<今回のポイント>
- 6月23日、グローバルなハイテク株売りが2日続いたことを受け、米国株式市場は下落した。
- この下落は、AI関連株式の急騰や、大型ハイテク企業による複数回の負債(社債発行など)を通じた資金調達への懸念による調整である。
- FRBが年内に利上げを行うとの見方が、ここ数日の株価の重石となっている。
6月23日、グローバル市場でハイテク株売りが続き、今年大きく値を上げていた銘柄の一部を直撃したことを受け、米国株式市場は下落した。Morningstar 米国株式指数は、1.4%下落し、ハイテク株比率が高いNASDAQは2.2%下落、S&P 500も1.4%下げて引けた。ハイテク株の高騰とAI関連株式の過熱したバリュエーションへの懸念から、市場で2日連続の売り圧力が強まったことによる。Morningstar米国株式テクノロジー指数は3.6%下落した。
SpaceX(SPCX)は、22日の下落で時価総額が4,000億ドル減少し、3営業日連続の下落となった。23日は、寄り付きで3%以上下落した後持ち直し、初日の初値(150ドル)をわずかに上回る156ドルで取引を終えた。
LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンクイスト氏は、「この調整局面はまだ終わっていないだろう。投資家のポジションが極端に集中していた上に、レバレッジ商品の動きや強気な市場心理が重なった」と述べている。
以下はIPO以降のSpaceX株式の値動きである。
Alphabet(GOOG)の株式は、22日に5%下落して過去1年間で最大の下落幅を記録し、翌23日も1%下げた。高まるAIへの懸念に加え、著名な研究者2名の離職が拍車をかけた。マグニフィセント・セブンのMicrosoft(MSFT)とAmazon(AMZN)も、寄り付きは下落したが、引けまでにその日の下落分を回復した。一方、Tesla(TSLA)は5.8%下落した。
モーニングスターのシニア・エクイティ・アナリスト、ハビエル・コレオネロは、市場の過熱によりハイテク株が今年に入って過去最高値を更新したことを受け、今回の売りは投資家による利益確定が主因である可能性が高いと述べている。「市場には過熱感が見られます」と同氏は付け加えた。
半導体株式が下げを拡大
一方、半導体メーカーのMicron(MU)とIntel(INTC)は、23日前場終了時点でそれぞれ13.2%、6.1%下落したものの、セクター全体が売り圧力に見舞われる中で値を上げて引けた数少ないテクノロジー株だった。Micronは23日に決算を発表する予定だ。
韓国の半導体メーカーSK Hynix(000660)とSamsung(005930)は、23日の取引でそれぞれ13%急落し、韓国の主要株価指数であるKOSPIを過去最高値から10%押し下げる要因となった。香港の中国株は下落幅を広げ、弱気相場圏に入った。
AI関連株を牽引してきた半導体メーカーが23日に下落したのは、投資家が、「AIセクターの大規模な設備投資が将来のリターンに見合うのか?」という疑問を持ち始めたことが一因である。AmazonやAlphabetなどのハイパースケーラーによる記録的な社債発行は、大手テクノロジー企業がAIインフラ構築資金を借り入れる中で、新たなリスク要因となっている。
ヴァンガードのポートフォリオマネジャー、タン・グエン氏は、「昨年AIインフラのブームが本格化したことに伴い、米国のハイパースケーラーの債務が、年間平均280億ドルから930億ドルに跳ね上がった」と指摘する。2026年に入ってそのペースはさらに加速しており、グエン氏によると、ハイパースケーラー各社は今年必要な資金の約半分しか調達できていないという。
一方、先週、FRBの新議長であるケビン・ウォーシュ氏がタカ派的な発言をしたことで、年内に利上げが行われる可能性が示唆された。資金調達コストが上昇すれば、高額なAIインフラの拡充が阻害される恐れがある。
AIブームは終わるのか?
ハイテク株は今年、過去最高値を更新している。これは、AI関連株への熱狂が、地政学的・経済的リスクに対する緩衝材として機能してきたからだ。米国のハイテク企業による大規模なAIインフラ投資計画の発表が、その熱狂に油を注いだ。しかし、これらのハイパースケーラーが、巨大な投資計画の資金調達のために、債券・株式市場を含む外部資金をますます求めるようになるにつれ、セクター内における循環的な資金調達や集中リスクに対する懸念が生じている。
サクソバンクの英国投資担当ストラテジスト、ニール・ウィルソン氏は、「AIの最先端に立ち続けられるのは誰なのか、という疑問がますます大きくなっています」と述べる。「Micronの決算発表を控え、強気派が慎重姿勢に転じているようです。この決算はAI関連企業全体の動向を占うものであり、過熱感をいくらか抑えつつあります。SpaceXの株価急落が懸念材料となり、また新たな資金調達によって、これらの企業が投資を継続できるほど資金力があるのかという疑問も浮上しています」。一方で、同氏は、この調整はAI関連銘柄への見直しの結果というよりは、米国の金利見通しの修正による影響が大きいと指摘する。さらに、FRBによる利上げが早ければ7月にも実施される可能性が出てきたと付け加えた。
「結局のところ、これは何か破滅的な事態の前兆というよりは、金利上昇見通しに対する一時的な調整と言えるでしょう」とウィルソン氏は述べている。
LPLのターンクイスト氏は、この下落はテクノロジー株やAI関連株の相場が終わったことを意味するものではないとしながらも、「利益確定売りの圧力が高まるにつれ、市場に下振れ圧力がかかると予想されます」と付け加えた。◇
※ 本稿はモーニングスターの「US Stocks Fall as Global Tech Selloff Deepens」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

