低コスト・ファンドは本当に有利なのか。コストで差がでるカテゴリは?

「ファンド費用の予測力 日本版 2026年」

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投資家にとって、運用費用はファンド選びにおける重要な要素です。モーニングスターの調査では、運用費用はファンドの将来の成功を予測するうえで、信頼性の高い指標の一つであることが繰り返し確認されています。

2026年4月、モーニングスターは「モーニングスター・メダリスト・レーティング」の算出方法を改定し、新たに「メダリスト・レーティング運用費用スコア(MPS)」を導入し、評価に組み込みました。MPSは、各ファンドの運用費用が競争上の優位となるのか、それとも不利な要因となるのかを評価する仕組みです。

本記事では、モーニングスターが発表した「ファンド費用の予測力 日本版2026年」をもとに、運用費用がファンドのパフォーマンスに与える影響について解説します。

※ 本稿の基となるレポート全文は以下のリンクからダウンロードしていただけます。

今回の分析では、日本籍の公募追加型株式投信およびETFを対象に、モーニングスター・カテゴリ内で運用費用別にファンドを5つのグループ(五分位)に分類し、2025年12月末までの5年間でカテゴリ平均リターンを上回ったファンドの割合を比較しました。

運用費用が低いほどカテゴリ平均を上回る傾向

運用費用が低いほど高い成功率

日本のファンド市場でも、多くの資産クラスで、運用費用が低いファンドほどカテゴリ平均を上回るファンドの割合(成功率)が高い傾向が確認されました。特に、世界株式では、最も運用費用が低いグループが79%の成功率を示した一方、最も運用費用が高いグループは24%にとどまり、運用費用と成功率の明確な関係が見られました。同様に米国株式でも、最も運用費用が低いグループの成功率は74%と高く、最も運用費用が高いグループの14%を大きく上回りました。これらの結果は、運用費用が低いインデックス・ファンドの優位性を示唆しています。

日本株式でも同様の傾向が確認されました。大型株では、最も運用費用が低いグループが53%と最も高い成功率を示しました。一方、中小型株では、最も運用費用が低いグループが45%と比較的高い成功率を示したものの、2番目に運用費用が高いグループが48%と最も高い成功率となり、費用の低さと成功率の関係は大型株ほど明確ではありませんでした。これは、一部の中小型株ファンドでは、運用費用の水準にかかわらず、アクティブ運用において銘柄選択による付加価値の創出が可能であったことを示唆しています。

債券は、株式とは異なる結果となりました。世界債券では、最も運用費用が高いグループが55%と最も高い成功率を記録し、最も運用費用が低いグループの39%を上回りました。米国債券でも同様に、最も運用費用が高いグループの成功率が比較的高い結果となっています。これは、近年の金利上昇局面において、アクティブ運用がデュレーションやクレジット配分を柔軟に調整できたことが背景にあると考えられます。

また、アロケーション型ファンドでは、最も運用費用が低いグループが最も高い成功率を示したものの、費用水準に沿った一貫した傾向は見られませんでした。背景には、資産配分やリスク水準の違いがパフォーマンスに与える影響の大きさがあると考えられます。

資産クラス、運用費用グループ別勝率

ファンド選びにおいて、運用費用は重要なポイント

今回の分析では、資産クラスによって差はあるものの、多くの資産クラスで運用費用が低いファンドの優位性が確認されました。特に世界株式や米国株式では、運用費用が低いファンドほど成功率が高い傾向が明確に見られました。一方、債券やアロケーション型ファンドでは、運用費用と成功率の関係に一貫しない部分も見られ、市場環境や資産配分などの影響が大きいことがうかがえます。

それでもなお、運用費用はファンドの長期的な成功を予測するうえで、信頼性の高い要因の一つと言えるでしょう。運用費用は投資家が継続的に負担するコストであり、ファンド・マネージャーはその分を上回るリターンを継続的に創出する必要があります。◇

※ 本稿はモーニングスターのマネージャー・リサーチによるレポート「ファンド費用の予測力 日本版 2026年――低コスト・ファンドは本当に有利なのか」を基に構成されたものです。全文はリンクからダウンロードしてご覧いただけます。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針