信越化学工業【カバレッジ開始】:フェアバリューは5,000円、株価は適正水準にあると評価

高性能チップの需要拡大が電子材料の売上ドライバーに

The Shin-Etsu Chemical company logo is seen displayed on a smartphone screen.
Piotr Swat/SOPA Images 通じて Getty

モーニングスターは、塩化ビニル樹脂(PVC)およびシリコンウエハにおいて世界最大のシェアを誇る日本の化学メーカー、信越化学工業(4063)のカバレッジを開始する。信越化学は、電子機器、建設、製薬、農業分野向けにPVC、シリコン、セルロース、希土類製品を販売している。

<結論>

モーニングスターは信越化学の適正価値推計値を1株当たり5,000円とする。モーニングスター・エコノミック・モート・レーティングについては、電子材料分野における無形資産と高いスイッチングコストとに加え、PVC事業における米国産天然ガスを活用したコストの優位性により、「広い(Wide)」評価が妥当であると考える。

  • 同社のスイッチングコストと無形資産に基づいたエコノミック・モートは、最先端半導体製造における市場投入までの時間が長期化するにつれ、より強固なものになろう。信越化学のワンストップ型アプローチは、迅速なトラブルシューティングを可能にするものであり、これはサイトごとに毎時間数百万ドルの価値を持つ場合がある。

<今後の展望>

モーニングスターは、信越化学が今後5年間で年平均6%の売上高成長率を達成すると予測しており、これはエンドユーザーの成長率の加重平均にほぼ相当する。最も高い成長を電子材料分野で、最も低い成長をPVCを含むインフラ材料分野で想定している。

  • 電子材料に対する当社の確信は、半導体の長期成長率8~10%という見通しに沿っている。データセンターや電気自動車における高性能チップ需要が、より純度の高い新素材の採用を促進している。
  • インフラ材料は、住宅需要が建設需要に反映されるまでには時間がかかるため、高成長を達成するのが難しいと考える。また、信越化学の米国産PVC(生産量の75%)はアンチダンピング措置の対象となっている。

当社の強気な電子材料見通しには、中国半導体市場でのシェア喪失をすでに織り込んでいる。中国の「国産品購入」政策は、信越化学の200mmウエハに特に不利であり、現地代替品が豊富に存在するためである。中国が自給自足を進めるにつれ、信越化学の300mmウエハやその他の材料も同様の逆風に直面すると予想するが、その進行速度は異なる。極端紫外線(EUV)リソグラフィに使用されるフォトレジストやマスクブランクスは、中国での現状の売上エクスポージャーがほぼゼロであるため、影響は最も小さい。

半導体以外では、希土類磁石の販売が中国のEV市場シェアによって影響を受ける可能性がある。中国の国産品購入の取り組みは、信越化学にとって中国顧客への磁石販売を阻害する可能性がある。また、EV市場で中国の存在感が世界的に高まることは、同社のグローバル市場におけるビジネス機会の縮小を意味する。言い換えれば、非中国系EVメーカーがシェアを拡大する場合、信越化学は純受益者となる。

希土類関連のもう一つのリスクは、貿易戦争による供給混乱である。当社は、このリスクは在庫積み増しによって軽減可能であり、加工のかなりの部分は東南アジアで行われていると考える。◇

<信越化学の財務概要および主要指標>

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(10億円)2,4152,5612,4502,697
収益成長率(%)-14.06.1-4.310.1
営業利益(10億円)701742625771
営業利益率(%)29.029.025.228.6
調整後EBITDA(10億円)9579798731,034
調整後EBITDAマージン(%)39.638.235.638.3
1株当り利益(希薄化後・円)259.13269.28224.79274.33
調整後1株当り利益(希薄化後・円)266.72274.73224.79274.33
調整後EPS成長率(%)-23.33.0-18.222.0
PER24.715.420.917.1
PBR3.11.81.91.8
EV/EBITDA倍率12.06.98.67.3
FCF利回り(%)

<モーニングスターによる指標>

・エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」

・適正価値推計値:5,000円

・モーニングスター・株式レーティング:★★★(中立)

・不確実性レーティング:「中程度(Medium)」

・資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト フェリックス・リーによる12月1日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針