AMD【臨時レポート】:インテルとNVIDIAの提携は注目に値するが、AMDにとって致命的な打撃ではない

Advanced Micro Devicesのフェアバリューは155ドルを維持

The AMD Logo photographed off the screen of an iphone.
STRF/STAR MAX/IPx 通じて AP

9月18日、AMD AMDの競合であるIntel INTCとNVIDIA NVDAが、複数世代のカスタムデータセンターおよびPC製品の共同開発に向けた提携を発表した。この提携に当たり、NVIDIAはIntelの普通株式を1株あたり23.28ドルで50億ドル(約7400億円)分取得する予定である。

<重要なポイント>

IntelとNVIDIAの提携は、AMDにとってややネガティブだとモーニングスターは考えている。この提携により、Intelのx86 CPUがより高い競争力を持つようになる可能性があり、近年AMDに奪われていた市場シェアの下げ止まりにつながる可能性があるからだ。

  • とはいえ、AMDはここ数四半期、x86 CPU市場においてIntelに対してシェアを大幅に伸ばしており、Intelが短期的、あるいは中期的にシェア低下を食い止められるかどうかは依然として不透明である。
  • AMDにとってポジティブな側面としては、NVIDIAの投資によって、Intelの株式の約10%を保有する米国政府とNVIDIAの関係が強化され、その結果NVIDIA(およびAMDも)が中国市場に対して、より高度なAI製品を販売しやすくなる可能性がある。

<結論>

AMDはモーニングスター・エコノミック・モート・レーティングで「狭い(Narrow)」の評価を獲得しているが、今回のNVIDIAの提携発表後においても、AMDの適正価値推計値155ドルと、不確実性評価「非常に高い(Very High)」を維持する。同社の株価は1か月前の175ドル近辺から下落しており、現在では適正な水準にあると見ている。

  • 今回の提携は、AMDが今後もAI市場におけるシェアを徐々に獲得しつつ、PCおよびデータセンター向けx86 CPUにおいてIntelに対してシェアを拡大していくという我々の見通しを変えるものではない。

<事業戦略と展望>

NVIDIAは長年にわたり、サファイア・ラピッドなどのIntel製x86 CPUを自社のGPUサーバーと組み合わせてきた。今回の提携が、NVLinkにおける接続性向上をもたらし、二社の関係はさらに強化されるだろう。我々は、AMDがすでに競合するAI製品を提供しているため、この分野でAMDがシェアを拡大するとは当初から期待していない。

  • 一方で、高負荷のため高いパフォーマンスが要求される分野で、顧客がGPUとは独立してx86 CPUを購入するケースにおいては、近年のシェア拡大を踏まえると、Intelを凌駕してAMDがサーバーCPUの選択肢として優位に立っていると我々は考えている。
  • ただし、NVIDIAがIntelのx86 PC CPU製品にRTX GPUチップレットを供給する契約については、我々はやや懸念している。NVIDIAブランドではなくとも、グラフィックス性能の向上によって、PCメーカーがAMDではなくIntel製品へと回帰する可能性があると考えている。

NVIDIAは、今回のIntelとの提携が米・中政府間のAI輸出入に関する姿勢に影響を与えることはないと述べているが、モーニングスターはこの見解には懐疑的である。NVIDIAは、米国政府がIntelとNVIDIAの提携を支持していると述べており、もしこれが事実であれば、NVIDIA(そしてAMDも)が中国市場に対して、より高度な製品を販売できる可能性が高まるという、楽観的な見方が生じる。その結果、AMDはNVIDIAから新たなビジネスをさらい、さらにHuawei、Cambicronなどの中国産プロセッサの代替として中国企業に採用される可能性が生まれるだろう。

とはいえ、まだ現時点で我々は中国市場の動向がAMDの評価を大きく左右するとは考えていない。中国政府はNVIDIA製品の流入阻止に向けて厳しい姿勢を取り続けており、最近ではRTX Pro 6000D製品の販売を禁止し、国内企業に対してAI向けにNVIDIAのH20チップを購入しないよう警告を発している。我々の見解では、確実ではないものの、NVIDIAには既に一定の損害が生じており、NVIDIAとAMDはたとえ品質の高い製品であっても、中国市場での販売を禁止される可能性も否定できない。

中国政府には、国内におけるAIの発展を阻害しない範囲で、NVIDIAとAMDを排除して国産チップエコシステムを支援するインセンティブがある。もちろん、米国政府によるAIおよび半導体製品の対中輸出・販売規制は、これまでのところ中国のAI分野の成長に大きな障害をもたらしてきた。

AI製品におけるAMDとNVIDIAの競合関係において、NVIDIAによる50億ドルの投資はさほど重要ではなく、NVIDIAの中核となる事業計画に影響を与えるものではないとモーニングスターは考えている。例えば、今回の契約により、Intelは引き続きNVIDIAのGPUサーバーにおけるx86 CPU供給元となるが、一方でNVIDIAは、ArmベースのCPUである現在のGraceや将来のVeraを推進することを改めて表明している。その他の条件が同じであれば、NVIDIAが優先する道筋はx86を推進してIntelに利益をもたらしAMDに不利益をもたらすことではなく、可能な限りGPUをArmベースのGrace CPUと併用して展開することだと我々は考えている。

製造面で重要なのは、NVIDIAがIntel 14Aプロセスを使用する意向を示しておらず、また製造の大部分をIntelファウンドリに移行する計画も明らかにしていない点である。我々は、今回の50億ドルという金額は、中核製品であれ、提携するチップであれ、NVIDIAにIntel製品の使用を強制するほどの大きな意味を持つとは考えていない。

インテルとNVIDIAの両社とも、今回の提携に含まれるチップの製造プロセスについて公表を控えている。我々は現時点では、Intel 14Aプロセスにおける生産が突如正常化し、めざましい成長を遂げるファウンドリとなり、NVIDIAが製造面で本質的に優位に立つ一方で、AMDが排除されるようなシナリオはまだ想定していない。◇

<モーニングスターによる指標>

エコノミック・モート・レーティング:「狭い(Narrow)」

適正価値推計値:155.00ドル

モーニングスター・株式レーティング:★★★(中立)

不確実性レーティング:「非常に高い(Very High)」

資本配分レーティング:「模範的(Exemplary)」

<Advanced Micro Devices の財務概要および主要指標>

2023年 実績
2024年 実績
2025年 予想
2026年 予想
収益(100万ドル)22,68025,78533,43041,001
収益成長率(%)-3.913.729.722.7
営業利益(100万ドル)3672,0383,6477,795
営業利益率(%)1.67.910.919.0
調整後EBITDA(100万ドル)3,8544,9646,66810,756
調整後EBITDAマージン(%)17.019.319.926.2
1株当り利益(希薄化後・ドル)0.531.002.564.26
調整後1株当り利益(希薄化後・ドル)2.653.314.136.28
調整後EPS成長率(%)-24.425.124.851.8
PER55.636.538.525.3
PBR4.33.44.33.9
EV/EBITDA倍率61.039.038.423.8
FCF利回り(%)

出所:Morningstar Valuation Model. データは2025年8月5日時点

※ 本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト、ブライアン・コレロによるアナリスト・ノートを基に、その概要をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針