フィデリティのウィル・ダノフ氏が語る投資の知恵

フィデリティ・コントラファンドを率いた35年が示す、投資成功への鍵

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ウィル・ダノフ氏が、運用資産総額約2,000億ドルの「Fidelity Contrafund」(FCNTX)で築き上げた長期的な実績をみると、「どうやってそれを成し遂げたのか?」という疑問が自然に湧いてきます。2026年末に退職を予定しているダノフ氏は、6月17日に開催された「モーニングスター・インベストメント・カンファレンス」で、モーニングスターのプリンシパル・アナリストであるロビー・グリーンゴールドと対談し、ダノフ氏の運用プロセスや彼が学んだ教訓、そしてメタ・プラットフォームズ(META)への長期投資の成功について語り合いました。

「Contrafundは、ポートフォリオマネジャーの運用担当期間が業界で最も長いものの一つに入ることに加え、5つ星のレーティングと2,000億ドルを超える運用資産規模を兼ね備えているという点で、まさに唯一無二の存在です。こうしたお話を聞ける機会は滅多になく、2,000億ドルという数字は実態を過小評価していると言えます」とグリーンゴールドは述べました。というのも、実際にはカナダや日本にも同様の運用方針のファンドがあり、ダノフ氏はそれ以上の資金を運用しているからです。同氏の運用資産規模は、世界最大級のソブリン・ウェルス・ファンドにも匹敵するものです

本稿では、この対談の中でダノフ氏が語った投資の知恵のいくつかを紹介します。

Q:あなたにとって、典型的な一日はどのようなものですか?

「できれば、企業とのミーティングがぎっしり詰まった日程になればと思います。ビジネスに情熱を注ぎ、専門知識を豊富に持つ経営幹部の方々と直接顔を合わせられるからです。 ある日Corningの元CFOである友人のボブと偶然会いました。以前よく会っていた頃、彼は光ファイバー、ガラス、太陽光発電などのテクノロジーについて熟知していました。そうした会話から、自然に学ぶことはもちろん、たいてい業界や企業、経済の動向について、何らかの有益な情報を得られるものです。ファンドのアナリストとしての鍵は、そうした機会を繰り返し持つことです。 同じことを繰り返し、しっかりとメモを取り、「7年前にはこう仰っていましたね、2年前にはああ仰っていましたね。実際にはどうなっているのでしょうか?何か新しい動きはありますか?」と尋ねていくのです。

「とにかく先をみることが重要です。株価の大幅な上昇や、かつて保有していた株式が大幅に下落したことなど、振り返っている暇はありません」。

「1日に平均5回、週に約25回の企業経営陣との会議があります。おそらく、テクノロジー企業、エネルギー企業、金融企業、消費財企業など様々な分野の企業に数社ずつ面談します。通信・メディア業界だけを見ているわけではなく、あらゆる業界を見極めるように努めています」。

以前、あなたはウォーレン・バフェット氏に、巨額の資金運用についてアドバイスを求めたことがありますね。彼からのアドバイスについてお聞かせください。

「彼はすぐにこう言いました。『私は2年に1回くらいしか良いアイデアを思いつかない。だから、良いアイデアが浮かんだら、思い切って賭けるべきだ』と。Contrafundを運用していた私は、当時、800社もの銘柄を管理していましたが、彼はよく『なんでそんなにたくさんの銘柄を抱えているんだ?』と繰り返し突っ込んできました。私はすそ野の広い保有構成(ロングテール)が好きなのです。そうすれば、多くのアナリストたちと交流できるし、特定の企業を忘れることもありませんから。しかし、バフェット氏にそう言われてから、私はその『ロングテール』を見直し、『買い増しか、それとも売却か』と決断しました。最近では、350社近くまで絞り込んでいます」。

「皆さんには、YouTubeの動画でウォーレン・バフェット氏の動画をぜひ見ていただきたいです。フィデリティの強みのひとつは、こうした運用責任者の方々と直接対話できことです。でも、今では、この会場におられる皆さんも、話してみたいと思うCEO――ジェンセン・ファン氏、サティア・ナデラ氏、ウォーレン・バフェット氏など――の動画をYouTubeで簡単に見つけて視聴することができます。YouTubeには多くの知恵が詰まっています。YouTubeはアルファベット傘下の企業です」。

Metaへの投資について伺えますか?

