モーニングスターのエクイティ・リサーチ・チームが半導体検査装置(ATE)の世界的トップ企業であり、業界第2位のTeradyne()と合わせて市場シェアの80%以上を占めるアドバンテストのカバレッジを開始した。
<レポートの概要>
アドバンテスト(6857)は、同種企業の中での競争優位性を示すモーニングスター・エコノミック・モート・レーティングで「広い(Wide)」評価を獲得しており、モーニングスター不確実性レーティングでは「(不確実性が)高い」、そしてキャピタルアロケーション・レーティングでは「標準(Standard)」の評価である。モーニングスターによる適正価値推定値は1株当たり9600円であり、同社の株価は現在適正な水準にあると考えている。
- 円高にもかかわらず、GPUや高帯域幅メモリなどの高性能チップへの旺盛な投資が続く中、半導体テストの頻度の増加が牽引役となり、アドバンテストの売上高は2025年度(2026年3月期)に9%、2026年度に8%増加すると予測している。
- 半導体製造の複雑化が進む中、同社の「広い(Wide)」というエコノミック・モートの評価は、無形資産とスイッチング・コストに裏付けられている。アドバンテストは、サプライチェーンの主要企業と強固で良好な協力関係を築いており、競合他社の追随を許さないとモーニングスターでは考えている。
<注目点>
NVIDIA(NVDA)が新たな人工知能(AI)プラットフォームの投入を継続し、Amazon(AMZN)やMicrosoft(MSFT)などのクラウドサービスプロバイダー(CSP)が2025年後半から2026年にかけてカスタムAIチップの導入を計画していることから、ATEの需要は少なくとも2026年度上半期までは堅調に推移すると予想している。
- アドバンテストの株価は、AI需要への信頼感の高まりを反映して、過去1か月で約50%上昇した。AI需要は、地政学的リスクなどの経済の不確実性に対して比較的耐性があるとモーニングスターでは考えている。
アドバンテストの財務概要および主要指標
| 2024年実績 | 2025年実績 | 2026年予想 | 2027年予想 | |
|---|---|---|---|---|
| 収益 | 486,507 | 779,707 | 850,000 | 920,000 |
| 収益成長率 | -13.2 | 60.3 | 9.0 | 8.2 |
| 営業利益 | 87,067 | 249,693 | 285,000 | 315,000 |
| 営業利益率 | 17.9 | 32.0 | 33.5 | 34.2 |
| 調整後EBITDA | 107,732 | 255,236 | 305,000 | 334,000 |
| 調整後EBITDAマージン | 22.1 | 32.7 | 35.9 | 36.3 |
| 1株当たり利益(希薄化後) | 84.45 | 218.67 | 283.64 | 313.80 |
| 調整後1株当たり利益(希薄化後) | 84.45 | 218.67 | 283.64 | 313.80 |
| 調整後EPS成長率 | -87.9 | 158.9 | 29.7 | 10.6 |
| PER | 80.4 | 29.6 | 37.3 | 33.7 |
| PBR | 11.6 | 9.4 | 11.6 | 9.1 |
| EV/EBITDA倍率 | 46.7 | 18.2 | 24.8 | 22.7 |
| FCF利回り | - | - | - | - |
出所:モーニングスター・バリュエーション・モデル データは2025年6月30日時点
- モーニングスターはAI需要の長期的な成長には自信を持っているものの、クラウド・サービス・プロバイダーによる設備投資が2026年後半に一時的に停滞する可能性を懸念している。その結果、アドバンテストの2027年度の売上高は6.5%減少すると予想している。
<長期的な見通し>
半導体製造の複雑化はアドバンテストにとって成長機会となる。同社は、半導体チップ検査の需要増加だけでなく、周辺装置やサービスソリューションの提供からも恩恵を受けるだろう。
<事業戦略と展望>
前述の通り、アドバンテストは自動試験装置(ATE)の世界的リーダーであり、第2位のテラダイン社と合わせて市場の80%以上という高いシェアを占めている。
半導体製造プロセスはますます複雑かつ困難なものとなっており、高価な装置への多額の投資が必要となっている。そのため、半導体チップメーカーは生産歩留まりを迅速に向上させ生産ラインから十分な利益を生み出すことができるように、設計および量産の早い段階で欠陥を特定する必要があり、その上で検査機器がますます重要になってきている。
生成AIの普及は、半導体市場の拡大だけでなく、半導体受託生産企業における極端紫外線リソグラフィー(EUVL)や高帯域幅メモリ(HBM)など、より高度な技術・製品を用いた製品の成長を牽引すると見込まれている。これにより半導体テストの需要が高まり、より幅広い需要を満たす包括的なソリューションが求められるであろう。アドバンテストは、テスト性能の向上に加え、周辺装置やサービスソリューションの提供を通じて、サプライチェーン全体にわたって顧客に価値を提供することに尽力している。これらの取り組みによって、アドバンテストは半導体市場の成長を上回る成果を上げることが可能となるだろう。
2024年6月、アドバンテストは2024年度から2026年度(2027年3月期)までの3ヵ年中期計画を発表したが、旺盛なAI需要による半導体テストの増加に牽引され、アドバンテストの2024年度の業績はすべての目標値を上回る結果となった。この中期計画の財務目標は、2025年10月に見直される予定となっている。
地政学的リスクの高まりにより経済の不確実性が高まっているものの、AIの成長が牽引する現在のテスト需要は比較的堅調に推移すると考えている。
強気の見解:
- アドバンテストは、半導体チップ検査の需要増加に伴い、ATE市場でさらにシェアを拡大する可能性がある。
- AI関連ビジネスを展開している巨大企業は積極的な投資を継続しており、AIチップセットの高成長が想定以上に長く続く可能性がある。
- AI対応機能がPCやスマートフォンの買い替えを促すため、高度なチップの需要は爆発的に増加する可能性がある。
弱気の見解:
アドバンテストは中国のATEサプライヤーとの激しい競争に直面し、市場シェアを失うリスクがある。
AI関連ビジネスを展開している巨大企業がAI投資を収益化できない場合、最先端半導体は供給過剰となるリスクがある。
アドバンテストは、半導体製造装置という極めて浮沈の激しい業界に依存して事業を展開している。
※本稿はモーニングスターのエクイティ・リサーチ ディレクター伊藤和典による6月30日付、アドバンテストについてカバレッジを開始したアナリスト・ノートの一部を抜粋してモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。英語原文と翻訳に相違がある場合は原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

