世界中どこでも、投資家はある程度のホーム・バイアス、つまりグローバルに株式投資をするより自国の株式を好む傾向があるが、それは自然なことだろう。誰もが自国の企業やブランドについてよく知っているので、投資をするなら自国のそうした企業の方が安心だと感じるからである。
しかし、今日の投資環境では、「国際的なエクスポージャーを追加することは、広く分散されたポートフォリオを構築する第一歩になる」と、モーニングスターのポートフォリオ・ストラテジストであるエイミー・アーノットは述べている。
例えば米国の投資家は、米ドルが弱含んだ場合、欧州やアジアの株式に投資をしていればその影響を緩和することができる。その点を踏まえ、個別株式の投資においてどのように国際投資に取り組めばよいだろうか?
重要な前提は、モーニングスターでは日々の株価変動や「ホットな情報」という視点で投資を考えないということだ。個別株式を保有することは、特定の企業やその基盤となる事業の一部を所有することだと我々は考えている。
たとえば、自動車を購入する前に選択肢を調査し比較する労力を考えてみよう。大抵の人はかなり手間暇をかけるはずで、その結果として自分のニーズに合った、期待を上回るような信頼できる移動手段を手に入れることができる。株式を購入する際のアプローチでも同じことが言えるのである。
優良企業を見極める最良の方法の一つは、モーニングスター・エコノミック・モート・レーティングを確認することである。これは企業の競争優位性を評価するものである。 「エコノミック・モート(経済的な堀)」という概念はウォーレン・バフェット氏が提唱したもので、同氏は次のように述べている。
投資の鍵は……特定の企業の競争優位性を判断し、何よりもその優位が持続するかどうかを見極めることだ。広くて突破しにくい広い堀に囲まれた(城のような)製品やサービスこそが、投資家にリターンをもたらすのである。
ウォーレン・バフェット氏のことば
モーニングスターは、この「エコノミック・モート」の評価を起点として、投資家が保有を検討すべき企業リストを作成している。モーニングスターのアナリストが調査対象とする最良の企業として、これらの企業はエコノミック・モート評価で「広い(wide)」を獲得しており、安定して強い競争優位性を持っている、あるいは競争力が増している。さらに、予測可能なキャッシュフローを確保しており、資本を効果的に配分している。
※ 企業選定のメソドロジーの詳細はこちらで確認いただけます。
以下のリストにある企業は、米国以外の地域に拠点を置いているが、米国の投資家も投資可能な37社のリストである。
Best International Companies to Own
このリストに最も多く含まれるセクターは資本財であり、11社が該当する。次いで生活必需品とヘルスケアがそれぞれ10社と6社である。
注意点として、このリストにあるすべての企業の株式をすぐに購入することを推奨するものではない。むしろ、注目すべき企業として、魅力的な投資機会を探すためのウォッチリストである。たとえ最良の企業であっても、割高な価格で購入すれば悪い結果に終わる可能性がある。このリストに含まれる企業の中には、現在過大評価されているものもあることに留意されたい。
とはいえ、モーニングスターのフェアバリュー推定に基づき、2025年12月10日時点で5つ星評価(非常に割安)を獲得した4社を以下に挙げる。これは割安と判断されている企業である。
- Coloplast(コロプラストCLPBY):デンマークに本社を置く医療機器・医療用品メーカー
- RELX(RELX):英国に本拠を置くビジネス分析および意思決定ツールのグローバルプロバイダー
- Thomson Reuters(トムソン・ロイターTRI):カナダに本拠を置くビジネス情報サービスの大手
- Yum China Holdings(ヤムチャイナホールディングスYUMC):中国に本拠を置く同国最大のレストランチェーン
以下は、これら4つの割安な水準にあると評価される企業についての、モーニングスターのエクイティ・アナリストの見解である。
コロプラスト
デンマークに本社を置くColoplastは、世界のストーマケアおよびコンチネンスケア分野のリーダーである。同社は集約型の泌尿器市場や分散型の創傷ケア市場にも進出しているが、それらの分野では周辺的なプレーヤーにとどまっている。一方で、ストーマケアおよびコンチネンスケアにおいては一貫した付加価値の高いイノベーションの長い実績があり、欧州での支配的地位と米国での成長を実現している。
2008年以来、同社は収益性の高い成長に注力しながらコスト構造の削減に成功してきた。生産の大部分をハンガリー、中国、コスタリカに移した後、Coloplastは競合のConvatecを1,150ベーシスポイント以上上回る粗利益率を享受している。現在、同社は米国市場を重視し、新たな地域への進出によって成長を強化する方向にシフトしている。
モーニングスターは長年にわたり、ストーマ製品や間欠的自己導尿(カテーテル)に対するユーザーフレンドリーな改良を提供する同社の能力を高く評価してきた。最近では、より高度な技術を製品に組み込み、これらの改良の価値を示すための臨床試験への投資を強化している。例えば、新しい間欠的自己導尿(カテーテル)「Luja」は膀胱からより完全に尿を
排出することができ、尿路感染症のリスクを低減する。
一方で、創傷ケア部門については競合製品の投入が相次いでおり、我々はやや慎重に評価している。Coloplastの創傷ケア製品群は歴史的に低技術のフォームに依存しており、ハイドロファイバーや抗菌製品へと進化する高度創傷ケア市場において脆弱性を抱えている。また、この市場のすべての競合と同様に、顧客にとってスイッチングコストは比較的低い。さらに、創傷ケア製品の大半は患者ではなく医療提供者に販売されるため、購買組織や政府入札による価格圧力が大きい。しかし、Kerecisの買収により、同社は魚皮を用いた独自の治療法で急成長する生物学的創傷ケア分野において強力な競争力を獲得している。