「マーク・ザッカーバーグ氏は素晴らしい起業家です。彼が初めてフィデリティを訪れた時、おそらく29歳くらいの頃、その時点で1日あたりのアクティブユーザー数は約7億人でした。私の思考モデルは、『この会社は過去5年間で何を成し遂げたのか、それは今後も継続できるだろうか?』と考えました。ご存知の通り、今では1日あたりのアクティブユーザー数は35億人に達しています」。

「また、他のテクノロジー企業との対話では、デジタル広告のリーダーであるAlphabetは、5つほどの主要プラットフォームと30億人のユーザーを擁しています。その規模は驚異的ですが、それによって広告販売力を手にしています。Metaの評価すべき点は、Googleの広告プラットフォームを模倣し、広告掲載を容易にし、パフォーマンスマーケティングを提供できたことです。ザッカーバーグ氏は、初期のInstagramで非常に優れた手腕を発揮しました。彼はWhatsAppを買収しましたが、誰もが『それは大きな間違いだ』と言っていました。彼はまだWhatsAppを十分に収益化できてはいません。しかし、私がバフェット流の思考を試みると、私の中のバフェットが『なぜ売る必要があるのか?私は彼も、そのビジネスも気に入っている。彼に引き続き創造的な活動を続けてもらえばいい』と答えました」。

「ザッカーバーグ氏はTikTokとの競争に苦戦し、さらにAppleが個人情報保護方針を強化したことで、広告ターゲティング精度が低下しました。また、彼は積極的な投資をしていたため、調整が必要となりました。そこで、Appleの規制を回避するために広告アルゴリズムを微調整したところ、ご承知の通り収益は急速に回復しました。市場の他の多くのポートフォリオ・マネジャーはパニックに陥りました。しかし、繰り返しになりますが、彼はオーナー兼経営者です。もしマークがそれほど気にしていなければ、『どうでもいい』と言ったかもしれません。しかし、彼はすべてのステークホルダーのために事業を運営し、前進していかなければならないと語りました。

「当時、私がザッカーバーグ氏に尋ねたのは、『なぜあれほど成功できたのですか?』という質問でした。すると彼は、『私たちは誰よりも強くこの事業にコミットしているからです』と答えました。 彼らは当時、まだ大学生の若者たちでした。同じ土俵にMicrosoftが参入し、News CorpがFriendsterを買収し、Myspaceもありました。彼らよりも多くのリソースを持つテック企業は数百社もありましたが、なぜそれらの企業は勝てなかったのでしょうか?ある時点で、ザッカーバーグ氏は、ビジネスを成長させ、顧客のエンゲージメントを深めることができれば、勝てるのだと気づいたのです。『強い当事者意識』こそが、最大の武器のひとつなのです」。

すでに株価が2倍になった優良企業に今から投資をするのと、株価が50%下落している優良企業を保有し続けること、どちらが難しいと思いますか?

「多くの投資家にとっての課題は、株式が2倍になった後、どうすべきかということです。ピーター・リンチ氏が述べたように、株式が大きく上昇しても心配する必要はありません。今後も好調を維持し続けるでしょう。フィデリティは、いくつかの大きなポジションを持つ企業への投資において非常に良い成果を上げています。長年にわたりこれらの企業に投資を続けており、成長と経営の改善が複利効果を生み出しているため、投資機会は継続的に生まれ、価値を高め続けています。ですから、株価が上昇していることを恐れる必要はありません」。

ファンド運用の成功における、芸術と科学の境界線をどこに引くべきでしょうか?

「パフォーマンスが伴わなければ、疑問を抱く必要があるでしょう。私はファンダメンタルズに基づいて、企業の取捨選択を恐れずに行ってきたので、他の人たちより若干うまくやれているのだと思います。特定の企業を他の企業より長く保有し続けますが、運用プロセスでは、本当に懸命に努力し、多くの投資機会を見極めることが求められます」。

「私たちフィデリティの場合、到達した理解は非常にシンプルなものでした。私が小売り業担当アナリストだった頃、一部のファンドマネジャーは私の意見に耳を傾け、私の分析結果を活用しようとしてくれました。一方で、他のマネジャーたちは『小売業はもう終わりだ、一切関わりたくない。インフレが迫っているんだ、邪魔しないでくれ』といった反応を示しました。

そこで私がしたことはただ一つ、『私には100人のアナリストがいる、彼らと協力していこう』ということです。 チームでの取り組みが本当に役立っています」。◇

※ Fidelity Contrafundと同様の投資哲学、運用戦略に基づくマザーファンドに投資を行う日本籍ファンドは「フィデリティ・米国株式ファンド」ですが、Contrafundと同じ運用実績となる保証もしくは示唆するものではありません。

※ 本稿はモーニングスターの「Words of Investing Wisdom from Fidelity’s Will Danoff」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針