Nvidia は2025年8月27日、2026年第2四半期決算を発表した。Nvidiaの業績と株式見通しに関するモーニングスターの見解は以下の通り。
<Nvidia第2四半期決算、モーニングスターはこう見る>
- NvidiaのAI製品については依然として需要が供給を上回っている。しかし、供給そのものも我々の予想以上に急速に拡大している。最新のブラックウェル・ウルトラ製品でNvidiaには価格決定力があり、売上高をさらに押し上げるだろう。
- Nvidiaの米国事業について我々は楽観しており、中国事業における不透明感と最近の規制強化のネガティブな影響を相殺するとモーニングスターは考えている。
- Nvidiaの経営陣は「10年後までに3兆ドルから4兆ドルのAIインフラ投資を見込んでいる」と述べており、長期的な展望は引き続き明るい。
- イーサネットベースの製品の売り上げが年間100億ドルに達し、また、ハイパフォーマンス・コンピューティング向けに独自のインフィニバンド製品の採用が進んでいることから、我々はNvidiaのネットワーク事業に引き続き注目している。
- Nvidiaは過去8四半期にわたり、新規供給の拡大に伴い、AI関連売上高を四半期ごとに約40億ドルずつ着実に増やしてきた。ブラックウェル・ウルトラのラックスケール製品の供給が加速していることから、第3四半期には70億ドルの増加が見込めるとのガイダンスは、我々の見方を裏付けている。
- Nvidiaは、モーニングスター・エコノミック・モート・レーティングで「広い(wide)」を獲得している。我々は、Nvidiaの不確実性レーティングを「非常に高い(Very High)」に据え置き、同社株式の適正価値推計値を170ドルから190ドルに引き上げた。中国での売上高予想については前倒しで下方修正したものの、米国での供給増加は、短期および中期の成長率を押し上げる要因となるだろう。
- 約167ドルで取引されているNvidia株式は、やや割安であると我々は考えている。
<Nvidiaの適正価値推計値>
モーニングスター・株式レーティングで3つ星(中立)評価のNvidia株式は、長期的な視点で評価している当社の適正価値推計値である1株当たり190ドルと比較して、妥当な水準にある。当社の適正価値推計値とNvidiaの株価は、良くも悪くもデータセンター(DC)と、ビジネスおよびAI向けグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)分野における同社の将来性に左右される。NvidiaのDC事業はすでに飛躍的な成長を遂げており、2020年度の30億ドルから2025年度には1,150億ドルに増加するだろう。
モーニングスターは、Nvidiaが中期的に在庫調整やAI需要の一時的な停滞に直面する可能性を十分織り込んで、2030年度の成長率を2%と予測している。この限定的な変動を除けば、その後のDC成長率は平均で年10%から12%と予想しており、これはAIが成熟するにつれて長期的に見て妥当な成長率だと考えている。
長期的には、ハイパースケーラーにおけるクラウド・コンピューティングの売上高は10%台前半のペースで拡大し、売上高に占める設備投資の割合は一定水準に留まると予想する。Nvidiaの売上高成長率は、これらクラウド・コンピューティングの成長率と同程度になると予想している。
かつてNvidia最大のビジネスであったゲーム事業では、2026 年度の売上高を 180 億ドルと予想している。Nvidiaが2027年度にPC向けCPUを市場に投入した場合、この分野の売上高が230億ドルに達する可能性がある。その後、ゲーム事業の売上高が年平均10%の成長率で推移し、2030年度には事業規模が310億ドルに迫るだろうと我々は予測している。
アクティブセーフティ・システムや自動運転分野では、より高い処理能力が求められるため、Nvidiaの自動車事業に我々は大いに期待している。モーニングスターのモデルでは、2026年度の売上高を26億ドル、今後10年間の年平均成長率を20%として、2035年度には売上高が108億ドルに達すると予測している。
<エコノミック・モート・レーティング >
Nvidiaは、グラフィックス・プロセッシング・ユニットに関する無形資産と、開発者がNvidiaのGPUを使用してAIモデルを構築できるようにするAIツール用の独自ソフトウェア「Cuda」のスイッチング・コストの高さにより、モーニングスター・エコノミック・モート・レーティングで「広い(wide)」を獲得している。
多様な最終市場におけるNvidiaの優位性の核心には、GPUの並列処理の特性がある。PCグラフィックはNvidia初期からの主要アプリケーションだが、過去20年にわたってゲーム体験によりリアルな没入感をもたらしてきた。さらにこの10年で、GPUの並列処理は、AIモデル稼働に必要な行列乗算アルゴリズムの効率化に資することも明らかになった。
