ニデック()は、経営陣の関与または認識の下で不適切な会計処理が行われていたとの疑いについて、調査のための外部専門家による第三者委員会を設置することを9月3日に発表した。この報道を受け、翌4日には同社の株価は20%以上下落した。
<注目のポイント>
会計処理問題の詳細が明らかになっていないことから、現時点では当社への影響について合理的に推定することは困難である。
- ただし、経営陣の関与が疑われる事案が既に複数確認されたことを受けて第三者機関に調査を依頼した経緯を踏まえると、本件の影響が軽微なものにとどまらない可能性もあるだろう。不正会計に伴う処分内容は、不正の程度、関与の度合い、影響の大きさなどを鑑みて決定される。事実、過去の事例においても罰金刑から最悪の場合は上場廃止まで、課せられた処分は様々である。
- また仮に現経営陣が辞任する事態となれば、現在進めている構造改革や中期計画の進捗に大きな影響を及ぼす可能性があり、先行きの不透明感は高まっている。
<結論>
今回の事案による影響を定量的に推定できる段階ではないため、モーニングスターはニデックの業績予想と適正価値推計値4,000円を当面据え置く。ただし、本事案を受け、不確実性レーティングを「中程度(Medium)」から「非常に高い(Very High)」に変更している。
- 現経営陣の下で行われた構造改革によって当社のファンダメンタルズは安定しており、ニデック株が割安であるとの我々の見方に変更はない。しかし、ガバナンス上の問題が重石となり、状況が明確になるまではディスカウントが解消されない状況は続くだろう。
<行間を読み解く>
ニデックは創業者である永守重信氏の強力なリーダーシップの下、長年にわたる積極的なM&A戦略の展開により、他社を上回る成長を遂げてきた。しかし、迅速な経営判断は当社の強みではあるが、企業規模の拡大に重きが置かれた結果、ガバナンス体制の構築が後手に回った可能性があろう。
- 積極的な買収戦略を採る企業は、特に悪質なケースにおいては、意図的にM&A会計を悪用して弱点を隠蔽し企業価値の水増しを図る場合もある。しかし、今回のニデックのケースは、これには該当しないと我々は考えている。
- 現経営陣は既に当社の課題を十分に認識しており、事実、ガバナンスの強化や経営判断の透明化に着手し始めていたところであった。それゆえ本件は、現在の経営改革を加速させて当社に透明性と規律を浸透させる好機ともなり得るだろう。◇
<ニデックの財務概要および主要指標>
| 2024年 実績 | 2025年 実績 | 2026年 予想 | 2027年 予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益(10億円) | 2,347 | 2,607 | 2,600 | 2,780 |
| 収益成長率(%) | 4.7 | 11.1 | -0.3 | 6.9 |
| 営業利益(10億円) | 162 | 240 | 260 | 295 |
| 営業利益率(%) | 6.9 | 9.2 | 10.0 | 10.6 |
| 調整後EBITDA(10億円) | 320 | 361 | 403 | 443 |
| 調整後EBITDAマージン(%) | 13.6 | 13.9 | 15.5 | 15.9 |
| 1株当り利益(希薄化後・円) | 108.30 | 145.95 | 176.22 | 196.72 |
| 調整後1株当り利益(希薄化後・円) | 108.30 | 145.95 | 176.22 | 196.72 |
| 調整後EPS成長率(%) | 177.0 | 34.8 | 20.7 | 11.6 |
| PER | 56.6 | 17.1 | 13.7 | 12.3 |
| PBR | 4.3 | 1.7 | 1.5 | 1.4 |
| EV/EBITDA倍率 | 13.9 | 11.1 | 7.8 | 7.1 |
| FCF利回り(%) | ー | ー | ー | ー |
出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年9月5日時点
<モーニングスターによる指標>
● エコノミック・モート・レーティング:「狭い(Narrow)」
● 適正価値推計値:4,000円
● モーニングスター株式レーティング:★★★★★(非常に割安)
● 不確実性レーティング:「非常に高い(Very High)」
● 資本配分レーティング:「模範的(Exemplary)」
※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による9月4日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

