東京エレクトロン【決算】:WFE市場の回復は遅れる公算、フェアバリューを10%引き下げ

長期的にはWFE市場が半導体製造工程の複雑化の恩恵を受ける

The Tokyo Electron Limited Electronics company logo seen displayed on a smartphone.
Igor Golovniov/SOPA Images 通じて Getty

東京エレクトロン(8035)の第1四半期(4-6月期)の売上高と営業利益は、ともに上半期のガイダンスを達成するペースで推移した。ただし同社は、半導体ウェーハ製造装置(WFE)の下半期の需要が従来想定通りには立ち上がらないとの見方を示し、26年3月期の通期ガイダンスを売上高は9.6%、営業利益は21.6%引き下げた。

<決算のポイント>

東京エレクトロンは下方修正の背景として、大手ファウンドリの一部や中国における新興企業などが設備投資計画を見直したことを挙げている。モーニングスターでは2026年の後半に半導体投資が停滞する可能性があると懸念していたが、それが数四半期早く顕在化した可能性がある。

  • 東京エレクトロンは、今回の下方修正はWFE市場の先端ノードにおける市場シェアの低下によるものではないとの見方を示している。同社は、先端ノード向けの半導体製造装置の需要が2026年初頭には立ち上がると従来予測していたが、現在は少なくともそれが6か月遅れると考えている。2026年後半のWFE市場動向については現在精査中とのことである。

・ これを受けてモーニングスターは今年度および来年度の売上高予想を、それぞれ2.63兆円および2.85兆円から2.35兆円および2.55兆円に引き下げた。同社は来年度に3兆円という意欲的な売上高目標を設定していたが、この達成時期は2年程度遅れるとモーニングスターでは考えている。

<結論>

モーニングスター・エコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」評価を獲得している東京エレクトロンの適正価値推計値を、モーニングスターは10%引き下げ、27,000円とした。ただし、東京エレクトロンが長期的には半導体製造工程の複雑化の進展に伴って成長するというシナリオに変更はない。

  • Google、Amazon、Microsoft、Metaなどの大手クラウドサービスプロバイダーは2025年の設備投資計画を増額しているものの、2026年の成長ははるかに緩やかになるだろう。これは一時的な停滞に過ぎないが、当面の間は東京エレクトロンの株価の重しとなる可能性がある。
  • 東京エレクトロンの株価は決算発表の翌日に18%下落し、現在は割安な水準にある。市場は短期的な景気循環の悪化を過度に警戒し、同社の長期的な構造的成長を過小評価しているとわれわれは考えている。

3か月前、東京エレクトロンはWFE市場が2025年には前年比で横ばい、2026年には2桁成長が見込まれるとの見方を示していたが、同社はこの見通しを修正し、WFE市場の回復は2026年前半には実現しない可能性が高いとコメントした。われわれはこれを景気循環による一時的な停滞に過ぎないと考えており、長期的にWFE市場が半導体製造工程の複雑化の恩恵を受けるとの見方を崩してはいない。例えば、2027年にリリースが予定されているNvidiaのRubin Ultra GPUアーキテクチャではGPU構成は2ダイから4ダイに、HBMの容量は288ギガバイトから1テラバイトに増加する。このような構造的に拡大する需要を満たすため、半導体業界では遅くとも2026年末までにはWFEへの投資を再加速させる必要があるだろう。◇

<東京エレクトロンの財務概要および主要指標>

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(10億円)1,8312,4322,3502,550
収益成長率(%)-17.132.8-3.48.5
営業利益(10億円)456697570690
営業利益率(%)24.928.724.327.1
調整後EBITDA(10億円)522765667801
調整後EBITDAマージン(%)28.531.528.431.4
1株当り利益(希薄化後・円)783.751159.81971.381161.29
調整後1株当り利益(希薄化後・円)783.751159.81971.381161.29
調整後EPS成長率(%)-74.148.0-16.319.6
PER50.517.323.119.3
PBR10.45.04.94.4
EV/EBITDA倍率34.411.714.812.4
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年8月4日時点

<モーニングスターによる指標>

エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」

適正価値推計値:27,000円

モーニングスター株式レーティング:★★★★

不確実性レーティング:「高い(High)」

資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※本稿はモーニングスターのエクイティ・リサーチ ディレクター伊藤和典による8月4日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針