2026年の第2四半期、アジア市場は堅調に推移したが、その主因はAIへの期待を背景とした半導体、関連機器メーカー、サプライチェーン関連企業の大幅なアウトパフォームにあった。これらを除けば、市場のリターンは実は平凡なものであった。イラン情勢による下落からの反発を考慮すると、ヘルスケアセクターは顕著な下落を記録した。
今後の見通しとしては、香港・中国市場全体は引き続き魅力的な市場であると考えており、モーニングスターによる適正価値推計値に対して割安な水準で取引されている。一方、日本市場は適正な評価水準にあると見ている。それでも、依然として投資機会は存在しており、当社の調査対象銘柄における「投資を検討」推奨企業の割合は、第1四半期とほぼ同水準を維持している。
アジアの株式市場は上昇しているが、好調なのはテクノロジーセクターのみ
アジアの株式市場全体は、第2四半期に約32%上昇した。これは、イラン戦争のリスクが後退したことに加え、AI関連設備投資に対する楽観的な見通しを受けてテクノロジーセクターが記録的な上昇を見せたことによる。アジアのテクノロジー企業は、当四半期に約93%上昇した。
その他のセクターは、月並みなリターンにとどまった。景気非連動型消費財・サービスセクターは、イラン情勢による調達コストの上昇懸念から下落が続いた。一方、ヘルスケアセクターの反落は、2025年の大幅な上昇を受けた利益確定売りを反映したものと見られる。
アジア株式、セクター別リターンの比較。第二四半期はテクノロジーが突出している
アジア市場全体に占めるテクノロジーセクターの比率は2025年末の19%から、現在は約30%を占めるまでに増加した。時価総額ベースで金融セクターを抜いて、最大のセクターとなっている。その結果、今ではアジア市場全体の約半分を、テクノロジーと金融の2つのセクターが占めている。
金融や資本財セクターでも堅調な上昇が見られた。金融セクターは良好な利ざや環境の恩恵を受けており、資本財セクターはAI関連の投資が追い風になっている。通信サービスセクターの上昇は、主にソフトバンクグループ(9984、OTCM:SFTBY)1社によるものである。
投資機会は通信サービス、消費財、ヘルスケアの各セクターにある
当社が調査対象とする中国・香港企業(二重上場を含む)のうち、株価が4つ星(割安)または5つ星(非常に割安)の水準にある企業は、第1四半期の62%から第2四半期は78%に増加した。Eコマース、旅行、景気非連動型消費財、ヘルスケア関連企業などの株価がさらに下落したことで、当社が調査対象とする中国関連企業では、「アウトパフォーム(市場平均以上のパフォーマンスが期待できる)」と評価される企業が増加した。一方、テクノロジー関連企業で「割安」水準にあるのは、主に太陽光パネル関連企業であるが、この分野では生産能力の過剰が短期的な懸念材料として残っている。
中国・香港株式、セクター別モーニングスター・レーティングの評価分布
日本市場の堅調な上昇もテクノロジーセクターが牽引したが、値上がりはより幅広いセクターに見られた。
テクノロジーセクターは、第1四半期の調整局面から大幅に反発した結果、当社の適正価値推計値に対して14%割安な水準から24%の割高に転じた。このセクターへの投資を検討するには、20%~30%程度の調整を待つことが望ましいだろう。一方で、ディフェンシブセクターは割安感が増しており、特にヘルスケアセクターは、われわれの適正価値推計値に対して、割安幅が前四半期の平均4%から現在は20%へと拡大している。
日本株式、株価/適正価値推計値 倍率の推移
この背景には、調査対象銘柄の固有要因による第1四半期の決算の内容と会社見通しがまちまちだったことがある。ただし、悪材料はすでに株価に織り込まれており、バリュエーションは魅力的である。なお、インフレは国内消費への圧力となるため消費材関連企業にとってリスクとなっている。高級路線からより大衆向け商品へシフトするダウントレーディングの傾向は、高止まりする原価とともに利益率を圧迫し続ける可能性がある。
第2四半期に日本市場全体が23%上昇したにもかかわらず、当社が調査対象とする日本企業のうち、4つ星(割安)または5つ星(非常に割安)の評価を受けた企業の割合は38%と、概ね横ばいで推移している。第1四半期の決算を受けて業績見通しが上方修正されたことで、バリュエーションは引き上げられたが、依然としてほとんどのセクターに投資機会があると見ている。円安の進行は、輸出関連企業にとって一定の追い風となると予想される。
日本株式、セクター別モーニングスター・レーティングの評価分布
セクター別見通し
景気循環型セクター
当社の選定リストには、消費動向や需要が正常化した際の「景気サイクル中盤(ミッドサイクル)」の予測と比較して、明らかに過小評価されていると当社が判断した企業を挙げている。特に、中国のいくつかの業界において、過剰な生産設備や過当競争が緩和に向かい、今後5年間で利益率の改善が見込まれると予想している。また、われわれは金利環境が有利になると見ており、金融セクターやREITには、より短期的な株価上昇の可能性があると考えている。
景気敏感セクター
テクノロジーセクターは第2四半期に大幅に上昇したため、現在、新たな投資機会は限られている。当社は、依然として出遅れている企業を選好しており、その中にはエコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」を持つ業界リーダーであるTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC、XTAI: 2330、ADR: TSM)や、Sino American Silicon(5483)などが含まれている。半導体製造装置メーカーのアドバンテスト(6857)は、「アウトパフォーム」評価に移行する直前の水準にあり、AI関連投資に伴う収益見通しの改善から恩恵を受けると見ている。リストに挙げているインターネット・メディア関連企業は、AIによる事業破壊(ディスラプション)リスクを懸念されて売られたが、われわれはそれを市場の過剰反応であると考えている。任天堂(7974)については、メモリチップ高騰が収益の重石となる可能性があるものの、ゲーム関連企業の現在の株価は本質的価値に対して割安であり、魅力的な水準にあると考えている。
ディフェンシブ・セクター
生活必需品セクター、特にビールメーカーは成長率の鈍化に伴い株価が押し下げられた。しかし、成長鈍化はすでに株価に織り込まれていると考えられ、強力なブランド力を持つ主要企業は、業界再編やプレミアム製品への消費回帰の流れによって、市場シェアを維持、あるいは拡大することも可能だと見ている。第2四半期に相対的に低調だったヘルスケア関連企業や、最近の調整局面にある中国の公益事業については、概して根拠のない下落であると考えられるため、当社はInnovent Biologics(01801)、HOYA(7741)、およびChina Longyuan Power Group(00916)をリストに追加している。◇
※ 本稿はモーニングスターの「What’s Next for Asian Stock Markets?」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

