4月1日に買収の噂が流れ始めた後、Amazon(AMZN)は、低軌道衛星通信サービスを提供するGlobalstarを116億ドルで買収することを正式に発表した。この買収は、連邦通信委員会(FCC)の承認をまだ受けていない。
<重要なポイント>
AmazonはGlobalstarを116億ドルで買収するというが、これは2026年の同社売上高の約40倍に相当する額である。Globalstarの株主は、対価として1株あたり90ドルの現金、またはAmazonの株式0.321株のいずれかを受け取ることを選択できる。現金での受け取りは、Globalstarの株式総数の40%を上限とする。
- また、AmazonはAppleと契約を締結し、現在および将来のiPhoneとApple Watch向けサービスに衛星通信を提供することになった。これは、AppleとGlobalstarの間ですでに結ばれていた限定的な契約を拡大するものである。
<結論>
モーニングスターは、「広い(Wide)」エコノミック・モート・レーティングを付与しているAmazonについて、今回の買収はAmazonの時価総額2.5兆ドルにとって何ら問題とならないため、1株あたり260ドルの適正価値推計値を維持する。Amazonは、Globalstarについて人々の関心を惹くような何らかの計画があるかもしれないが、今回の買収が株式の希薄化を招き、すでに極めて高い水準にあるAWSの投資サイクルに、さらなる重圧を加える可能性がある。
- Amazonの戦略は、将来のデバイス直接通信サービスや、アクセス困難な顧客にサービスを提供するモバイル通信事業者向けのサービス拡充に重点を置いている。この周波数帯は貴重な資産であり、今回の買収は、最近の遅延により停滞している「Amazon Leo」のテコ入れになると考えている。
- マイナス面は、予想売上高の40倍という買収価格である。これは株式の希薄化を招き、AWSへの投資に充てるべき資金が振り向けられる点が懸念される。
<今後の展望>
衛星通信事業は、2000年以降株主にとって特に魅力的な投資分野とは言えない。LEO(Amazon)とスターリンク(SpaceX)の両衛星通信プロジェクトが必要とする投資に見合うだけの、十分なリターンを生む市場規模になるとは考えにくい。
- Amazonは今年2,000億ドルの設備投資を計画しており、AI向けAWSの容量増強と、eコマース機能の刷新を行う予定である。同社はこれらの分野で長年にわたり収益を上げてきた実績がある。◇
<モーニングスターの主要指標>
- 適正価値推計値:260.00ドル
- モーニングスター・レーティング:★★★★(割安)
- モーニングスター・エコノミック・モート・レーティング:「広い(Wide)」
- モーニングスター・不確実性レーティング:「中程度(Medium)」
※ 本稿はエクイティ・アナリストによるアナリスト・ノートに基づく記事「Amazon: Firm Officially Acquiring Globalstar at an Eye-Popping Multiple」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