今日のNvidiaが持つAI関連技術はきわめて強力であると我々は考えているが、それ以上に、同社は競争力向上のために適切な動きを見せている。NvidiaのCudaによるソフトウェアへの取り組みは依然として強力な上に、NvidiaはインフィニバンドのためのMellanoxの買収や、より最近ではスペクトラム・イーサネット製品で顕著なように、ネットワーキング・ソリューションに事業拡大している。ここでもNvidiaの持つノウハウはあなどれない。多くのAIモデルはGPU単体で動作するのではなく、多数のGPUが連動するコネクテッドシステム上で動作する。NVリンクのようなNvidia独自の製品は、Nvidia GPU同士を接続し、大規模モデルを実行するのに適している。
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<財務の健全性>
Nvidiaは財務の健全性が優れている。2025年7月現在、同社は570億ドルのキャッシュと投資を保有しており、これに対して長期債務はわずか85億ドルである。
半導体企業は、チップ業界の景気サイクルを乗り切るために、大量のキャッシュを保有する傾向がある。このキャッシュは、不況時に競争力と技術的地位を維持するために必要な研究開発への投資を継続するためのクッションと柔軟性を担保する役割を果たす。Nvidiaは、景気後退に対応できる十分すぎるほどのキャッシュを保有しており、自社株買い以外にこの余剰現金を使う機会を見出すのに苦労している。Nvidiaの配当は、その財務健全性と将来の見通しに比べて実質的にそれほど注目する必要はない。
<リスクと不確実性>
我々は、AI市場がいまだ黎明期であるため、Nvidiaのモーニングスター・不確実性レーティングを「非常に高い(Very High)」としている。当社の見解では、Nvidiaの評価は良くも悪くもAI発展の中で成長できるかどうかにかかっている。Nvidiaは、AIモデルのトレーニングに使用されるGPUの業界リーダーであり、AI推論ワークロード(予測や出力を行うためにモデルを実行する)に使用されるチップ需要のかなりのシェアを獲得している。
我々が考える最大のリスクは、今後のAI投資のペースである。Nvidiaは近年、AIの飛躍的な成長で栄えたが、そのような支出は一握りの顧客によるものであり、彼らは皆、時間の経過とともに、投資を削減しないまでも、最終的には最適化するインセンティブを持っている。
このようなAI構築の中で、テックリーダーはワークロードの少なくとも一部に自社製チップを使うようになるだろうと我々は考えている。GoogleのTPUやAmazon.comAMZNのTrainiumやInferentiaチップは、AIワークロードを念頭に置いて設計されている。多様化も可能であり、既存の半導体ベンダーの中では、Advanced Micro DevicesAMDが、こうしたクラウドリーダーにサービスを提供するため、GPUラインアップを急速に拡大している。
また、地政学的リスクや不確実性も予見される。特に、米国の規制は、NvidiaのAI製品の中国への販売を様々な場面で妨げてきた。
Bulls:強気の見解
- AIのインフラ機会は非常に大きく、現在すでに1兆ドル以上のインフラが導入されていると思われる。Nvidiaは今後10年間で、さらに最大4兆ドルの支出を見込んでいる。
- Nvidiaのデータセンター向けGPUとCudaソフトウェア・プラットフォームは、AIモデルのトレーニングと推論において圧倒的なベンダーとしての地位を確立している。
- Nvidiaは、業界をリードするGPUを供給するだけでなく、これらのGPUをさらに強力なクラスタに結びつけるためのネットワーク、ソフトウェア、サービスにも進出し、AI分野で順調に拡大している。
Bears:弱気の見解
- Nvidiaの顧客は、世界最大のハイテク企業の中のごく一握りであり、彼らは皆、最終的にはNvidiaからある程度離れて多角化するインセンティブがある。
- AIインフラ投資は膨大だが、売上高やユースケースはそれほど確実ではない。さらに、やがてはAIへの投資対効果が十分か否かという疑念が生じ、将来のある時点で投資が低迷する可能性がある。
- 地政学的リスクはAI分野にも影を落としており、特に中国におけるNvidiaのAI展開の機会を制限している。
<モーニングスターによる主要指標>
● 適正価値推計値:190ドル
● モーニングスター・株式レーティング:★★★(中立)
● エコノミック・モートレーティング:「広い(Wide)」
● 不確実性レーティング:「非常に高い」
※ 本稿はモーニングスターのエクイティ・アナリスト、ブライアン・コレロによるアナリスト・ノートを基にイセラ・メラズが再構成した記事「After Earnings, Is Nvidia Stock a Buy, a Sell, or Fairly Valued?」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

