この数か月、ソフトウェア関連業界を取り巻く環境の変化は更に加速している。そのため不確実性が高まっており、モーニングスターは競争優位性を評価するエコノミック・モート・レーティングについて見直す必要があると判断した。
<重要なポイント>
大型言語モデル(LLM)の能力は急速に進歩しており、ソフトウェア業界に少なくとも一定の影響を及ぼすと予想され、最悪の場合、多くのソフトウェア企業に大きな打撃を与える可能性がある。
- モーニングスターがカバーするソフトウェア、サービス企業を詳細に分析した結果、直近のカバー対象である複数の企業について、企業の競争力を示すエコノミック・モート・レーティングおよび適正価値(フェアバリュー)推計値の引き下げ、不確実性レーティングの引き上げを行う。
<結論>
AI時代におけるソフトウェア企業の長期リターン見通しへの不確実性が上昇していることを受け、以下の6社についてエコノミック・モートレーティングを「広い(Wide)」から「狭い(Narrow)」に引き下げる。適正価値推計値も見直しを行った結果引き下げとなる(カッコ内に引き下げ後/引き下げ前の適正価値推計値を記載)。:
- Adobe:380米ドル/従来560米ドル
- Descartes:90米ドル/従来96米ドルまたは123カナダドル/従来132カナダドル
- Manhattan Associates:170米ドル/従来215米ドル
- Salesforce:280米ドル/従来300米ドル
- ServiceNow:165米ドル/従来200米ドル
- Shopify:120米ドル/従来160米ドルまたは164カナダドル/従来217カナダドル
また、以下の企業について不確実性レーティングを引き上げる。:
- Blackbaud:「非常に高い」(中程度から)
- Descartes:「高い」(中程度から)
- Guidewire:「高い」(中程度から)
- HubSpot:「非常に高い」(高いから)
- Atlassian:「非常に高い」(高いから)
- Tyler:「高い」(中程度から)
- Zoom:「高い」(中程度から)
<大局を俯瞰する>
過去26年間、「ソフトウェアは終わった」という議論が何度も浮上してきたが、ソフトウェア企業の競争優位が一夜にして消えたわけではない。AI時代には明確な勝者と敗者が生まれるが、忍耐強い投資家であればソフトウェア業界の混乱のさ中であっても価値ある企業を見出せるであろう。
- 当社の考える最有力企業は広範な競争優位性を有し「広い(Wide)」エコノミック・モート・レーティングを獲得しているMicrosoftであり、1株あたりの適正価値推計値は600米ドルと見積もっている。AIの影響の有無にかかわらず同社は成長を続けると考えているためである。ただし、現在の環境は不確実性が極めて高く、ソフトウェア企業の株式全般を積極的に推奨するのは難しい状況である。◇
※ 本稿はエクイティ・アナリストによるアナリストノートを基にモーニングスターが編集した記事「Downgrading Ratings for Six Wide-Moat Software Companies on AI Concerns」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。ものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

