任天堂【臨時レポート】:足元のメモリ不足は短期的には利益率を押し下げるが、中期的な見通しには影響しない

メモリ価格の高騰による利益率悪化を織り込み、現在の株価は割安な水準にあると考える

General views of the Nintendo corporate headquarters and the Nintendo Development Center.
AaronP/Bauer-Griffin 通じて Getty

過去2週間で、メモリ供給不足への懸念から任天堂の株価は10%以上下落した。ここ数年、サプライヤーがAI向けの高帯域幅メモリ(HBM)にリソースを振り向けてきた結果、汎用メモリの需給ひっ迫は深刻化している。

<重要なポイント>

メモリ不足に伴い、①メモリ価格が暴騰し任天堂の利益率を圧迫するリスク、および②調達不足によりコンソール生産を制約するリスクの2点をわれわれは認識しているが、これらの問題はわれわれの長期的な見通しに影響を及ぼさない。

  • モーニングスターでは、メモリ価格の上昇が少なくとも来年までは続くと予想しており、その結果任天堂の短期的な利益率に影響が出ることは避けられない。ただし、2027年にメモリ価格が下落し始めると予想していることから、中期的な利益率前提は変更しない。
  • われわれはメモリ不足がコンソール生産を制約するとは考えていない。われわれはSwitch 2の出荷台数が来期に2,400万台に達すると想定しているが、これはPCやスマートフォンの年間出荷数量と比べても規模が小さいため生産に必要なメモリの確保は可能だと考えている。

<結論>

われわれはエコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」を付与している任天堂の適正価値推計値を14,000円で据え置く。メモリ不足は短期的には収益性を悪化させるが中期的な利益率には影響を及ぼさないとわれわれは考えている。また、当社のコンソールおよびゲーム出荷前提にも変更は無い。足元の株価下落は短期的な利益率の悪化を相当程度織り込んでいるとみており、その結果、われわれは任天堂の株式が現在割安であると考えている。

<行間を読む>

モーニングスターの試算では、仮にメモリ価格が40%程度上昇した場合、コンソールの粗利益率は約4.5%、全社の粗利益率は約3%低下し、その結果2026年度の営業利益は12%程度減少する可能性がある。

  • ただし任天堂は既存の在庫で価格上昇をある程度吸収できるため、実際の影響はこの試算値よりは小さくなる可能性が高い。いずれにせよ、当社は2027年度にメモリ価格がピークを迎えることで、コンソールの利益率が回復へ向かうと考えている。
  • われわれは、任天堂がメモリコストの上昇を相殺するためにコンソール価格を引き上げるとは想定していない。これは短期的な収益性を確保するためにコンソール価格を引き上げた結果、出荷が失速する可能性があるためである。われわれは任天堂がユーザーベースの拡大を優先するためにコンソール価格を変更しないと考えており、コンソール出荷予想台数も据え置く。◇

<任天堂の財務概要および主要指標>

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(10億円)1,6721,1652,4002,500
収益成長率(%)4.4-30.3106.04.2
営業利益(10億円)529283405590
営業利益率(%)31.624.316.923.6
調整後EBITDA(10億円)647332468615
調整後EBITDAマージン(%)38.728.519.524.6
1株当り利益(希薄化後・円)421.39239.47293.75383.08
調整後1株当り利益(希薄化後・円)421.39239.47293.75383.08
調整後EPS成長率(%)13.5-43.222.730.4
PER19.542.240.531.1
PBR3.74.34.84.4
EV/EBITDA倍率11.729.025.119.1
FCF利回り(%)

<モーニングスターによる指標>

  • エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
  • 適正価値推計値:14,000円
  • モーニングスター・株式レーティング:★★★★(割安)
  • 不確実性レーティング:「中程度(Medium)」
  • 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による12月10日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針