任天堂【決算】:Switch 2が史上最速の出荷ペースで顧客基盤を拡大――フェアバリューを8%引き上げ

General views of the Nintendo corporate headquarters and the Nintendo Development Center.
AaronP/Bauer-Griffin 通じて Getty

任天堂(7974)は6月5日に新ゲーム機「Switch 2」を発売、同月末までに出荷台数は580万台に達し、ゲーム機史上最速の出荷ペースを記録した。しかし、この好調なスタートにもかかわらず、同社は2025年度(2026年3月期)のSwitch 2出荷台数予測を1,500万台で据え置いた。

<決算のポイント>

任天堂の売上高の30%~40%が第3四半期(10-12月期)に集中していることを踏まえると、同社が今回ガイダンスを据え置いたことに意外感はない。しかしモーニングスターは、今年度のSwitch 2の出荷台数は会社ガイダンスを大幅に上回ると予想している。

  • モーニングスターは、Switch 2の2025年度の出荷台数予想を、1,700万台から、同社ガイダンスを上回る2,200万台に引き上げた。ただし、現在旺盛なコンソール需要を満たすだけの供給ができていないことを踏まえると、任天堂がピークとなるホリデーシーズンまでに十分な台数を準備できないリスクがあろう。
  • コンソールとゲームの出荷台数は我々の予想を上回ったものの、9.9%という第一四半期(4-6月)の営業利益率は、モーニングスターが予想した11.9%を下回った。これは、コンソールの収益性が我々の想定よりも低いことを示唆している。また、ファーストパーティーゲーム(自社ゲームソフト)の売上が予想を下回ったことも収益性を押し下げる一因となった。

<結論>

モーニングスターは、任天堂の適正価値推計値を12,000円から13,000円に引き上げる。2025年度の営業利益予想は3,600億円から3,000億円に引き下げたが、その一方で、堅調なゲーム機出荷による顧客基盤の想定以上の拡大が、長期的にはゲーム機出荷台数の増加につながると予想しているためである。

  • 発売当初から好調な出荷台数を記録したゲームコンソールは、その後数年間はユーザー基盤を着実に拡大し続ける傾向にある。したがって、Switch 2の今後数年間にわたる成功は想定可能なものであり、現在の株価にある程度織り込まれている可能性が高いとモーニングスターでは考えている。

<事業戦略と展望> 

Switch 2の生産地であるベトナムからの輸入品に米国は20%の相互関税を課す予定だが、任天堂は当面は米国でのSwitch 2本体の価格を維持すると発表した。これは発売後のコンソール出荷の好調な勢いを削がないよう配慮した結果であろう。

  • これは短期的には任天堂の収益性を圧迫することになるが、長期的には、より多くのゲームをより多くの顧客基盤に販売することで、任天堂はこのマイナス分を取り戻すことができるだろう。

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(10億円)1,6721,1652,2502,380
収益成長率(%)4.4-30.393.25.8
営業利益(10億円)529283305545
営業利益率(%)31.624.313.622.9
調整後EBITDA(10億円)647332372573
調整後EBITDAマージン(%)38.728.516.524.1
1株当り利益(希薄化後・円)421.39239.47231.91355.59
調整後1株当り利益(希薄化後・円)421.39239.47231.91355.59
調整後EPS成長率(%)13.5-43.2-3.253.3
PER19.542.254.335.4
PBR3.74.35.14.8
EV/EBITDA倍率11.729.033.922.0
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年8月2日時点

<モーニングスターによる指標>

エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」

適正価値推計値:13,000円

モーニングスター株式レーティング:★★★

不確実性レーティング:「中程度」(Medium)」

資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による8月4日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針