中国のMoonshot AI(月之暗面)は、総パラメーター数2.8兆に達するオープンウェートモデル「Kimi K3」を新たに公開した。ベンチマークによると、このモデルはAnthropicの「Fable 5」に匹敵する性能があり、コストはより低く抑えられている。今回の発表は、ハードウェアやインフラに関わるAI企業の株価押し下げ圧力となっている。
<重要なポイント>
K3のリリースから得られる示唆は、依然としてAIの進歩は続いており、Moonshotが新たなアルゴリズム技術によって性能向上を果たしているということだ。AIにとって進歩の停滞こそが真の「弱気シナリオ」となることを踏まえると、今回の性能向上はAIエコシステム全体にとっても、好材料と言える。
- K3は確かに進歩を示すものではあるが、実際の利用環境において、米国の最先端モデルであるFable 5などと「ほぼ同等」と評価することには慎重であるべきだ。オープンウェイトモデルは、ベンチマークの最適化によってスコアの水増しを行う傾向があるためである。
- また、敵対国にインテリジェンス層の主導権を握られるといった長期的な安全保障上のリスクを理由に、米国政府が、西側諸国と協調関係にある企業に対して、中国製のオープンウェイトモデルに投資や支出を集中させることを容認する可能性は低いと考えている。
<結論>
エコノミック・モート・レーティングにおいていずれも「広い(Wide)」を獲得している、Alphabet(GOOGL、適正価値推計値1株式あたり433ドル)、Amazon(AMZN、同280ドル)、Microsoft(MSFT、同600ドル)について、モーニングスターは適正価値推計値を維持しており、K3をきっかけとしたこれら各株式の下落は見当違いであると見ている。
- たとえ「弱気シナリオ」を採用し、オープンウェイト型モデルが米国の最先端モデルと真に互角の水準にあると仮定したとしても、クラウドインフラの投資妙味はほとんど変わらない。推論(インファレンス)のコスト低下は、計算リソースの需要を拡大し、結果としてこれらの企業に恩恵をもたらすからである。
- 言い換えれば、ある企業がAIスタック全体をオープンウェイトモデル中心に構築したとしても、それらのワークロードを実行し、データを保存し、セキュリティやリソースへのアクセスを管理するためには、依然としてクラウドインフラが必要である。これらはいずれもクラウドインフラ企業にとって追い風となる。◇
※ 本稿はモーニングスターの「Kimi 3.0 Might Be a DeepSeek Moment; We’d Buy Several Cloud Computing Companies」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

