※ 本稿は6月25日に開催された「ウォール街からメインストリートへ:アメリカの投資の未来」と題する公聴会に向け、米国下院金融サービス委員会の証券・投資銀行小委員会に提出された書面による提言です。
この由緒ある小委員会で発言する機会をいただき、誠にありがとうございます。私はジェフリー・プタックと申します。投資および企業に関するデータ、分析およびレーティングを提供する独立系投資リサーチ会社、モーニングスターのマネージング・ディレクターを務めております。モーニングスターは1984年に設立され、現在では世界中の公開市場および非公開市場にわたる300万件以上の運用商品のデータを網羅しています。1億人以上の個人投資家がモーニングスターのデータやリサーチを利用しており、30か国以上にわたるファイナンシャル・アドバイザー、資産運用会社、機関投資家にもサービスを提供しております。
私はモーニングスターで20年以上にわたり、アメリカ人の投資行動について研究してまいりました。その間、同社の最高格付責任者を務め、上場投資信託(ETF)のリサーチ業務を草創期から主導し、またエクイティ・アナリストとして資産運用業界を担当してまいりました。それらを通じて、私はファンドの構造、コスト、運用担当者の行動が、投資家が実際に得る成果にどのような影響を与えるかを解明することに重点を置いてきました。
過去20年間にわたり、規制や業務規範の向上、市場競争、投資家のコスト意識の高まり、健全なスチュワードシップ等が相乗効果を生み、資産運用において従来と比べると破格なほどの成果がアメリカの一般投資家にもたらされたことをデータは示しています。モーニングスターの調査は、進歩の3つの側面を明示しています。投資家が負担する費用の劇的な削減、より効率的な投資ビークルへの決定的な移行、そして市場リターンのかつてないほど多くの部分を投資家が享受していることを示す証拠です。
1. コスト:投資の成功を左右する重要な要因
コストは投資の成否を分ける最も重要な要因の一つであり、モーニングスターの調査では、将来のパフォーマンスを予測する上で最も信頼性の高い指標であることが一貫して示されています。これは投資研究者の間で異論の余地のない見解であり、モーニングスター自身の調査において繰り返し確認されているだけでなく、長年にわたり学術研究によっても裏付けられている事実です。
モーニングスターによるいくつかの画期的な調査において、経費率(ファンドのコスト)が最も低いファンド群は、最も高いファンド群よりも将来高いリターンを生む傾向があることが示されました。また経費率は、過去のパフォーマンスを含め、これまで検証されてきたどの要因よりも高い予測力を示しました。この結果は、アナリストが調査したすべての資産クラスおよび期間において、一貫して確認されました。
最近の研究も、これらの知見を裏付けています。例えば、2025年までの10年間において、各カテゴリで経費率が最も低い五分位(20%)に属するアクティブ・ファンドの31%が、同じカテゴリの平均的なパッシブ・ファンドのパフォーマンスを上回りました。一方、経費率が最も高いグループのファンドでは、その割合はわずか17%にとどまりました。
アクティブ・ファンドのコストの差は、単に「低いほうが好まれる」という問題ではなく、長期的な運用成果を左右する重要かつ測定可能な要因です。
2. 低コストのファンドが主流となる
市場はこの現実に対して、政策関係者にとって未来に希望が持てるような動きを見せています。モーニングスターの年次調査である『2026年米国ファンド費用調査(2026 US Fund Fee Study)』は、ファンド業界の運用費用動向を分析し、アメリカの一般投資家に具体的かつ測定可能な形で恩恵をもたらしてきた構造的変化を明らかにしています。ファンドの投資家が実際に支払った平均的な運用費用(資産加重平均経費率)は、2025年に0.32%まで低下しました。この数字は、20年前に投資家が支払っていた0.80%の半分以下です。投資家は昨年だけでも、ファンドに支払う費用を約68億ドル節約したと推計されます。
さらに重要なことに、このデータには単なる運用費用の低下トレンド以上の意味があります。すなわち、投資家は低コストのファンドを選択し、業界に変化を迫っているのです。投資家は、業界が設計した運用費用体系をただ甘受する存在ではなく、コストの高いファンドを積極的に見限っています。例えば、2025年には、運用費用が最も低い五分位のファンドは6,940億ドルの純資金流入を記録しました。一方、残りの80%のファンドは、合計で2,440億ドルの純流出を記録しており、その差は約9,390億ドルに達しています。