Debbie Wang(シニアアナリスト)
RELX
英国に本社を置くRELXは、さまざまな業界の専門家向けにビジネス情報、分析、意思決定ツールを提供するグローバル企業である。同社は主に、キュレーションされた情報データベース、分析、ジャーナルへのアクセスを作成・販売することで収益を得ている。さらに、展示会やカンファレンスなどの主要イベントも開催している。
情報および分析製品のほぼすべてはデジタルで提供され、印刷は同社の事業のごく一部に過ぎない。提供サービスは主にサブスクリプション形式で販売され、収益の約55%を占めている。残りの45%の取引型収益も、容量要素を含む長期契約に基づいており、実質的に継続的な性質を持つ。
RELXの戦略の核心となる理念は、情報に基づく分析および意思決定ツールのポートフォリオを拡大し、顧客の日常業務の生産的をより高め、より良い意思決定を行えるよう支援することである。同社はまた、選択的な買収と有機的成長によって高成長の隣接する分野や地域への進出を目指している。さらに、コスト増加を収益成長以下に抑えるために、継続的な事業プロセスの革新に注力している。
同社は戦略目標に関する具体的な数値を示していないが、収益および利益成長の改善と高いリターンを目指している。我々は、年率で一桁台半ばのオーガニック収益成長率と、10~40ベーシスポイントの調整後営業利益率の増加を期待できると考えており、さらに同社のビジネスの不確実性について「(不確実性が)低い(Low)」と評価している。
Rob Hales(シニアアナリスト)
トムソン・ロイター
Thomson Reutersは、主に米国で法務、税務、会計、リスク情報サービスおよびソフトウェアを提供する大手企業である。同社のコンテンツ駆動型テクノロジーは、以下の3つの主要な業務を顧客が遂行する際に支援するものである:(1)業界特有の複雑な課題の解決、(2)法的文書、税務申告書、コンプライアンス報告書などの文書作成、(3)新規顧客の受け入れや特定ベンダー利用の可否などのリスク管理、である。さらに、Reuters News事業は世界有数の独立系ニュース機関の一つである。
同社の戦略目標は過去数年間一貫している。第一に、最良の事業と機会への投資を優先する、いわゆる「戦略的7分野」である。これには、WestlawやUltraTax CSといった主力製品、SurePrepやCoCounselといった新しいポートフォリオ製品が含まれる。第二に、製品イノベーション、特に生成AIに関連する分野への投資を増加させることである。第三に、事業ポートフォリオの最適化である。Thomsonは近年、ロンドン証券取引所グループに対する数十億ドル規模の持分を売却し、急成長する隣接事業を複数買収する一方で、成長の遅い事業を売却し、健全なバランスシートを維持してきた。今後も小規模な追加買収が見込まれる。
Thomsonは2026年までにオーガニック収益成長率7.5~8.0%(主要3セグメント合計で9.5%の成長を含む)を目標としている。さらに、フリーキャッシュフローは少なくとも20億ドル、EBITDAマージンは2025年比で50ベーシスポイントの増加が見込まれる。
Rob Hales(シニアアナリスト)
ヤムチャイナ
中国の外食産業は、不動産市場の低迷と大規模な経済刺激策の欠如が消費支出を圧迫し、逆風に直面している。このような環境では投資家は、価格面で積極的に対応できる大規模な企業に注目することが望ましい。価値重視の企業は通常、景気低迷期においてより良いパフォーマンスを示す。また、健全なバランスシートも重要である。
Yum Chinaは、細分化された7,000億ドル規模の中国外食市場においてシェアを拡大する好位置にある。現在の逆風にもかかわらず、同社はクイックサービスレストラン分野の長期的な成長に自信を持っている。その成長は、(1)オフィスワーカーの増加、(2)可処分所得の上昇、(3)核家族化という3つの構造的な社会の潮流に支えられている。
Yum Chinaの規模の優位性は、競争力のある価格設定、一貫した品質とサービスに結びつき、信頼できる外食体験を求める消費者との信頼関係を構築している。これにより、チェーンレストランへの支出比率が外食産業界全体のわずか20%に過ぎない中国市場においてシェアを獲得する好機を得ている(同シェアの世界平均は35%、米国は60%)。
Lavazzaや黄記煌(ファンジファン)といった新興ブランドは、最近では経済減速の影響で言及が減っているものの、依然として長期的な魅力を持つとモーニングスターは考える。これは、差別化された商品、景気回復後の成長可能性、そしてグループの社内サプライチェーンを活用した食品コスト削減能力に起因する。
同社は2024~2026年に以下の目標達成を見込んでいる:(1)年間平均1,800店舗の純増、(2)EPSの二桁成長率、(3)年間15億ドルの株主還元である。さらなる経済減速や外食市場の成長鈍化の可能性を認識しつつ、経営陣は以下の方法でシェア拡大を計画している:(1)KFC未進出の低位都市への拡大、(2)KFCはあるがPizza Hutがない都市への進出と、不採算店舗の低価格・低投資・小型店舗型Wowフォーマットへの転換、(3)高速道路沿いや病院、大学キャンパスなど戦略的立地でのフランチャイズ展開の加速。
Ivan Su(シニアアナリスト)
※ 本稿はモーニングスターの「Morningstar’s Best Companies to Own」2026年版のハイライト「Best International Companies to Own: 2026 Edition」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と相違がある場合は、原文が優先されます。

