モーニングスターは、電子機器およびデータストレージインフラ向けのNANDフラッシュメモリ製造大手である日本の半導体メーカー、キオクシアホールディングス(285A)のカバレッジを開始する。キオクシアは2024年時点で世界第3位のNANDフラッシュメモリメーカーであり、数量ベースにおける世界シェアは14%である。
<結論>
モーニングスターは同社株式の適正価値推計値を1株当たり9,000円とし、株価は割高な水準にあると考える。NANDはコモディティ化された製品でありスイッチングコストと技術的障壁が低く、また、市場動向による価格変動が大きい景気循環的な製品であるため、われわれはキオクシアのエコノミック・モート・レーティングを「なし(none)」としている。
- 人工知能に関連した旺盛な投資と短期的な供給不足により、NAND価格は足元で急騰している。しかし現在同社の株式を購入するのは、NAND価格が構造的に高止まりするという期待に基づいた投資であり、当社はその見方には賛同しない。当社はAI関連の高額な投資は長期的に持続できないと考えており、メモリ価格の循環性は今後も続くと予想している。
<事業戦略と展望>
モーニングスターはキオクシアの今後5年間の売上高成長率を年率8%と予測する。これは主に18%の数量ベースの成長率に支えられるが、長期的なNAND価格の低下により一部相殺されると考える。中期的な営業利益率見通しは、長期での価格循環性を踏まえて24%とし、2024年の26%から低下すると予想する。
- 当社は、ネットワーキング速度の向上やデジタル化の進展により電子機器のメモリ搭載量が増加すると考えており、NANDメモリストレージ需要は長期的に堅調に推移すると予想する。また、AIの登場と普及は、データセンターにおけるハードディスクドライブからの置き換えを促進する要因となるだろう。
- キオクシアは、同業他社と比較して抑制された設備拡張を続けており、固定費の増加を抑制したことで過去3年間のNAND関連の営業利益率を相対的に高位に保っている。この優位性は、競合他社が高い減価償却費を吸収し続ける今後5年間においても概ね維持されると当社は考える。
<行間を読み解く>
キオクシアのNAND価格は、大口顧客との長期供給契約を低価格で結んでいたためSandisk(SNDK)などの競合他社の価格に比べて出遅れているが、2026年には、契約価格の見直しによる大きな上昇を見込んでいる。◇
<キオクシアホールディングスの財務概要および主要指標>
| 2024年 実績 | 2025年 実績 | 2026年 予想 | 2027年 予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益(10億円) | 1,077 | 1,706 | 1,951 | 2,392 |
| 収益成長率(%) | -16.0 | 58.5 | 14.4 | 22.6 |
| 営業利益(10億円) | -258 | 442 | 471 | 809 |
| 営業利益率(%) | -24.0 | 25.9 | 24.1 | 33.8 |
| 調整後EBITDA(10億円) | 65 | 734 | 803 | 1,135 |
| 調整後EBITDAマージン(%) | 6.0 | 43.0 | 41.2 | 47.4 |
| 1株当り利益(希薄化後・円) | -470.97 | 502.66 | 513.48 | 979.34 |
| 調整後1株当り利益(希薄化後・円) | -470.97 | 502.66 | 513.48 | 979.34 |
| 調整後EPS成長率(%) | 76.4 | -206.7 | 2.2 | 90.7 |
| PER | ー | 4.8 | 25.9 | 13.6 |
| PBR | ー | 1.8 | 7.1 | 4.7 |
| EV/EBITDA倍率 | ー | 1.8 | 10.3 | 7.3 |
| FCF利回り(%) | ー | ー | ー | ー |
出所:Morningstar Valuation Model. データは2026年1月15日時点
<モーニングスターによる指標>
- エコノミック・モート・レーティング:「なし(None)」
- 適正価値推計値:9,000円
- モーニングスター・株式レーティング:★★(割高)
- 不確実性レーティング:「非常に高い(Very High)」
- 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」
※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト、ジンジエ・ユによる1月15日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

