TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing、台湾積体電路製造)()は、7月17日に四半期決算を発表し、通年の売上高成長率の見通しを米ドルベースで従来の20%台半ばから30%増に引き上げた。6月四半期の売上高は9,340億台湾ドル(301億ドル、約4兆7000億円)、前四半期比11%増のとなった。粗利益率は前四半期から17ベーシスポイント低下し、58.6%となった。
<躍進のポイント>
旺盛なAI関連の需要と成熟プロセスノードにおける稼働率の向上が、TSMCの通年見通しの引き上げ要因となっている。関税問題が影を落としているにもかかわらず、データセンターの顧客は投資を継続しており、今後のノード移行にも意欲を示している。
- TSMC経営陣のコメントは、2026年の設備投資が2025年の380億~420億ドルをやや上回るだろうという我々の見方を裏付けるものであった。同社経営陣は、通年の見通しおよび設備投資予算には、関税やその他の地政学的リスクに対する保守的な姿勢を織り込んでいるが、需要は引き続き堅調であると述べている。
- モーニングスターは、TSMCの粗利益率は長期的には50%台後半に達するという見方を強めている。2nmノードの価格は3nmよりも高い上乗せ価格で設定されており、また設備の減価償却が終わることで3nm~7nmノードの訴求力をコスト意識の高い顧客層にまで広げていることが背景にある。
<評価の引き上げ>
ガイダンスの改善と長期的な見通しを踏まえ、モーニングスターはTSMCの適正価値推計値を262ドルから306ドルに引き上げた。市場は関税の影響を過大評価しており、一方でAI投資の持続性を過小評価しているため、同社の株式はまだ割安と考えられる。
- AIの貢献拡大に加え、産業機器市場やスマートホーム市場の見通しも改善しているため、2025年~2029年の売上高予想を5%、1株当たり利益予想を9%引き上げる。
<今後の展望>
米国は8月1日の関税発動期限までに台湾との貿易協定を発表する可能性があるが、TSMCへの影響は限定的なものになるかもしれない。これまでに締結された貿易協定から判断すると、想定される関税率20%前後よりさらに拡大した場合でも、同社には米国顧客に対応できる4nmの生産能力が十分にある。
<行間を読み解く>
TSMCの2026年の設備投資は、AI需要への対応に重点を置くとみられる。同社のサプライヤーであるASMLの2026年見通しは慎重であるが、TSMCがインテルやサムスンをさらに上回る設備投資を行っている可能性を示唆しており、両者が追いつく可能性は一段と低くなっていると考えられる。◇
TSMCの主要指標
- 適正価値推計値:306ドル
- モーニングスター・株式レーティング:★★★★
- エコノミック・モートレーティング:「広い(Wide)」
- 不確実性レーティング:「中程度」
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。
※ 本稿はモーニングスターの記事「Taiwan Semi Earnings: Firm Shrugs off Tariff Blows Amid Insatiable AI Demand」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

