10月の新規設定ファンドは、9月から更に勢いを増して、本数は15本と少ないながらも当初設定額の合計は972億円から1,421億円に約450億円増加した。
10月のトップは野村アセットが運用する「野村日本バリュー厳選投資」。1本で990億円と1,000億円に迫る勢いだった。このファンドは、「資産・利益等に比較して株価が割安と判断され、今後の 株価上昇が期待できる銘柄の中から割安修正のきっかけまでの期間を考慮して厳選し、投資 を行なう」アクティブファンドで、個別銘柄の魅力を厳選して投資する。月次報告書によると、10月27日時点で組入れ銘柄数は47、組み入れ比率が最大の株式はトヨタ自動車で純資産比率5.4%である。日経平均株価が5万円を超え、新顔の日本株ファンドに対して投資家の関心が高かったことがうかがえる。
2位は限定追加型(設定日以降ごく短期間のみ追加設定の募集を行うタイプのファンド)のシリーズもので、多くの地銀などが取り扱っているあおぞら投信の「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2025-10《ぜんぞう2510》」。当初設定額は290億円だった。日本や新興国を含む世界の株式、債券に広く分散投資をする。実質的な投資比率を、先進国債券95%、先進国株式4%、新興国株式1%の組入比率から1年かけて先進国株式50%、先進国債券40%、新興国株式10%に投資比率を変更(リスクを漸増)するファンド・オブ・ファンズである。実質的な運用はディメンショナル・アイルランド・リミテッドが行う。基準価額が1万1,500円以上になった場合は、一定期間内で株式の組入比率を下げ、債券等での安定運用に切り替える。こうした運用方針が銀行の顧客に好まれるのか、(シリーズを毎月必ず設定しているわけではないが)同様の運用方針のファンドが繰り返し設定されている。
3位、4位も限定追加型で、アセットマネジメントOneの「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)」の「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」で、みずほ銀行が販売し、当初設定額はそれぞれ75億円、23億円だった。新興国を含む世界の米ドル建て、ユーロ建て、英ポンド建ての、各種債券(投資適格未満やむ格付けを含む)に実質的に投資をする。
5位、6位も債券ファンドで、マニュライフの「好利回り円債・短期戦略ファンド」の「年1回決算型」と「年4回決算型」だった。相対的に高い利回りが期待できる円建てのハイブリッド債券を投資対象とするもので、それぞれ22億円と8億円を集めた。
ほかに、大和アセットは東証REIT指数のETF(7位「iFreeETF 東証REIT指数(2・5・8・11月決算型)」)と全世界株式(オール・カントリー)のインデックスファンド(14位「iFree 全世界株式インデックス(オール・カントリー)」)のほか、「iFreeETF 日本株配当ローテーション戦略」(8位)は、TOPIX構成銘柄の大型株から10銘柄、中型株から40銘柄を「次回予想配当利回り」上位から選択し、大型株と中型株の配分比率をコントロール(当初7:3)、それぞれ等ウェイトでポートフォリオを構築するという、ルールベースのアクティブ運用ETFを設定した。
同じく8位の三井住友トラストの「SMT 米国高配当&自社株買いファンド(年4回決算型)《還元祭》」は、米国企業の株主還元に着目し、持続的な高配当と高自社株買いが見込める優良企業を発掘し、収益機会を捉えるファンドだ。8位の設定額は2億円なので、以降のファンドはおそらくほぼ、運用会社による自己設定ではないかと思われる。
フィデリティは債券と株式に投資を行う3本のリスク水準の異なるバランス型ファンド「フィデリティ・アクティブ・ラップファンド《フィデラップ》」(アグレッシブ)10位、(グロース)12位、(スタンダード)13位」)を設定した。運用はいずれも自社の旗艦戦略を採用したアクティブファンドを組み合わせたものだ。
「米国上場プライベートアセット(BDC)ファンド(年4回分配型)」(11位)はアモーヴァアセットがすでに何本か設定している米国BDCに投資するファンドと同様、ミューズニッチ・アンド・カンパニー・インクが運用する年4回決算型だ。中小企業を中心に、未上場企業や小型上場企業などの事業開発に資金提供を行う「BDC(Business Development Companies)」に投資を行うファンドで、SBI証券が販売する。
