資生堂(4911)が発表した2025年度上半期(1-6月期)の決算は、純利益が95億円と2025年通期の会社ガイダンスである60億円を上回った。しかし、下半期に計上予定の費用が利益を圧迫する見込みのため、通期ガイダンスは据え置いた。
<決算のポイント>
資生堂の4-6月期の業績はほぼモーニングスターの予想通りだったため、我々の利益予想は若干の修正にとどまった。中国における売上低迷は依然として逆風であり、その他の地域での競争激化も懸念されるが、モーニングスターはこれらのリスクはおおむね株価に織り込まれていると考えている。
- モーニングスターの見方は3ヵ月前と比べて若干改善した。資生堂は、第2四半期(4-6月期)の中国での1桁台前半の売上高増加がトラベルリテールの低迷を補う一因となったとしている。モーニングスターは、2026年には中国での売上高が、そして2027年にはトラベルリテールの売上高が、通年で成長に転じると考えている。
- 2023年、2024年に減少した資生堂の主力ブランド商品の売上高も、その後堅調に推移している。一方で我々の懸念材料の一つは、引き続き他社との競争がブランドを圧迫することだ。クレ・ド・ポーとNARS(ナーズ)の売れ行きは好調ではあるが、資生堂ブランドは新製品による成長のテコ入れが必要だとモーニングスターは考えている。
<結論>
モーニングスターは、資生堂の適正価値推計値を1株当たり2,950円に据え置いたが、現在の株価は割安であると考えている。下半期の業績は、世界経済の成長鈍化と約300億円の一時的な費用増の影響を受ける可能性があるが、これはすでに同社の株価に織り込まれている。
- 資生堂は現在コスト削減に注力している。モーニングスターでは当社が2026年度にコア営業利益率7%の目標を達成し、純利益は25年度の61億円から26年度には456億円に急回復すると考えている。
- 個人消費は引き続きリスク要因であるが、これはあくまでも景気循環的なものである。資生堂にとってより重要なことは自社製品の競争力を高く保つことである。一方、資生堂が8億4,500万米ドルで買収したドランクエレファントブランドには、減損リスクがあるとわれわれは考えている。
ドランクエレファントは、4-6月期の売上高が前年同期比43%減となり、一向に結果を出せずにいる。資生堂は不振の原因としていまだに流通の問題を指摘しているが、思春期前の子供たちに人気だった同ブランドが彼らの支持を失ったとモーニングスターは考えている。若年消費者の関心は移り変わりが早く、それが不振の一因とみられる。
同社ブランドグループが更に安定的な製品への支持を集めるためには、より年齢層の高い顧客層に向けてブランドを再構築する必要がある。特に米国市場は、オンライン販売チャネルの拡大に伴い、より多数のブランドが実店舗に投資することなく高級美容関連市場に参入できるようになったため競争が激化している。このため、ブランドを再構築するにはある程度時間を要するだろう。
主力3ブランドである資生堂、クレ・ド・ポー、NARS以外では、エリクシールが前年同期比で売上成長13%増と引き続き堅調である。エリクシールは日本以外の国でもプレゼンスを高めつつあり、アジアでは一定の認知度を得つつある。これは今後資生堂グループ全体の成長を支えるものと期待されている。 ◇
資生堂の財務概要および主要指標
| 2024年 実績 | 2025年 実績 | 2026年 予想 | 2027年 予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益(100万円) | 973,038 | 990,586 | 972,266 | 1,004,673 |
| 収益成長率(%) | -8.8 | 1.8 | -1.8 | 3.3 |
| 営業利益(100万円) | 16,739 | 1,748 | 42,780 | 70,327 |
| 営業利益率(%) | 1.7 | 0.2 | 4.4 | 7.0 |
| 調整後EBITDA(100万円) | 115,334 | 112,025 | 108,700 | 145,678 |
| 調整後EBITDAマージン(%) | 11.9 | 11.3 | 11.2 | 14.5 |
| 1株当り利益(希薄化後・円) | 54.40 | -27.05 | 15.18 | 114.16 |
| 調整後1株当り利益(希薄化後・円) | 54.40 | -27.05 | 15.18 | 114.16 |
| 調整後EPS成長率(%) | -36.4 | -149.7 | -156.1 | 652.1 |
| PER | 78.2 | -103.0 | 158.2 | 21.0 |
| PBR | 2.7 | 1.8 | 1.5 | 1.5 |
| EV/EBITDA倍率 | 16.1 | 11.9 | 11.2 | 8.3 |
| FCF利回り(%) | ー | ー | ー | ー |
出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年8月6日時点
<モーニングスターによる指標>
エコノミック・モート・レーティング:「狭い(Narrow)」
適正価値推計値:2,950円
モーニングスター株式レーティング:★★★★(割安)
不確実性レーティング:「高い(High)」
資本配分レーティング:「標準的(Standard)」
※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターのロレイン・タンによる8月6日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

