【新規ファンド 設定額ランキング】 2025年12月

両極にある販売方式:インターネット証券による公販と大手金融機関単独販売

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12月の新規設定ファンドは39本、当初設定額の合計は634億円だった。41本、1935億円であった11月に比べると、設定額はほぼ3分の1となっている。

さらに多様化する投資対象、投資手法

12月の新規投信の顔ぶれは多彩だ。投資対象として人気があるのは、引き続き株式型(23本)、金(3本)である。

株式型では、国内株式4本、外国株式17本のほか、株式・その他型に分類されるプライベート資産に投資するものが2本あった。個々のファンドの内容をみると、投資地域では米国だけでなく、アジア、欧州、特定国ではインド、ドイツなどに特化したもの、投資テーマではAIやFANG+、金融などがあり、バラエティ豊かである。

ほかにオルタナティブ型(3本)やブルベア型、アロケーション型、債券型なども登場し、これらの新ファンド39本がどのようなファンドであるかを理解するには、投資家サイドにも努力が必要であろう。

投資家の理解を促すという点では、運用会社による情報開示と販売会社による説明が双璧となる。いずれも販促のための情報であるが、メリットやどこが凄いかをホームページの特設頁などを通して発信している商品が増えており、アクセスしやすい情報が充実しつつある。

注目すべきもう一つの潮流は、販社の二極化である。一方の極にはネット証券による公開販売があり、投資意欲の高い投資家が尖った商品を模索するというニーズがあるようだ。自分で情報を得て投資判断を行うDIY投資家層であり、コストにも敏感である。もう一方の極には単独の大手販売会社が専用ファンドとして取り扱う(少なくともファンドのスタート時点では)ものが多く見受けられる。この場合は商品を自分で選択する投資家も居るとは思うが、むしろ対面の営業による説明が付加されることが推察される。

現在の投信勢力図で明らかなのは、アクティブファンドのライバルは他社のアクティブファンドだけではなく、低コストのインデックスファンドだということだ。その点を念頭に、どこがパッシブ運用と異なるのか、そのメリットだけでなくリスク要素やリスク水準の違いを意識した情報開示や説明が望まれる。

設定額は落ち着いており、長期での成長に期待

百花繚乱の新規設定ファンドの姿が帰ってきた。華々しい当初設定額でデビューを飾るファンドがあった11月とは異なり、12月は1位の投信で約300億円、単位型も100億円に届かなかった。かつてのように回転売買のきっかけとしての新ファンドではなく、スローなスタートを切ることも浸透しつつあるようで、落ち着いた販売姿勢をうかがうことができる。

ただし、それら新ファンドの中にはスローなままで終わってしまうもの(繰上償還)もあるのではないかという懸念が頭をよぎる。昨今、ラップ専用ファンドやiDeCo向けファンドなどで繰上償還や販社による取り扱い対象からの除外などが稀なことではないからだ。ラップは商品選定も含めて信頼した一任であり、iDeCoは長期で老後のための資産を積み上げる仕組みであり、顧客はいずれも長期の視点で資産運用を任せているはずだ。取り扱い商品の選定に対する顧客の期待と販社の意識にズレがあるのではないだろうか。

確かに取扱商品の定期的な評価は商品ガバナンスの重要な要素であるが、それは3年、5年といった期間でのパフォーマンス評価のみでは測れないだろう。マーケットトレンドによって、特定の投資対象市場(単純なたとえではグロース、バリューなど)が逆風を受ける期間が3年等を超えることはあり得るからだ。採用時にそのような市場リスクなどの特性も十分に考慮して商品を選定し、その特性に合わせた商品説明を通じて投資家に商品を浸透させる努力こそが、商品ガバナンスの神髄であろう。

今までに無い投資手法や投資対象のファンドや、今までの成功にプラスαを加えたファンドなど、運用会社が工夫を凝らして生みだした新商品である。投資家とともに時間をかけて大きく育つことを期待している。