パリミキアセットの「パリミキ・ファミリーオフィス・ファンド」(同14位)はプライベート資産運用の手法を活かしたファンド・オブ・ファンズで株式を中心に世界の様々な資産に投資をできる仕組みであるが、資産配分等は現状では不明のため、実際にどのようなファンドとなるかは、同社の既存ファンドである「コドモファンド」などを参考に推測するにとどまる。販売はJトラストグローバル証券で、直販がベースの同社の新たなチャレンジでもあるようだ。
こうしてみると、10月は新興国の特定国や特定地域などに投資をする新ファンドは見られなかった。トップが日本株アクティブファンド、3位から6位が債券ファンドというのも、投資家の市場のリスクに対する姿勢の二極化を感じて興味深い。とはいえいずれの債券ファンドもいわゆる従来の債券に抱くイメージとは、やや異なる投資対象である点には注意が必要だ。
アクティブな株式への投資では、配当に注目している点が現在の投資家に響くのかもしれない。また、プライベート資産など新たな投資対象に食指が動く投資家の心理を捉える商品もあり、このところのアクティブ運用や新ファンドの復活の兆しを感じるラインアップである。◇
| 順位 | 設定月日 | 運用会社名 | ファンド名 | 追加・ 単位 | 設定額 (億円) | 販売会社 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 10月22日 | 野村AM | 野村日本バリュー厳選投資 | 追 | 989.89 | 野村證券 |
| 2 | 10月31日 | あおぞら投信 | あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2025-10《ぜんぞう2510》 | 追 | 290.26 | 沖縄銀行;荘内銀行;富山第一銀行;富山銀行;北都銀行;あおぞら銀行;おきぎん証券;広島信用金庫; |
| 3 | 10月3日 | AM-One | Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(為替ヘッジあり) | 追 | 75.31 | みずほ銀行 |
| 4 | 10月3日 | AM-One | Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(為替ヘッジなし) | 追 | 23.15 | みずほ銀行 |
| 5 | 10月31日 | マニュライフ | 好利回り円債・短期戦略ファンド(年1回決算型) | 追 | 22.64 | SMBC日興証券 |
| 6 | 10月31日 | マニュライフ | 好利回り円債・短期戦略ファンド(年4回決算型) | 追 | 8.61 | SMBC日興証券 |
| 7 | 10月31日 | 大和AM | iFreeETF 東証REIT指数(2・5・8・11月決算型) | 追 | 4.96 | 上場投信 |
| 8 | 10月3日 | 大和AM | iFreeETF 日本株配当ローテーション戦略 | 追 | 2.00 | 上場投信 |
| 8 | 10月31日 | 三井住友トラスト | SMT 米国高配当&自社株買いファンド(年4回決算型)《還元祭》 | 追 | 2.00 | マネックス証券;楽天証券;SBI証券; |
| 10 | 10月7日 | フィデリティ投信 | フィデリティ・アクティブ・ラップファンド(アグレッシブ)《フィデラップ》 | 追 | 1.13 | 楽天証券 |
| 11 | 10月30日 | アモーヴァAM | 米国上場プライベートアセット(BDC)ファンド(年4回分配型) | 追 | 0.66 | SBI証券 |
| 12 | 10月7日 | フィデリティ投信 | フィデリティ・アクティブ・ラップファンド(グロース)《フィデラップ》 | 追 | 0.15 | 楽天証券 |
| 13 | 10月7日 | フィデリティ投信 | フィデリティ・アクティブ・ラップファンド(スタンダード)《フィデラップ》 | 追 | 0.03 | 楽天証券 |
| 14 | 10月31日 | 大和AM | iFree 全世界株式インデックス(オール・カントリー) | 追 | 0.01 | 大和証券 |
| 14 | 10月1日 | パリミキAM | パリミキ・ファミリーオフィス・ファンド | 追 | 0.01 | Jトラストグローバル証券 |
| 15本合計 | 1,420.8 |

