ソニー(6758)の第1四半期(4-6月期)の営業利益は、プレイステーションとイメージセンサー事業の強力な成長が牽引し、前年同期比36%増となり、同社は2025年度(2026年3月期)における継続事業の通期営業利益見通しを4%上方修正し1兆3,300億円とした。
<決算のポイント>
ソニーの営業利益は、米国の関税政策による100億円強の影響があったにも関わらず3,400億円となり、モーニングスター予想の2,950億円を上回った。これは、売上高の半分以上をゲームや音楽ストリーミングなどのデジタルコンテンツ事業が占めるソニーの事業ポートフォリオは関税の影響を受けにくいとの、当社の見解を再確認するものである。
- プレイステーション全体の月間アクティブユーザー数は予想を上回る6%増の1億2,300万人に達し、好調なゲーム販売の原動力となった。モーニングスターは、今後数四半期に予定されているファーストパーティゲームのリリースが、アクティブユーザー数の更なる増加に寄与すると考えている。加えて、同社が取り組んでいるコスト削減策が利益率の拡大に貢献するだろう。
- イメージング&センシング・ソリューション事業の営業利益率は、プロダクトミックスの改善と販売数量の増加が円高のマイナス影響を上回り、前年同期の10.4%から13.3%に上昇した。モーニングスターでは、プロダクトミックスの更なる改善により、センサーの平均単価の上昇が今後数四半期にわたって進むと予想している。
<結論>
モーニングスターは、ソニーの2025年度営業利益予想を1.3兆円から1.4兆円に引き上げ、同社株式の適正価値推計値を1株当たり4,200円から4,500円に、米国預託証券(ADR)は1株当たり29.50米ドルから30.50米ドルにそれぞれ引き上げた。
- ソニーの株価は利益率の改善がまだ十分に織り込まれておらず、割安であると我々は考えている。
<行間を読む>
ソニーはバンダイナムコホールディングスと戦略的提携を結び、同社株式の2.5%に出資した。ゲームやアニメーションにバンダイナムコのキャラクターを活用する予定であり、魅力的なIP(知的財産)へ積極的に投資する戦略の一環であろう。
- 過去数年間、ソニーはゲーム、音楽、映画に経営資源を集中し、魅力あるコンテンツと配信プラットフォームへの投資を実践して安定した収益成長を実現する基盤を整えてきた。EMI Publishing買収(2018年)、Insomniac Gamesの買収(2019年)、Crunchyrollの買収(2021年)、Bungieの買収(2022年)などがその代表例である。
Appleは米国内からの半導体の調達を目指し、当地に拠点を持つ複数の企業とのパートナーシップを発表した。この取り組みの一環として、AppleはSamsung Electronicsのオースティン工場を利用する提携を発表したが、これはイメージセンサー関連の事業と考えられる。ソニーは現在iPhoneのイメージセンサーを独占的に供給しているが、日本での生産能力拡大を目指しTSMCの熊本工場に投資を行っており、米国内には生産拠点を持ちあわせていない。
高画質化への要求を満たすため今後もイメージセンサーの大判化は続くとみられ、製品ミックスの改善がソニーのイメージセンサー事業の中期的な成長を後押しするだろう。その中でAppleとSamsungの提携は、イメージセンサー売上高の約半分はApple向けであると推定されるソニーにとっては中期的なリスク要因となり得る。ただし、①ソニーはiPhone 4以降、優れた画質によってAppleの独占的なサプライヤであり続けてきたこと、②高い品質基準をクリアしつつ高歩留まりを実現しAppleの要求する数量を生産する難易度の高さを踏まえると、直ちにすべてが代替リスクにさらされことはないだろう。いずれにせよ、ソニーがAppleとの提携関係を中期的にどのように再構築していくかは今後の重要な焦点となるだろう。 ◇
<SONYの財務概要および主要指標>
| 2024年 実績 | 2025年 実績 | 2026年 予想 | 2027年 予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益(10億円) | 13,021 | 12,957 | 11,950 | 12,150 |
| 収益成長率(%) | 18.7 | -0.5 | -7.8 | 1.7 |
| 営業利益(10億円) | 1,209 | 1,407 | 1,400 | 1,500 |
| 営業利益率(%) | 9.3 | 10.9 | 11.7 | 12.4 |
| 調整後EBITDA(10億円) | 2,354 | 2,560 | 2,540 | 2,655 |
| 調整後EBITDAマージン(%) | 18.1 | 19.8 | 21.3 | 21.9 |
| 1株当り利益(希薄化後・円) | 788.29 | 188.71 | 182.57 | 197.51 |
| 調整後1株当り利益(希薄化後・円) | 788.29 | 188.71 | 182.57 | 197.51 |
| 調整後EPS成長率(%) | -5.6 | -76.1 | -3.3 | 8.2 |
| PER | 16.5 | 20.0 | 21.9 | 20.2 |
| PBR | 2.1 | 2.8 | 2.6 | 2.4 |
| EV/EBITDA倍率 | 7.5 | 9.4 | 9.4 | 9.0 |
| FCF利回り(%) | ー | ー | ー | ー |
出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年8月10日時点
<モーニングスターによる指標(8月11日現在)>
エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
適正価値推計値:4,500円
モーニングスター株式レーティング:★★★★(割安)
不確実性レーティング:「中程度(Medium)」
資本配分レーティング:「模範的(Exemplary)」
※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による8月11日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

