SKハイニックス【決算】:利益はわずかに市場予想に届かず。メモリ価格ピークの低下を示唆するが、株価急落には行き過ぎ感もある。

メモリ価格のピークが予想より低くなる見通しにより、適正価値推計値を引き下げ。

SKハイニックス本社ビルの様子です。
Seung-il Ryu/NurPhoto 通じて Getty

<SKハイニックスの決算概観>

SK Hynix(KRX:000660SKHY)の6月四半期の売上高は79兆ウォン(約8兆9400億円)、営業利益率はは76%となり、前四半期比でそれぞれ51%、479ベーシスポイント増加した。決算発表後、同社の株式は10%安で取引を終えた。

<重要なポイント>

売上高はモーニングスターの予想をわずかに下回った。これは、NAND価格の上昇が当社見通しである70%に届かず、56%にとどまったためだが、価格上昇が顧客であるデバイスメーカーの許容できる限界に達し、価格引き上げに抵抗を示したことが原因と考えられる。当社は、従来型メモリの価格上昇ペースが予想より早く鈍化し、長期的には価格のピーク水準が抑制されると予想している。

  • 現在、メモリはPCやスマートフォンの部品コストの30%~40%以上を占めており、過去平均の2倍なっている。メモリ高騰による端末価格の上昇が、消費者の購買意欲に深刻な影響を及ぼしているため、SK Hynixの顧客である民生用電子機器メーカーは価格交渉で抵抗感が高まっているとわれわれは見ている。
  • それでも、NANDおよびDRAMのプロセス移行コストの低減により、営業利益率は当社見通し並みの水準であった。また、HBM4の出荷拡大も収益性を支えると考えられる。当社はHBM4の価格がHBM3Eより50%〜60%高くなると予想しており、これが引き続き短期的な収益性を下支えしていくだろう。

<結論>

当社は、現在のメモリ価格サイクルにおけるピークが予想より低くなることを踏まえ、SK Hynixの適正価値推計値を8%引き下げ、1株当たり220万ウォンとする。また、ADR(米国預託証券)についても5%引き下げ、152ドルとする。一方、メモリ市場の景気循環についての見方に変更はないため、米国の同業他社との比較では現在の株価下落は行き過ぎであると考えており、下落後の同社の株価は、割安な水準にあると見ている。

  • 当社は、サイクル全体を通じてメモリ価格のピーク水準が予想より低くなることを踏まえて、2026〜28年の売上高見通しを5%〜10%引き下げる。一方で、HBM4の歩留まり改善が当社の予想を上回るペースで進んでいるため、営業利益率の見通しは据え置いている。これは、SK Hynixが新世代製品を立ち上げる能力の高さを改めて裏付けている。そのため中期的な見通しには概ね変更はない。
  • SK Hynixの2027年予想PBR(株価純資産倍率)は1.4倍で、これは概ね同様の事業環境にあるMicron(MU)の2.1倍に比べて大幅に割安と見られる。今回の株価下落は、メモリ価格が市場の予想を下回ったことが一因と見られるが、信用取引によるレバレッジ投資の巻き戻しも下落幅を拡大させたと考えている。

<今後の展望>

SK Hynixは世界第2位の半導体メモリメーカーであり、2024年時点でDRAM市場の約30%、NAND市場の約20%のシェアを占めている。半導体メモリは、多種多様な電子機器や電子インフラで使用されている。

通信規格の進化がコンテンツの高度化や非IT産業のデジタル化を促し、あらゆるデバイスでコンテンツ量が増大するに伴い、半導体メモリの需要は長期的に増加するだろう。近年では、AIの普及が高性能メモリに対する需要を大きく牽引している。生成AIアプリケーションの稼働に必要な大規模言語モデルは、膨大なメモリ容量を必要とするため、AIの導入拡大と技術進化は長期的なメモリ需要を強力に支えるだろう。

SK Hynixは、AIサーバー向けに現在需要が急増しているHBM(高帯域幅メモリ)製造で競合他社に先行したことで、DRAM分野での競争力を高めている。HBMは平均販売価格や利益率が高いため、同業他社を上回る売上高の伸びや収益性向上に大きく貢献している。

当社は、SK Hynixは競合他社に先駆けてHBMの研究開発に注力してきたため、中期的にHBM市場を主導すると考えている。しかし、長期的にはこの優位性が縮小していくことが予想される。HBMの製品サイクルは1〜2年と短く、競合各社は特定の製品世代を飛ばしてその次の世代のHBM開発に集中することで機会損失を抑えることができるからである。また、新たな製造技術が導入されるにつれて、既存工程で蓄積されたSK Hynixの優位性は薄れてゆき、収益性はより緩やかな水準になると見込まれる。

HBM以外の分野でも、中国の新規参入企業の技術力が急速に向上していることから、競争は激化すると予想される。それでも当社は、SK Hynixが規模の優位性、研究開発力、豊富な製造ノウハウの専門性を備えているため、長期的にも業界をリードする主要企業であり続けると考えている。

<モーニングスターによる指標>

  • エコノミック・モート・レーティング:「なし(None)」
  • 適正価値推計値:220万ウォン(KRX)、152ドル(ADR)
  • モーニングスター・株式レーティング:★★★★(割安)
  • 不確実性レーティング:「非常に高い(Very High)」
  • 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(10億ウォン)66,19397,147344,370537,184
収益成長率(%)102.046.8254.556.0
営業利益(10億ウォン)23,46747,206264,581426,414
営業利益率(%)35.448.676.879.4
調整後EBITDA(10億ウォン)37,32059346,674456,114
調整後EBITDAマージン(%)56.461.2100.784.9
1株当り利益(希薄化後・ウォン)28,720.0761,665.64353,189.71471,450.63
調整後1株当り利益(希薄化後・ウォン)28,720.0755,238.06353,189.71471,450.63
調整後EPS成長率(%)-317.592.3539.433.5
PER6.111.84.03.0
PBR1.63.82.51.4
EV/EBITDA倍率3.57.52.82.1
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2026年7月30日時点

※ 本稿はモーニングスターのエクイティ・リサーチ エクイティ・アナリストKangyunxiao Liによる7月29日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

編集者注記: 本分析は、もともとモーニングスター・エクイティ・リサーチによる株式レポートとして公開されたものです。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針