受託者責任基準の強化や、フィーベースのファイナンシャル・アドバイスへの広範な移行によって、アドバイザーと顧客のファンド選定のあり方は大きく変化し、コストが判断基準の中核になりました。アドバイザーの報酬が「商品販売」から「継続的なアドバイス関係」へと移行するにつれ、コストの評価は容易になり、無視できない要素になってきました。投資家のコスト意識の高まりは、モーニングスターの「2026年米国ファンド費用調査」でも裏付けられています。アドバイス費用をファンド費用に組み込んだ「バンドル型」のシェアクラスは16年連続で純流出となる一方、低コストの「アンバンドル型」(アドバイス費用が別枠となる)のファンドは安定した資金流入が見られます。投資家は単にコストを認識しているだけでなく、その認識に基づいて行動しており、その変化がデータとしても確認されています。
3. 投資家は、自ら選んだ低コストのファンドで成果を上げている
これらの変化が投資家に有益であることを示すデータがあります。モーニングスターの調査によると、2025年12月までの10年間で、主要なファンド・カテゴリーほぼすべてにおいて、ファンドの「資産加重平均リターン」が「単純平均リターン(等加重平均リターン)」を上回りました。この差は、年率50~100ベーシスポイント(0.5~1%)であり、最も人気のあるファンドが他のファンドに比べてコスト優位性があったことが主因です。投資家の資金は、より低コストでパフォーマンスの優れた戦略へと流入していたのです。
この変化は、平均リターンの向上だけでなく、競合する他のファンドを上回る成果(アウトパフォーム)を上げる可能性も高めています。『熟練したアクティブ・マネージャーは一貫して市場を上回り、高い費用を正当化できる』というのが、長年にわたる通説でした。しかし、こうした既成概念に対し、モーニングスターが半期ごとに行っている、アクティブ・ファンドとパッシブ・ファンドの運用実績比較レポート『アクティブ/パッシブ・バロメーター』は、異なる実態を明らかにしています。このレポートは、資産総額約26兆ドル、米国ファンド市場の約67%を占める9,248本のファンドを対象としており、投資家や研究者が利用できる、アクティブ・ファンドとパッシブ・ファンドの運用実績を比較する最も包括的な分析の一つです。
この調査結果は明白です。2025年までの10年間で、低コストのパッシブ型ファンドは、アクティブ・ファンドの約80%を上回るリターンを上げました。特に米国の大型株市場はインデックス・ファンドに有利な環境であったため、この期間においてアクティブ・ファンドの90%を上回る実績を達成しました。大型グロース戦略に限定すると、その実績はさらに際立ち、20年前に存在していたアクティブ・ファンドのうち約66%が運用を終了(償還)しており、運用費用控除後のリターンでインデックス・ファンドの平均を上回ったファンドはわずか1%でした。言い換えれば、パッシブ・ファンドのような低コストの運用商品を選んだ投資家は、大半の場合において報われる結果となったのです。
この変化は一過性の流行ではなく、長く続いている強気相場の産物でもありません。アクティブ・ファンドを取り巻く競争環境は、時間の経過とともに構造的に厳しさを増しています。過去10年間で、運用会社が以前ほど多くの新規ファンドを立ち上げなくなった結果、株式・債券ファンドの数は設定本数から償還本数を差し引くと1,651本減少しました。こうした集約化は、運用費用控除前のリターンの差を縮め、かつてアクティブ・マネージャーが差別化を図る機会となっていた銘柄選択効果も縮小しました。今では、ファンド間のパフォーマンス格差の要因として以前にも増して運用費用の差が大きな比重を占めるようになっており、運用成果を予測する要因としてコストが極めて重要であることをさらに裏付けています。
