金投資の魅力、ポートフォリオにおける金の役割

商品タイプの違いと注意点

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ここ数年、金は世界的なインフレ懸念や地政学リスクの高まりを背景に再び注目を集めています。1970年以降の米ドルベースでの金のスポット価格の名目年率リターンは約5.4%となっています。インフレの長期化や実質金利の低下に加え、ウクライナ情勢や米国の貿易摩擦など将来の見通しが不透明になる要因が重なり、安全資産としての金の存在感が高まっています。

投資家の間では、リスク分散の一環として金をポートフォリオに組み入れる動きが広がっており、日本でも金関連の投資信託やETFの運用資産が着実に拡大しています。

【金ファンドへの投資はここ数年で大きく拡大した】

金関連ファンドへの資金純流入と運用資産残高の推移(億円)

金への投資手段とその特徴

金への投資方法も多様化しています。昔ながらの金地金や金貨を直接保有する方法に加えて、上場投資信託(ETF)や投資信託などの金融商品を通じて投資することができます。投資信託やETFなどいわゆる金ファンドは、少額から始められ、流動性や保管のしやすさにも優れています。ただし、運用方法やコストには違いがあるため、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。

金価格に連動するファンドやETFは、大きく「現物型」と「先物型」に分けられます。現物型は実際に金を保有するため、金価格の動きに忠実ですが、保管コストがかかります。一方、先物型は保管の手間はありませんが、先物の入れ替えに伴って価格が実際の金とずれることがある点に注意が必要です。

日本の市場で取引できる代表的な現物型ETFには「SPDRゴールド・シェア」(1326)や「三菱UFJ純金上場信託」(1540)があり、コストはおよそ0.4%です。投資信託では、これらのETFに投資を行い金価格に連動するタイプのファンド・オブ・ファンズが多く、信託報酬は抑えられる一方で投資先のETFの費用も間接的に負担することになる点は注意が必要です。

【金現物連動型の主なファンド】

現物連動型のファンド

また、金鉱株ファンドという選択肢もあります。これは金そのものではなく、金の採掘や精錬を行う企業の株式に投資する仕組みです。金価格の上昇局面では大きな利益を期待できますが、下落局面では逆にリスクも大きくなります。株式市場全体の影響も受けるため、値動きは現物の金よりも大きくなる傾向があります。

日本国内では、「ブラックロック・ゴールド・ファンド」が代表例です。さらに、株式や債券など複数資産に分散投資をするアロケーション型ファンドの中には、金を組み入れることで分散効果を高め、安定したリターンを目指すものもあります。投資家が直接リバランスのための売買やそのタイミングを調整しなくてもよい点がメリットです。アロケーション型ファンドでは金の比率は10%以下と補完的な位置づけのものが多いため、「しっかり金に投資したい」と考える人には物足りないかもしれません。

【金を組入れる主な日本籍アロケーションファンド】

金を組み入れる主な日本籍アロケーション型ファンド

金投資における留意点

金関連ファンドやETFに投資する際は、コストが長期的なリターンに影響するため、信託報酬や経費を確認することが大切です。

現物の金に連動するタイプは価格の変動に忠実で、株式市場が大きく下落する場合などに資産を守る役割が期待できますが、保管費用や間接的な経費による影響にも注意が必要です。

また、ファンドの規模や売買のしやすさといった流動性も確認ポイントです。金はインフレ対策や安全資産としての魅力がありますが、過去には大きく値下がりしたこともあり、国内債券や現金の代わりとして扱う場合は慎重な判断が求められます。

さらに、金は基本的に米ドル建てで取引されるため、為替の影響も無視できません。投資を検討する際は、自分の保有目的やリスク許容度と照らし合わせて、為替ヘッジの有無を確認して選択すると安心です。

金への投資には、現物の保有に加え、現物連動型や先物型のファンド・ETF、金鉱株ファンド、金を組み入れたアロケーション型ファンドなどがあります。それぞれ運用方法やコスト、流動性が異なるため、目的やリスク許容度、ポートフォリオ全体のバランスを考えて最適な手段を選ぶことが大切です。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針