設定額トップ3の顔ぶれ

12月は国内株式型の「資本効率化フォーカス・ジャパン」(三井住友DSアセット)が、SMBC日興証券が約300億円を集めてトップを飾った。国内上場企業の中で、資本関係の変化に着目して投資対象を選定するファンドである。具体的には、PBRや株式時価総額に対する利益の水準、株主構成等の定量分析と、株主構成の変化の可能性等についての定性分析を行い、グループ企業の資本構成見直し、買収を含む外部資本(ファンドや事業会社)、MBOを通じた非公開化などに着目して、企業価値の向上が期待できる企業に投資を行う方針である。

2位はSBI岡三アセットの「ゴールドマン・サックス社債/ROBOPRO戦略ファンド2025-12《ロボっとプラス》」が岡三証券によって96億円となった。円建てのゴールドマン・サックス社債(ルミニスII・リミテッド発行)に投資を行い、設定日から約6年後の償還価額について、元本を上回る投資成果を目指す単位型の投信である。

ゴールドマン・サックス社債の運用成果は「安定運用部分」と「積極運用部分」に分かれており、「安定運用部分」は主にGS社債に投資を行い、円ベースでの元本確保を目指す。一方、「積極運用部分」はFOLIOが行う資産配分比率についての投資助言を受けて、ゴールドマン・サックス・インターナショナルが算出する「ROBOPRO戦略VT5指数」に連動した実績連動収益の確保を目指す。

FOLIOとそのグループ会社であるAlpaca TechによるAI予測を活用した投資は、「ROBOPROファンド」(SBI岡三アセット)や、単位型「ゴールドマン・サックス社債/FOLIO・AIマルチアセット戦略ファンド2025-05」(三井住友DSアセット)などがある。

3位はアセットマネジメントOneの「ゴールドマン・サックス社債/One米国株式戦略ファンド2025-12《おまもりOne・M》」で、これも単位型である。みずほ銀行による販売で76億円を集めた。こちらもルミニスII・リミテッドが発行するゴールドマン・サックス円建社債に高位に投資し、設定日から約5年後の満期償還時のファンドの償還価額について、元本確保をめざすものである。こちらのファンドの説明では「固定クーポン」「実績連動クーポン」で構成される運用であると説明されており、前者は毎期一定水準の支払いを行い信託報酬等に充当することをめざし、後者は運用開始基準日以来の米国株式戦略指数 VT5(前出)の累積収益率にほぼ連動する水準で支払われる方針である。

ちなみに4位の単位型投信「明治安田グローバル債券/バイ・ザ・ディップ戦略ファンド2025-12《ツイスト》」(明治安田アセット)も「安定運用部分」と「積極運用部分」で構成される外国証券に投資をするもので、6月に設定された同様のファンドのシリーズである。このファンドの積極運用部分は、安定運用部分に対する金利の一部を担保付スワップ取引を通じて実質的に米国株式に投資を行い「J.P.モルガン・ダイナミック・ロング・コール指数」に連動する押し目買い(Buy the Dip)の投資成果を目指す運用方針である。

いずれもなかなかに複雑な投資内容であり、こうした仕組債に二部仕立ての投資を行うファンドが一部で流行していることが分かるだろう。投資家に対しては、運用商品の構造だけでなく、実際のファンドがどのような局面でどのような価格変動や期待収益があるのか、リアルなイメージが持てるような商品説明が必要であろう。

