFでは約54%となっています。とはいえ、若年層や高齢層においては、やはり両者の間には違いが見られます。ほとんどのTDFは時間の経過とともに債券の配分比率を高めていきますが、50歳以前および75歳以降は、その配分比率が比較的横ばいのままです。より保守的な「100マイナス年齢」バージョンと同様に、より積極的な「120マイナス年齢」ガイドラインも、時間の経過とともに一定のペースで債券比率は着実に上昇し、その上昇率は常に変わりません。しかし、TDFの資産配分は、直線的ではないアプローチの方が適している可能性があることを示唆しています。
検証その 2:引き出し時期に基づくポートフォリオ分割(バケツ戦略方式)
モーニングスターのパーソナル・ファイナンスとリタイアメント・プランニングのディレクターであるクリスティン・ベンツは、退職後のポートフォリオ構築における「バケツ戦略ポートフォリオ」(ファイナンシャル・プランナーのハロルド・エヴェンスキー氏が考案した)について、多くの著作を発表しています。この手法の基本的な考え方は、ポートフォリオから資金を引き出す必要が生じる時期に合わせて、ポートフォリオを異なる「バケツ」に分けて構成するものです。典型的なバケツ戦略では、①1~2年分の支出に相当する金額を現金・流動性資産に、②5~8年分の支出に相当する金額を債券に配分します。残りの資産はすべて、③長期的な成長を支えるために株式のバケツに組み入れられます。
実際にどのように機能するかを、例を挙げて見ていきましょう。100万ドルのポートフォリオを持って退職を迎え、4%の引き出しガイドラインに基づいて初期の支出水準を設定する場合、年間の支出額は4万ドルです。保守的に見積もるため、現金枠には2年分の支出相当額を、債券枠にはさらに8年分の支出相当額を割り当てることにします。
現金枠には、2年分の支出を賄うための8万ドル、債券枠には8年分の支出に相当する32万ドルが含まれます。これにより、長期的な成長のために60万ドルが残り、株式に配分されます。この「現金枠」を債券的な資産の一部とみなすと、ポートフォリオ全体の構成比は株式比率60%/債券比率40%となります。前の検証と同様、年齢に基づくガイドラインの方がより保守的な結果となります。年齢に基づくガイドラインでは、同じ年齢で債券の配分比率が65%となるのに対し、より積極的な年齢に基づくガイドラインでは、債券の配分比率が45%となり、バケツ戦略の数値に近くなります。
以下のグラフは、債券への配分比率の比較を示しています:100-年齢(青)、120-年齢(水色)、バケツ戦略[100万ドル保有で4%引き出す前提の場合](黄色)
仮想退職者A氏の債券配分比率の比較
ここまでは問題ありませんね。しかし、鋭い読者ならお気づきかもしれませんが、私は都合よく4%のガイドラインにぴったり合うポートフォリオ残高と支出額を選びました。もし、ポートフォリオ残高や支出計画がこれと異なる前提となる場合はどうでしょうか?
例えば、ある個人投資家は、500万ドルのポートフォリオと、年間15万ドルの支出計画を持って退職生活を始めるとします。この場合、現金枠には2年分の支出を賄うための30万ドル、債券枠には8年分の支出を賄うための120万ドルが割り当てられます。これにより、債券への配分総額は150万ドルとなり、資産総額の30%に相当します。したがって、残りの70%は株式に投資されることになります。
退職者第2号の割当例
「バケツ戦略」は、本質的に資産配分におけるボトムアップ型(必要を積み上げて見積もる)のアプローチです。この手法によって、投資家は計画的な支出のタイミングと、最適な資産の種類を照らし合わせることができます。
答えは……
全体的には、年齢に基づく債券の配分比率は、いささか粗削りなようです。ざっくりとした目安としては良いのですが、個々のポートフォリオの規模、払出し計画、リスク許容度に基づいて債券の配分比率を設定する方が、より適切なアプローチと言えます。実際、ボーグル氏自身も、晩年には年齢に基づく債券の配分比率の算出方法から距離を置くようになりました。2017年のモーニングスター年次カンファレンスでのインタビューで、彼は次のように述べています。
「株式と債券を50対50で配分するのは問題ありません。おそらく、若ければもう少し積極的な配分でもよいでしょう」。 ◇
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※ 本稿はモーニングスターの「Ask the Analyst: Do Bonds Appreciate Over Time?」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

