2025年は市場を賑わす話題に事欠かない一年だった。株式市場は、グローバル、米国ともに年初からのボラティリティを乗り越え、年末にかけて大幅な上昇を見せた。世界の主要な市場が想定以上に強力な上昇となり、債券利回りは引き続き魅力的な水準を維持、米ドルは弱含みの状態が続いた。関税問題、地政学的な不確実性、インフレ懸念は年間を通じて暗い影を落としたが、市場と経済はおおむね極端な動揺を示すことは無かった。資産運用業界全体でもでは、商品開発の動きがむしろ活発化した。
2025年の数々の出来事の中でも、以下の4つの出来事が際立っていた:
- 米国経済は関税問題を抱えていたにもかかわらず、底堅く推移した
- ビットコインと金は異なる値動きを見せた
- 米国以外の株式市場が大きく値上がりした
- 上場投資信託(ETF)が引き続き商品選択で主役となった
2026年に関しては、注目すべき以下の2つの事象がある:
- 超巨大テック企業の債券は、同社の株式とは異なる動きを見せている
- 上場企業買収の動きがますます拡大し、常態化しつつある
以下でこれらについて説明していこう。
※ モーニングスターの「Markets Observer」では、これらに加え、その他数十件の動向について詳細な情報を提供しており、四半期レポートはこちらからご覧いただけます。
2025年の市場を理解するための4つのチャート
1) 関税問題の重石にも関わらず堅調な米国経済
2025年第4四半期の米国の平均関税率は約11%で、1940年代初頭以来の最高水準となった。しかし、ドナルド・トランプ大統領が関税引き上げを一部撤回し、『寛大な免税措置』により実際の関税徴収率が発表された税率を下回ったことから、2025年4月に多くの人が懸念したほどの高くはなっていない。 最高裁判所の判決次第では関税はさらに引き下げられる可能性があるが、トランプ政権は他の法律の権限を引き合いに出して、判決を部分的に回避する可能性もある。関税政策の逆風にもかかわらず、米国経済は第4四半期に年率2.1%の成長を記録した。
※ 以下のグラフは超長期で見た関税率の推移である。直近は約80年ぶりの高水準となっている。
関税が80年ぶりの高水準に

2) 明暗を分けたビットコインと金の動き
2025年、金とビットコインは異なる道をたどった。株式市場の不確実性が非常に高まる中、安全な資産の逃避先として金などが急騰した。 SPDR Gold Shares (GLD)は前年比63.7%上昇、iShares Silver Trust (SLV)は144.7%という上昇を達成し、貴金属の驚異的な復活を示した。
一方、ビットコインも史上最高値を更新した局面はあったものの、第4四半期には下落した。iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)は、暗号通貨にとってジェットコースターのような1年となった2025年を6.4%の下落で締めくくった。
※ 以下の図は各市場の2006年年初から2025年末の期間での、高値-安値レンジの中で直近の水準を示している。左から、金、FFレート、米国株式P/E、北海原油、ビットコイン、米ドル指数、米実質住宅価格を示している。金や住宅が上値近い水準にあり、ビットコインはこれらの市場の中でもっとも下値に近い位置にある。
金と住居価格は過去最高値に迫り、ビットコインは下落しました。

3) 米国以外の株式市場が急騰
2025年以前は、米国株式市場が世界を席巻していた。Morningstar 米国株指数は2020年から2024年にかけて年率14%の上昇を記録し、他のほとんどの国の市場を圧倒する成果を収めた。しかし2025年に状況は一変した。Morningstar 米国株指数は2025年も17.4%という力強い上昇を見せたとはいえ、多くの主要新興国市場や先進国市場と比較すると見劣りする結果だった。先進国株式市場(米国を除く)は年間32.2%の上昇となり、新興国株式市場は29.8%の上昇を記録した。特にラテンアメリカ市場は52.3%という目覚ましい上昇を達成した。こうした目を見張るようなリターンには、比較的弱い米ドルの潮流が寄与したと考えられる。
※ 以下の地図はモーニングスター・インデックスで見た世界26か国の株式市場における2025年のリターンである。緑が濃いほどリターンが高く、赤が濃いほどマイナスが大きいことを示すが、昨年はタイだけがマイナスで世界株式がいかに好調であったかが分かる。
世界の株式市場が先導しました