<2025年12月の新規ファンド、設定額ランキング>

順位
設定月日
  運用会社名  
  ファンド名  
追加・ 単位
設定額 ・億円
  販売会社  
112月10日三井住友DS資本効率化フォーカス・ジャパン299.58 SMBC日興証券
212月29日SBI岡三ゴールドマン・サックス社債/ROBOPRO戦略ファンド2025-12《ロボっとプラス》96.27 岡三証券
312月5日AM-Oneゴールドマン・サックス社債/One米国株式戦略ファンド2025-12《おまもりOne・M》75.93 みずほ銀行
412月12日明治安田AM明治安田グローバル債券/バイ・ザ・ディップ戦略ファンド2025-12《ツイスト》32.42 東洋証券;香川証券;第四北越証券;西日本シティTT証券
512月26日しんきんAMしんきん円建て債券ファンド2025-12(限定追加型)《円満日和》25.54 信金中央金庫
612月29日HSBCHSBCユーロランド・バリュー株式ファンド(1年決算型)25.36 いちよし証券
712月16日アモーヴァアモーヴァ/BSマネージャーセレクトファンド(ヘッジ無)19.92 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
812月19日ニューバーガニューバーガー・プライベート・エクイティ・ファンド《ベストオブPE》11.88 Jトラストグローバル証券;岡地証券;三十三銀行;
912月15日ブラックロックiシェアーズ 円高フォーカス ETF《円高ハンター》ETF5.00 上場投信
912月23日中銀AMちゅうぎん4資産バランスファンド<債券重視型>《ちゅうぎんカルテット》5.00 中銀証券;中国銀行;
912月23日中銀AMちゅうぎん4資産バランスファンド<株式重視型>《ちゅうぎんカルテット》5.00 中銀証券;中国銀行;
1212月16日アモーヴァアモーヴァ/BSマネージャーセレクトファンド(ヘッジ有)4.91 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
1312月3日コモンズ投信コモンズ・グローバル30ファンド3.83 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;松井証券
1412月12日野村AM野村マッコーリー・プライベート・インフラ・ファンド(野村SMA・EW向け)3.00 野村證券;
1512月17日SBI AMSBIダルトン日本アジア・アクティビストファンド2.94 SBI証券
1612月9日ゴールドマン・SGS Plusゴールド(ヘッジ無)2.79 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;松井証券;
1712月5日SBI AMSBI欧州高配当株式ファンド(年1回決算型)《SBI欧州シリーズ-欧州高配当株式》2.09 SBI証券
1812月12日ドイチェAMDWS AIニューリーダーズ株式ファンド1.84 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;
1912月9日ゴールドマン・SGS Plusゴールド(ヘッジ有)1.36 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;松井証券;
2012月1日Monexマネックス・ゴールド・ファンド1.19 マネックス証券
2112月15日野村AMNEXT FUNDS ユーロ・ストックス50指数(ヘッジ無)連動型上場投信《NF・欧州株ユーロ・ストックス50》ETF1.00 上場投信
2112月15日野村AMNEXT FUNDS ドイツ株式・DAX(ヘッジ無)連動型上場投信《NF・ドイツ株DAX》ETF1.00 上場投信
2112月4日ニッセイAMニッセイETF 日経225インデックスETF1.00 上場投信
2112月16日三井住友トラストSMT 日本株式モメンタムファンド《トレンドランキング》1.00 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;
2112月16日三井住友トラストSMT 中国株式モメンタムファンド《トレンドランキング》ETF1.00 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;
2612月17日シンプレクス東証REIT物流フォーカスETF0.98 上場投信
2712月16日三井住友トラストSMT 米国株式モメンタムファンド《トレンドランキング》0.70 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;
2712月16日三井住友トラストSMT 欧州株式モメンタムファンド《トレンドランキング》0.70 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;
2912月19日au AMauAMレバレッジ・オールカントリー《レバカン》0.52 マネックス証券;楽天証券;松井証券;
3012月24日大和AMダイワ金融新時代ファンド(資産成長型)0.10 大和証券
3012月24日大和AMダイワ・ダイナミック・インド株ファンド(資産成長型)0.10 大和証券
3212月9日大和AMiFreeNEXT FANG+インデックス(毎月決算/予想分配金提示型)0.01 マネックス証券;楽天証券;SBI証券;松井証券;
3212月23日インベスコインベスコ 世界厳選株式オープン<ヘッジ有>(予想分配金提示型)《世界のベスト》0.01 三菱UFJ信託銀行
3212月23日インベスコインベスコ 世界厳選株式オープン<ヘッジ無>(予想分配金提示型)《世界のベスト》0.01 三菱UFJ信託銀行
3212月2日三井住友トラストDCターゲット・イヤーファンド(6資産・運用継続型)20700.01 三井住友信託銀行
3212月12日三井住友DSラップ専用・三井住友DS・米国株式セクター戦略ファンド0.01 SBI証券
3212月12日三井住友DSラップ専用・三井住友DS・米国株式ファクター戦略ファンド0.01 SBI証券
3212月12日三井住友DSラップ専用・三井住友DS・グローバル株式(除く米国)戦略ファンド0.01 SBI証券
3912月1日HSBCHSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド2025-12(限定追加型)《ますますグロタ》0.00 ゆうちょ銀行

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針