2月3日、Anthropicが自社製品「Claude(クロード)」向けの法的プラグインを公開したことを受け、Thomson Reuters (TRI)、RELX(RELX)、Wolters Kluwer’s(WKL)の株式は、それぞれ16%、14%、13%下落した。
<重要なポイント>
2025年夏以降、これらの企業を圧迫してきた「AIによる破壊的イノベーション物語」の新たな展開である。Claudeのリーガルプラグインは、大規模言語モデルプロバイダーによる法務テクノロジー分野への初の直接参入となる。同社の進出によって、これまでHarveyのようなAIネイティブのスタートアップ企業が牽引してきた破壊的イノベーション物語は新たな章へと進むだろう。
- Claudeの法務プラグインは、契約審査、法務ブリーフィング、定型文書の作成支援など、企業内法務部門の業務効率化を目的としたものである。これは新たな AI アシスタント市場の形成を示唆しており、企業の外部法務テクノロジープロバイダーへの依存が縮小し、業界全体の成長率が低下するリスクもある。
- 特筆すべきは、この新たなプラグインには一切の法務調査機能が含まれないことである。法務調査こそが、Thomson ReutersやRELXの法務事業における中核的な価値であり、両社の強固な競争優位性の基盤となっている。
<結論>
モーニングスターは、Thomson Reuters、RELX、Woltersの3社すべてについて、強固な競争優位性を認めエコノミック・モート・レーティング「広い(Wide)」と、適正価値推計値を維持する。現在3社の株式はいずれも、モーニングスター・株式レーティングで5つ星を獲得しており、非常に割安な水準にあると考える。
- 今回の3社に対する市場の反応はわれわれにとって驚きである。この規模の下落は、市場が依然として法務分野におけるAI主導の大きな上昇シナリオを織り込んでいたことを示唆するが、これは妥当な前提とは言えない。過去1年間でこうしたAIストーリーが上昇材料から懸念要因へと転じており、これらの株式は既に大幅な調整を受けている。
- 当社の適正価値推計値は、生成 AI がこれらの企業の法務事業の成長に寄与するとの前提に基づいている。現時点では、今回のAnthropicの動きが、われわれの見通しを修正すべきほど明確な脅威であるとは考えていない。Thomsonは 営業利益の 45%を法務事業が占めるため最も影響を受けやすいが、RELX およびWoltersは法務部門の営業利益比率は10〜13%と限定的である。
<今後の予定>
Thomson Reutersは2月5日に決算発表を予定しており、今回の新たなリスク要因に対する市場の理解を深める材料となる可能性がある。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

