Apple【臨時レポート】: Geminiとの提携で、AI出遅れに不安を抱く投資家からは安堵の声

市場は提携を織り込んでおり、ハードウェア買い替えが促進されるかが成長の鍵となる

The Apple logo, taken at the Apple Store on 5th Avenue in Manhattan.
Sven Hoppe/picture alliance 通じて Getty

1月12日、Google(GOOG)は、複数年にわたる提携のもとでApple(AAPL)の次世代AIはGeminiモデルがベースとなることを発表した。GeminiはAppleインテリジェンスの基盤となり、2026年に登場予定の次世代Siri音声アシスタントを支えることになる。

<重要なポイント>

今回発表された提携は、これまで多くを約束しながらほとんど成果が出ていなかったAppleのAI戦略を刷新するために必要な触媒であり、GeminiによってAppleは彼らのビジョンを実現することができるだろう。モーニングスターは、業界をリードする、あるいは少なくとも競争力の高いAI機能が、Appleが持つモバイル機器エコシステムの競争力をいっそう強化すると考える。

  • われわれは、Appleが生成AIモデルをゼロから構築するのではなく提携を選択したことを評価する。Appleの強みは、ユーザーに愛されるソフトウェアアプリケーションを構築する能力にある。Appleは最先端AIモデルを独自開発する必要はなく、Geminiのような強力な基盤を活用して魅力的な機能を展開すべきだとわれわれは考えている。
  • Appleは自社のデータセンターの中のPrivate Cloud Compute内でGeminiインスタンスを使用してAI処理を行うため、セキュリティやプライバシーの保護に対するAppleブランドへの信頼は維持されると考える。Geminiに対して直接プロンプトを共有する許可を与える場合は、ユーザーがオプションを選択する仕様になると予想する。

<結論>

今回のGemini採用の発表は、長期的な当社の予測において想定内の事象である。そのため、エコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」を獲得しているAppleの適正価値推計値は240ドルで変更しない。この発表による株価の動きはほとんどなく、市場はすでに提携を織り込んでいたことを示唆しており、株価は適正水準にあると考える。

  • 今回の提携はAppleのエコシステムと既存の成長速度を補強するものであり、成長サイクルを加速するものではない。当社により高い評価を与えるためには、GeminiがiPhoneの買い替えサイクルの短期化を促す必要があるだろう。

<強気派の見解>

Geminiとの提携がAppleの新しい高性能モデル開発を速め、魅力的な機能を実行するためにより大きなメモリを必要とする場合、ユーザーは新しいAI機能を利用するために最新のスマートフォンを購入することになる。それは、より強力な上昇局面を迎えるシナリオとなるだろう。

GeminiはAppleにとって理想的なパートナーである。第一に、AppleとGoogleはすでに検索に関して10年以上の関係を持ち、GoogleはSafariやAppleデバイスでデフォルト検索エンジン(2025年の米国司法判決後は独占ではないとされている)となるために年間200億ドル超を支払っている。第二に、Googleは最先端モデル構築において最も優位なポジションにあり、新しいGemini 3.0モデルは性能面でOpenAIを凌駕している。今回の提携により、Appleは開発に自らの資金や労力を費やすことなく、常に最高水準のモデルを活用できるようになる。

1月12日時点では提携の財務面での詳細は発表されていない。この提携は長らく噂されており、Appleが年間約10億ドルを支払う可能性があるとの報道もある。モーニングスターは、この提携は両社にとって利益があると考える。Googleは利用者数と使用履歴収集を大幅に拡大し、Appleは最高水準の最先端モデルを自社デバイスに統合できる。仮にAppleから年間10億ドルの支払いが発生しても、Googleからの検索デフォルト契約料というはるかに大きな額に相殺されるため、直接的な財務への影響はAppleにとってそれほど大きくはないと考える。◇

<Appleの財務概要および主要指標>

2024年 実績
2025年 実績
2026年 予想
2027年 予想
収益(100万ドル)391,035416,161450,555477,761
収益成長率(%)2.06.48.36.0
営業利益(100万ドル)123,216133,050147,084159,205
営業利益率(%)31.532.032.733.3
調整後EBITDA(100万ドル)134,661144,748159,583172,449
調整後EBITDAマージン(%)34.434.835.436.1
1株当り利益(希薄化後・ドル)6.087.478.369.38
調整後1株当り利益(希薄化後・ドル)6.757.478.369.38
調整後EPS成長率(%)10.010.612.012.1
PER37.734.731.027.7
PBR68.852.847.147.6
EV/EBITDA倍率28.326.624.222.4
FCF利回り(%)ーーーー

出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年10月30日時点

<モーニングスターによる指標>

  • エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
  • 適正価値推計値:240.00USD
  • モーニングスター・株式レーティング:★★(割高)
  • 不確実性レーティング:「中程度(Medium)」
  • 資本配分レーティング:「模範的(Exemplary)」

※ 本稿はモーニングスターのシニア・エクイティ・アナリストWilliam Kerwinによる1月12日付アナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針