ニデック(6594)は、2025年度上期(2026年3月期)の営業利益が、一時的な費用計上により前年同期比で82.5%減少したと発表した。同社は、不正会計の可能性に関する第三者委員会の調査が年内には終了しない見通しであると示唆した。
<決算のポイント>
第三者委員会による調査は未だ完了しておらず、現時点では潜在的な不正会計の範囲や経営陣の関与の程度を判断することは困難である。ニデックは上期に877億円の一時損失を計上したが、調査結果次第では、損失額がさらに拡大する可能性もあろう。
- 11月初旬、ニデックは第三者委員会に対し、トラクションモーター事業およびMOEN(モーション&エナジー)事業部門が調査対象に含まれることを確認した。また、車載インバータ事業についても、後日調査対象に追加される可能性があると述べている。
- 第三者による調査委員会設置から2か月が経過したが、依然として調査対象範囲の特定が終わっていないこと自体が、事態の深刻さを示しているとわれわれは考える。
<結論>
モーニングスターは、ニデックの適正価値推計値を2,500円に維持し、不確実性レーティングは「極めて高い(Extreme)」を継続する。本件の影響は依然として不透明であり、同社の情報開示は市場の信頼を得られないため、株価の重石となり続ける見込みである。
<今後の展望>
2025年10月28日、東京証券取引所はニデックを特別注意銘柄に指定した。ニデックは指定解除のために1年以内に報告書を提出し、東証の審査を受ける必要がある。東証がニデックの内部統制を十分に整備・運用されていると判断した場合には指定は解除されるが、改善の見込みがないと判断されれば、最悪の場合には上場廃止もあり得る。
- 積極的なM&A戦略の展開がこれまでのニデックの高成長を支えてきたことは事実であるが、迅速な経営判断を優先するあまり、コーポレートガバナンス体制の構築が後手に回った感は否めない。
- ニデックは2025年10月に社内に再生委員会を設置し、2026年1月下旬に内部管理体制の改善計画を公表する予定である。
- 再生委員会は「高い倫理観で『正しい』を最優先に実践できる企業として再生」することを目的として掲げており、これは方向性としては間違ってないものと思われる。◇
<ニデックの財務概要および主要指標>
| 2024年 実績 | 2025年 実績 | 2026年 予想 | 2027年 予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益(10億円) | 2,347 | 2,607 | 2,600 | 2,780 |
| 収益成長率(%) | 4.7 | 11.1 | -0.3 | 6.9 |
| 営業利益(10億円) | 162 | 240 | 260 | 295 |
| 営業利益率(%) | 6.9 | 9.2 | 10.0 | 10.6 |
| 調整後EBITDA(10億円) | 320 | 361 | 403 | 443 |
| 調整後EBITDAマージン(%) | 13.6 | 13.9 | 15.5 | 15.9 |
| 1株当り利益(希薄化後・円) | 108.30 | 145.95 | 176.22 | 196.72 |
| 調整後1株当り利益(希薄化後・円) | 108.30 | 145.95 | 176.22 | 196.72 |
| 調整後EPS成長率(%) | 177.0 | 34.8 | 20.7 | 11.6 |
| PER | 56.6 | 17.1 | 12.8 | 11.4 |
| PBR | 4.3 | 1.7 | 1.4 | 1.3 |
| EV/EBITDA倍率 | 12.5 | 9.0 | 7.4 | 6.7 |
| FCF利回り(%) | ー | ー | ー | ー |
出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年10月28日時点
<モーニングスターによる指標>
● エコノミック・モート・レーティング:「狭い(Narrow)」
● 適正価値推計値:2,500円
● モーニングスター株式レーティング:★★★(中立)
● 不確実性レーティング:「非常に高い(Extreme)」
● 資本配分レーティング:「模範的(Exemplary)」
※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による11月17日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