4) ETFが引き続き選好された
ETFは2025年も引き続き記録を更新し続けた。年末までにETFの資産規模は13兆ドルを超え、流入額は2年連続で1兆ドルを突破した。それとは対照的な動きを見せたミューチュアルファンドは、1年間で約7000億ドルの資金流出を記録した。こうした動向を受け、資産運用会社は新規ETFの組成に躍起になる一方で、新規ミューチュアルファンドの立ち上げには腰が引けている。2025年、ETFの新基設定本数は償還・閉鎖本数を860本上回ったが、ミューチュアルファンドは新規設数が償還・閉鎖数を266本下回った。
※ 以下のグラフはファンド形態別の2025年の盛衰を示している。上半分が新規設定、下半分が償還・解散を表す。
左側がETF、右側がミューチュアルファンドで、それぞれアクティブETFとパッシブETFに分けられている。色はファンドの構成資産を示しており、青が株式型、オレンジが債券型、緑がその他、各資産内の数字が新規設定や償還・解散したファンドの数を表す。
新規設定は圧倒的にアクティブ型ETFが多く、償還・解散はアクティブ型ミューチュアルファンドが際立っている。ETFの償還・解散ではパッシブ型株式ETFが多い。
ETF商品の開発が加速しております

2026年に注目すべき2つのチャート
1) ハイパースケーラーの債券に注目
ハイパースケーラー(Amazon.com AMZN、Google GOOGといった、グローバルなクラウドプラットフォームやデジタルインフラを運営する超巨大テクノロジー企業)は、AI関連インフラ投資の資金調達を目的として、2025年9月以降投資適格債市場で借入を積極的に拡大している。この借入の規模とペースは債券投資家の懸念を招き、投資家はこれらの債券を保有する見返りとしてより高い対価を求めている。
※ 以下の折れ線グラフはOAS(オプション調整スプレッド:債券保有に伴う信用リスクを補うために投資家が求める追加利回りを測定するもの)を示す。モーニングスター・コーポレート・ボンド指数(オレンジ)とハイパースケーラーズ指数(青)の比較である。ハイパースケーラーズ指数には、親指数であるモーニングスター・投資適格社債指数に含まれる、Amazon、Google、Meta、Microsoft、Oracleが発行する投資適格社債が含まれている。
ハイパースケーラー債務への需要は減退しつつあります

2) 間もなく、史上最大規模の公開企業の買収が起きるだろう
プライベート・エクイティ・ファンドによる上場企業の非公開化が加速しており、そのための資金が年間数十億ドル規模で動いている。2025年もこの潮流は続き、米国では39社が非公開化され、その評価額は中央値で約19億ドルに上った。潤沢な資金を持つバイアウトファンドの動きを受け、大型株に分類される企業も公開市場から姿を消している。2026年に取引が完了する予定のElectronic Arts (EA)は、史上最大規模の上場企業買収となる見込みである。◇
上場企業はますます非公開化される傾向にあります

※ 本記事の作成にあたり、ヴェドラン・ベオグラドリヤ、プレストン・コールドウェル、ホン・チェン、スビダグ・デメルジャン、ショーン・マーフィーの協力を得た。
※ すべてのチャートは 、「モーニングスター・マーケット・オブザーバー2026年第1四半期版」からの引用です。本レポートは前四半期の主要な市場動向をまとめたもので、モーニングスターのリサーチおよび投資チームの複数のメンバーによって執筆されています。レポートの完全版は、上記リンクから無料でご覧いただけます。
※ 本稿はモーニングスターの記事「The 4 Defining Charts for Markets in 2025: Key Takeaways for Investors」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

