トップマネジャーは欧州防衛関連株を選好、一方でAI関連への姿勢はまちまち

関税や地政学的勢力図――変化が渦巻く世界で、投資機会はどこにあるのか。

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<今回のポイント>

  • 「モーニングスター・インベストメント・カンファレンス」において、ファンドマネジャーは、防衛費の急増に伴い、欧州の防衛セクターには魅力的な投資機会があると述べた。
  • 中国は強力なエネルギー生産を背景に、AI分野の主要勢力として台頭しつつある。
  • メモリ、CPU、ハードウェアにおける循環的な需要ブームは、依然として続いている。

関税問題、同盟関係再編、新たな紛争、自由貿易への挑戦などを背景に、ファンドマネジャーは、新たな機会を活かすためにはグローバル投資そのものが適応しなければならないと考えている。

「モーニングスター・インベストメント・カンファレンス」のパネリストとして登壇したファンドマネジャーたちは、進化する世界の投資環境や、その変化の中でリスクを抑えつつリターンを挙げるために投資アプローチをどのように変えているかなどについて、それぞれの見解を語った。

議論の出発点となったのは、地政学的な要因だ。世界経済が地政学的ショックをほぼ乗り切ったにもかかわらず、株式市場は短期的なボラティリティで反応している。

コーズウェイ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、コナー・マルドゥーン氏は、これにはドナルド・トランプ米大統領による相互関税も含まれると指摘する。「市場は短期的には過剰反応するが、長期的には過小反応をするものです。GDPに占める輸出入の割合といった広範なデータを見ると、関税政策にもかかわらず、過去1年で世界貿易は実際に増加しています」。

マルドゥーン氏は、米国がアジアから引き続き大量の半導体を輸入しているため、この傾向は主にAIブームによると述べた。「実際にマクロ経済データに脱グローバル化の影響が表れるまでには数年かかります。企業は水面下で対応を進めています。たとえば、IntelとAppleの国内でのチップ製造連携を政府が促進するなどです。こうしたサプライチェーンの見直しには多くの資金と時間がかかります」と同氏は説明した。

JPモルガンのポートフォリオマネジャー、ヘルゲ・スキベリ氏は、こうしたボラティリティの激しい状況では、事業のレジリエンスに焦点を当てていると述べた。「我々は、関税を吸収できる強力な価格決定力を持つ企業や、国際関係の摩擦で影響を受けないビジネスモデルを探しています。TSMCのような企業は、積極的に多角化を進めています。5年後には、同社の生産能力の20~30%が米国内に置かれる見込みです。保護貿易主義は広がりつつあります」。

構造的な資本のシフト:欧州の防衛と世界のエネルギー

ロシア・ウクライナ戦争と米国からの圧力によって、欧州の防衛支出は急増している。この変化は構造的なものなのか、それとも一過性の現象なのか?マルドゥーン氏は、前者だと考えている。「2024年の防衛支出は、米国は8,000億ドル、欧州は4,000億ドルでした。2030年までに、欧州の防衛支出は7,000億ドルに迫るでしょう」。

JPモルガンのスキベリ氏は、今後10年間、欧州の防衛支出は名目GDPを構造的に上回ると予想している。「Rheinmetall(ラインメタル)のような株式は上昇ペースが速すぎましたが、最近の市場調整により、再び魅力的な投資対象となっています。われわれは、強力な防空ポートフォリオと米国市場での圧倒的な存在感を理由に、BAE Systemsに注目しています」。

キャピタル・グループの株式ポートフォリオ・マネジャー、カール・カワジャ氏は、より身近なカナダのエネルギー分野に投資機会を物色していると述べた。「中東産原油の供給ルート変更が主要な投資機会とは考えていません。むしろ、カナダには極めて豊富な重油があり、米国の製油所は国内の天然ガスコストが低いため、この重油処理に特に適した体制が整っています」。

AIインフラ関連サイクル

話題は、AI関連の資金の流れについてへと進んだ。資金の流れはマグニフィセント・セブンから、国際的な半導体チップメーカーやハイテクハードウェアメーカーへとシフトしている。

JPモルガンのスキベリ氏は、これが世界の株式市場における最も重要なトレンドであると述べた。「私の戦略は、TSMC、ASML、Nvidiaなど、長期的な競争優位性を備えた企業を買うことです。現在、極めて旺盛なAIの需要によって、メモリ、CPU、ハードウェアは、数十年に一度とも言える循環的な需要ブームにあります」。

コーズウェイ・キャピタルのマルドゥーン氏は次のように述べた。「メモリサイクルの動きは根本的に変わりました。Samsung、Micron、SK Hynixは現在ハイパースケーラーとの交渉において、数量確保と引きかえに、前例のない5〜10年間の長期的な数量・価格契約を提示しています。メモリサイクルはこの長期契約により、従来の投資家の予想を超えて長期化する可能性があります」。

キャピタル・グループのカワジャ氏は、AIインフラ投資にはバブル的な性質があるとしつつも、「バブルの根源には、いつも何らかの現実があります。超過リターンを得るために、私はAI企業そのものではなく、AI普及によって二次的に大きな恩恵を受ける企業をターゲットにしています」と述べた。

カワジャ氏は、AI競争は世界秩序を再構築するもう一つの重要な要素であり、中国が無視できない勢力として台頭していると指摘した。「AI競争において、中国の真の競争優位性はエネルギー生産力にあります。大規模なAIデータセンターの稼働に不可欠な低コストで大容量の電力供給において、中国は米国・欧州のいずれをも大きくリードしています。中国の技術エコシステムを軽視することは、重大な過ちです」と同氏は指摘した。◇

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針