アドバンテスト【決算】:AI需要がGPU以外の半導体へ波及し、過去最高水準の四半期業績を記録。フェアバリューを14%引き上げ。

半導体需要の裾野拡大と半導体生産の複雑化に伴うテスト機会の増加が、中長期にわたる構造的な成長を支えるとみる。

アドバンテストのロゴ入り看板(シリコンバレー)。
Smith Collection/Gado 通じて Getty

アドバンテスト(6857)の第1四半期(4-6月期)決算は、引き続き旺盛なAI関連需要に牽引され、売上高は前年同期比39%増加し、営業利益率は51.7%となり、いずれも過去最高水準を記録した。同社は本年度の売上高および営業利益ガイダンスを、それぞれ21%および35%、上方修正した。

<重要なポイント>

ガイダンスの上方修正は、テスタ市場の拡大がモーニングスターの予想を大きく上回るペースで進展していることを示唆している。事実、アドバンテストは2026年のシステムオンチップ(SoC)テスタ市場の想定規模を4月時点での予想から21%引き上げ、前年比59%の拡大を見込んでいる。これを受け、われわれはSoCテスタの売上高想定を11%引き上げた。

  • 2026年の売上高予想の引き上げは、半導体需要が想定以上に広範に及びつつあることを反映している。AI推論やエージェント型AIの導入が進むにつれ、推論用ASIC、CPU、広帯域メモリ、汎用DRAMなど、GPU以外の幅広い半導体にも需要が拡大し、半導体の生産数量を押し上げるだろう。
  • 中長期的には、エージェント型AIの導入により、AIインフラは演算・データ・ネットワークの一体化を図るより統合的なシステムへと移行していくだろう。これにより生じるテスト機会の飛躍的な増加(テスト・インテンシティの上昇)が、更なる増収要因になると考える。

<結論>

半導体テスタの売上高想定の引き上げを主因として、アドバンテストの適正価値推計値を14%引き上げ、40,000円とする。

  • われわれは、現在の株価は引き続き割安な水準にあると見ている。AI向けの巨額の設備投資の持続性に対する懸念から、関連企業の株価はここ数週間にわたり乱高下しているものの、アドバンテストはより幅広い半導体への需要拡大や半導体生産の複雑化に伴うテスト機会の増大など、構造的な成長要因の恩恵を受け、景気循環の影響をある程度緩和できる有利な位置にあると考えている。
  • 第1四半期決算において、アドバンテストの売上高は当社予想を11%、営業利益は23%上回り、売上総利益率は過去最高の69.5%を記録した。今後はメモリ価格の上昇が利益率の圧迫要因となる可能性はあるが、プロダクトミックスの改善がそれを十分に相殺すると予想し、今後5年間の営業利益率予想を平均5パーセント引き上げた。

<行間を読む>

アドバンテストはSoCテスタの生産能力を今年度末までに年間5,000台に引き上げ、2028年末から2029年初頭にはさらに10,000台へ段階的に引き上げる予定だが、経営陣はこの計画を前倒しするとコメントした。この生産能力拡大ペースの加速は、長期的な需要の拡大に対する経営陣の確信度が一段と高まっていることの表れであるとわれわれは考えている。◇

<アドバンテストの財務概要および主要指標>

2025年 実績
2026年 実績
2027年 予想
2028年 予想
収益(100万円)779,7071,128,6101,740,0002,170,000
収益成長率(%)60.344.854.224.7
営業利益(100万円)249,693496,479885,0001,105,000
営業利益率(%)32.044.050.950.9
調整後EBITDA(100万円)254,265526,195911,0001,135,000
調整後EBITDAマージン(%)32.646.652.452.3
1株当り利益(希薄化後・円)218.67515.15894.541119.2
調整後1株当り利益(希薄化後・円)218.67515.15894.541119.2
調整後EPS成長率(%)158.9135.673.725.1
PER29.639.528.222.5
PBR11.129.216.69.9
EV/EBITDA倍率19.88.819.715.8
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2026年7月30日時点

<モーニングスターによる指標>

● エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」

● 適正価値推計値:40,000円

● モーニングスター株式レーティング:★★★★(割安)

● 不確実性レーティング:「高い(High)」

● 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※ 本稿はモーニングスターのエクイティ・リサーチ ディレクター伊藤和典による7月30日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針