東京エレクトロン【決算】:ガイダンスは市場平均を上回る成長を見込む。フェアバリューを22%引き上げ

WFE市場の成長を前提に上半期売上高ガイダンスは33%増。株価は適正水準にある。

In this photo illustration, the Tokyo Electron Limited Electronics company logo seen displayed on a smartphone.
Igor Golovniov/SOPA Images 通じて Getty

東京エレクトロン(8035)の3月期売上高は会社ガイダンスを5%上回り、前年同期比9%増となった。同社は、2026年の半導体前工程製造装置(WFE)市場が25~30%成長することを前提に、新会計年度となる2027年3月期の上半期の売上が33%伸びると見込んでいる。

<決算のポイント>

東京エレクトロンは上半期のSPE新規装置の売上高が41%増加するとしており、これはわれわれの従来の想定を大幅に上回る。これは、同社のEUVコータ/デベロッパ(塗布現像装置)における強固な競争力と、先端ロジックノード分野におけるプレゼンスの拡大を示している。

  • 今年度のガイダンスでは、EUVへの投資拡大とパターニングの複雑化に伴い、コータ/デベロッパの売上高は50%以上増加、また先端ロジックにおけるゲートオールアラウンド(GAA)の採用拡大および次世代DRAM関連の工程プロセスの大幅な増加により、エッチング装置の売上高も30%程度増加すると見込んでいる。
  • 東京エレクトロンは2027年のWFE市場の動向にも自信を深めつつあり、さらなる15~20%の増加を示唆している。これは、WFE市場が2029年までに成長鈍化するまで急速な成長が続くとする当社の最新の見解と一致している。

<結論>

モーニングスターは、エコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」を獲得している東京エレクトロンの適正価値推計値を22%引き上げ50,000円とする。WFE市場の力強い成長に対する自信が深まったことに加え、同社の収益成長率は当社の従来予想以上に市場平均を大きく上回る可能性が高いと判断したためである。同社の株価は現在妥当な水準にあると我々は考えている。

<指標を読む>

東京エレクトロンは、今年度を最終年度とする中期経営計画で営業利益率35%を目標の一つに掲げているが、今期の達成は難しい公算だ。しかし、これはインフレおよび円安に加え、事業機会の拡大に伴う研究開発費の大幅な増加によるコスト上昇が主因であるため、計画の未達は既に市場の想定内だろう。

  • 東京エレクトロンは、ドライエッチング装置市場でのシェアを2025年に約5パーセントポイント失ったと推算している。同社はNANDメモリにおける極低温エッチングの採用拡大によるシェア回復を目指しているが、エッチング分野で高シェアを持つラムリサーチの強固な顧客基盤を踏まえると、大幅なシェア拡大は容易ではないとみられる。◇

<東京エレクトロンの財務概要および主要指標>

2025年 実績
2026年 実績
2027年 予想
2028年 予想
収益(10億円)2,4322,4443,2503,800
収益成長率(%)32.80.533.016.9
営業利益(10億円)6976259401,200
営業利益率(%)28.725.628.931.6
調整後EBITDA(10億円)7658261,0471,317
調整後EBITDAマージン(%)31.533.832.234.6
1株当り利益(希薄化後・円)1159.811254.571604.932044.63
調整後1株当り利益(希薄化後・円)1159.811254.571604.932044.63
調整後EPS成長率(%)48.08.227.927.4
PER17.329.729.623.2
PBR5.08.28.57.2
EV/EBITDA倍率23.510.820.116.0
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2026年5月3日時点

<モーニングスターによる指標>

  • エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
  • 適正価値推計値:50,000円
  • モーニングスター株式レーティング:★★★(中立)
  • 不確実性レーティング:「高い(High)」
  • 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※ 本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による5月4日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針