任天堂【決算】:メモリ価格が短期収益を圧迫も、Switch2の販売見通しに影響なし

新規ユーザーのSwitchエコシステムへのとりこみが将来の成長の鍵

General views of the Nintendo corporate headquarters and the Nintendo Development Center.
AaronP/Bauer-Griffin 通じて Getty

任天堂(7974)の第3四半期売上高は、6月に発売されたSwitch 2プラットフォームが牽引し、前年比86%増となった。一方で、新型コンソールの低い利益率を反映し、粗利益率は57.2%から38.9%へと低下した。第3四半期中のSwitch 2出荷台数は701万台であった。

<重要なポイント>

第3四半期のSwitch 2のコンソール出荷台数と全社の粗利益率はいずれも当社予想を若干下回った。コンソール出荷台数はわれわれの長期的な見通しに大きな影響を与えるものではないが、粗利益率が中期的に低水準で推移する可能性があり、懸念している。

  • Switch 2の出荷台数は、前世代機Switchの最初のホリデーシーズンに出荷した724万台を下回っており、一見弱い印象を与える。ただし、昨年のホリデーシーズンにおけるSwitch 2専用タイトルのラインアップが限定的であったことを踏まえると、悲観的に受け止める必要はないだろう。
  • 全社の粗利益率が低下した主因は、「ポケモンレジェンズZ-A」や「カービィのエアライダー」など日本市場で比較的人気の高いタイトルがリリースされた結果、日本市場のコンソール出荷が好調に推移し、グローバルの出荷台数に占める割合が上昇したことによるものだろう(日本市場は国内専用仕様のコンソールを販売しているため粗利率が低い)。
  • 加えて来期以降は、メモリー価格の高騰が続いていることから、コンソールの収益性がさらに低下する可能性は高い。

<結論>

モーニングスターは、メモリ価格の高騰を反映しコンソールの利益率見通しを引き下げた結果、任天堂のフェアバリュー評価を11%引き下げ、12,500円とした。ただし、Switch 2の普及と任天堂キャラクターを活用した映画の公開が新規ユーザーの獲得につながり、長期的には任天堂の利益拡大に寄与するとのシナリオに変更は無い。

  • 当社は任天堂の株式が割安な水準にあると判断している。市場は短期的な収益性の悪化に過度に焦点を当てており、魅力的なキャラクターを活用した任天堂のゲームおよびコンソール出荷の長期的な成長可能性を過小評価しているとわれわれは考えている。

依然として1億人超のユーザーが初代Switchを利用していることから、当面の間、任天堂およびソフトメーカーは引き続きSwitch 1とSwitch 2の双方でプレイ可能なタイトルの発売を継続するだろう。このため、Switch 2への移行はわれわれの以前の想定よりも緩やかなものになるとみており、Switch 2のコンソール出荷予想を2025年度は2,200万台から1,980万台へ、2026年度は2,400万台から2,000万台へと下方修正した。これに伴いゲームソフトの出荷予想もわずかに引き下げているが、これはわれわれの為替前提を円安方向に見直したことによって大部分が相殺され、その結果、適正価値推計値への影響は軽微にとどまっている。

任天堂は12月期に6,468万本のゲームを出荷し、前年比で約20%の増加となった。この堅調な成長は、Switch 2の発売、および任天堂とサードパーティーによる積極的なタイトル投入がユーザーの購買意欲を刺激したことを示唆している。ただし、年間アクティブユーザー数は3か月前の1億2,800万人から1億2,900万人へと小幅な増加にとどまっており、現時点ではSwitch 2出荷の大部分が既存ユーザーの買い替え需要であることを示している。今後の任天堂の利益成長の鍵は、どれだけSwitchエコシステムに新規ユーザーを取り込めるかにかかっているが、当社は任天堂の年間プレイユーザー数が2029年度には1億4,700万人に達すると予測している。

決算説明会では、継続するメモリ不足と価格高騰の影響に関する質問が多く寄せられた。経営陣は、現在の価格上昇が続けば任天堂の収益性に悪影響を与えると述べる一方で、長期契約により十分な調達量を確保しており、コンソールの生産が制約されることはないと説明した。また、可能な限りメモリ価格の上昇をコンソール価格に転嫁しない方針も示唆しており、これは当社の見通しと一致する。任天堂は短期的な収益性を犠牲にしてでもコンソール価格を維持し、発売後の出荷モメンタムを維持することで長期的なユーザーベースの拡大を優先するだろうとわれわれは考えている。

とはいえ、メモリ価格の上昇は少なくとも2027年の半ばまでは継続すると見込まれていることから、任天堂の短期的な収益性を押し下げることは避けられないだろう。このため、当社は任天堂の営業利益予想を2026年度は5,850億円から4,000億円へ、2027年度は7,000億円から5,000億円へと下方修正した。今回のわれわれの適正価値推計値の引き下げ率は11%であり、短期収益の下方修正率ほど大きくないのは、メモリ価格が2028年以降に下落へ転じ、コンソールの収益性は改善に向かうとわれわれが考えているためである。◇

<任天堂の財務概要および主要指標>

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(10億円)1,6721,1652,2802,300
収益成長率(%)4.4-30.395.70.9
営業利益(10億円)529283360400
営業利益率(%)31.624.315.817.4
調整後EBITDA(10億円)647332527458
調整後EBITDAマージン(%)38.728.523.119.9
1株当り利益(希薄化後・円)421.39239.47340.13297.19
調整後1株当り利益(希薄化後・円)421.39239.47340.13297.19
調整後EPS成長率(%)13.5-43.242.0-12.6
PER19.542.229.633.9
PBR3.74.34.13.9
EV/EBITDA倍率11.729.017.920.6
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2026年2月4日時点

<モーニングスターによる指標>

  • エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
  • 適正価値推計値:12,500円
  • モーニングスター株式レーティング:★★★★(割安)
  • 不確実性レーティング:「中程度」(Medium)」
  • 資本配分レーティング:「標準的(Standard)」

※本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト部門ディレクターの伊藤和典による2月4日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針