東京エレクトロン(8035)の第2四半期売上高は会社ガイダンスを5%上回り、前年同期比11%増となった。2025年度下期については、売上高が前年同期比で8%減とするガイダンスを据え置いたが、同社は2026年に向けた半導体前工程製造装置(WFE)市場の見通し改善に自信を示している。
<決算のポイント>
堅調なAI関連投資が継続する可能性が高まったため、2026年のWFE市場の見通しは明るくなりつつある。その一方で東京エレクトロンは2025年度下期のガイダンスを据え置いているが、これは同社の自信不足を示すものではないだろう。
- 東京エレクトロンは3か月前の第1四半期決算発表時にWFE市場の立ち上がりが同社の見通しより遅れる見通しとなったことから、やや強気だった通期ガイダンスを引き下げた経緯がある。そのため、すぐに再度上方修正することに対して慎重なスタンスをとったものと我々は考えている。
- 事実、主要クラウドサービスプロバイダーが引き続きAI関連投資を積極的に進める可能性が高まっていることから、同社は2026年のWFE市場の成長に、より強い自信を示している。
<結論>
モーニングスターは、エコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」を獲得している東京エレクトロンの適正価値推計値を27,000円から32,000円に引き上げる。第2四半期の決算自体はほぼ当社の想定通りであったが、AI関連の巨額投資が従来予想より長期にわたって継続すると考えたためである。
- 東京エレクトロンが第1四半期決算発表時に今年度の通期ガイダンスを引き下げた際に同社の株価は18%下落したが、その後の3か月間で50%以上も急騰しており、これは市場がAI関連投資に対する信頼をより強くしていることを示している。その結果、同社の株価は現在妥当な水準にあると我々は考えている。
<行間を読む>
東京エレクトロンは、巨額のAI投資が先端ノードやメモリチップ向けのWFE需要を牽引し、2026年以降も同社に成長機会をもたらすと予想している。一方で同社は、同業他社と同様に、中国における成熟ノードへの投資は引き続き低迷する可能性が高いと警戒している。
- われわれは、2026年度の売上予想を2兆5,500億円から2兆8,500億円(前年同期比18%増)に引き上げる。メモリ向けの売上は24%増を見込む一方で、非メモリ・ファウンドリー向けの売上成長率は17%に留まる見通しだが、これは先端ノードへの売上増が成熟ノードへの投資低迷によって一部相殺されるためである。◇
<東京エレクトロンの財務概要および主要指標>
| 2024年 実績 | 2025年 実績 | 2026年 予想 | 2027年 予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益(10億円) | 1,831 | 2,432 | 2,420 | 2,850 |
| 収益成長率(%) | -17.1 | 32.8 | -0.5 | 17.8 |
| 営業利益(10億円) | 456 | 697 | 605 | 800 |
| 営業利益率(%) | 24.9 | 28.7 | 25.0 | 28.1 |
| 調整後EBITDA(10億円) | 522 | 765 | 702 | 911 |
| 調整後EBITDAマージン(%) | 28.5 | 31.5 | 29.0 | 32.0 |
| 1株当り利益(希薄化後・円) | 783.75 | 1159.81 | 1028.14 | 1344.65 |
| 調整後1株当り利益(希薄化後・円) | 783.75 | 1159.81 | 1028.14 | 1344.65 |
| 調整後EPS成長率(%) | -74.1 | 48.0 | -11.4 | 30.8 |
| PER | 50.5 | 17.3 | 33.2 | 25.4 |
| PBR | 10.4 | 5.0 | 7.5 | 6.5 |
| EV/EBITDA倍率 | 34.4 | 11.7 | 21.7 | 16.7 |
| FCF利回り(%) | ー | ー | ー | ー |
出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年11月3日時点
<モーニングスターによる指標>
- エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
- 適正価値推計値:32,000円
- モーニングスター株式レーティング:★★★(中立)
- 不確実性レーティング:「高い(High)」
- 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」
※ 本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による11月3日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