なお、アクティブ運用戦略が長期にわたって持続的な価値を発揮してきたカテゴリも存在します。代表的な例が債券です。過去10年間で、アクティブ型債券ファンドの42%が存続し、かつ同一カテゴリのパッシブ・ファンドを上回る運用実績を上げました。これは、本調査の対象となったすべてのカテゴリの中で最も高い成功率です。一部の国際株式カテゴリや小型株カテゴリにおいても、熟練したアクティブ運用者であれば長期的に付加価値を生み出せるという結果が示されています。ここから得られる教訓は、投資家がアクティブ運用を全面的に避けるべきだということではありません。むしろ、透明性が高く比較可能なデータに基づいた投資家自身の選択こそが、画一的な運用ルールや不透明な意思決定よりも優れた成果をもたらすということです。
このような成功例がある一方で、米国の投資家が入手可能な情報に対して合理的に行動していることもうかがえます。低コストの戦略に対する選好は強く、かつ一段と高まっており、その結果、平均リターンの向上や、競合ファンドを上回るパフォーマンスを達成する可能性が高まっています。
4. 低コストの自動化されたソリューションが、退職後のための資産形成に貢献している
退職後のための資産形成においても、同様の変化を示す多くのデータがあります。たとえば、ターゲット・デート・ファンド(TDF)※のような低コストの自動化された運用手法が主流となっています。
※ ターゲット・デート・ファンド(TDF):予定された退職年に向けて株式・債券などの資産配分を定められた比率で順次変更していく長期投資を前提とするアセット・アロケーション・ファンド。職場の確定拠出年金(401(k))などのデフォルト商品として広く採用されている。
TDF戦略は、米国の退職後のための資産形成市場において、最大かつ最も重要な役割を果たすセグメントの一つへと成長しました。2025年に資産残高は4兆8000億ドルに達し、前年比で20.3%増、過去10年間の年率換算で11.9%の伸びを示しました。TDFは、コストの低さ、簡便さ、長期投資家のニーズとの適合性から、職場の確定拠出年金制度において最も一般的な選択肢の一つとして(加入者が自ら選択しなかった場合の)デフォルト商品に設定されています。
この分野でも、市場は低コストの選択肢へと明確にシフトしています。当社の調査によると、TDFの資産加重平均経費率は2025年に0.27%まで低下しており、これは投資家が10年前に支払っていた資産加重平均経費率の約半分の水準です。
この成長の規模は、単に市場が好調だったことだけでは説明できません。当社の調査が示すように、これらの運用戦略を利用した投資家は、良好な成果を上げています。モーニングスターの年次調査『Mind the Gap』では、ファンドの運用実績(期間リターン)と、投資家の実際の売買タイミングや金額を反映した「投資家が実際に得た平均的なリターン」との間のギャップ(差)を測定しています。多くの点で、これは投資家が実際に経験するリターンを、より正確に表す指標と言えます。
その調査において、最も有望な結果を示しているのは、「アロケーション・ファンド」のカテゴリです。このカテゴリの資産の約70%を占めているのが、TDFです。
2024年12月31日までの10年間で、アロケーション・ファンドの投資家は、ファンドのトータル・リターンの約97%を実際に獲得しました。ファンドのトータル・リターンが6.5%であったのに対し、投資家の実際の運用成績(金額加重リターン)は6.3%でした。これは、すべてのファンドカテゴリの投資家のリターンと比較して極めて良好な結果です。全体での投資家の金額加重リターンをみると、本来得られたはずのリターンの約85%しか享受できませんでした。投資家は、売買タイミングを誤ったために、年率で約1.2パーセントポイントのリターンを逃していました。
TDFがこのような成果を上げている背景には、本小委員会の政策議論に直接関わる3つの要因があります。第一に、コストが低いことです。第二に、分散投資を通じてリスクを抑制するよう設計されていることです。第三に、リバランス(資産配分の調整)やポートフォリオ構築といった重要な業務をファンドの運用に組み込んで自動化していることです。さらに、これらのファンドは一般的に確定拠出年金制度(401(k)プラン)で保有されており、自動拠出によって購入されるため、売買タイミングを捉えようとする誘惑が排除されています。このような成果は偶捉えようではありません。意図的な政策選択――退職金制度への自動加入の拡大、TDFの「適格デフォルト投資選択肢(QDIA)」への指定、時間の経過とともにこれらの商品のコストを劇的に引き下げた継続的な手数料競争――の成果なのです。しくみ、コスト、そして利用しやすさが適切に組み合わさることで、一般投資家は機関投資家に後れをとることなく、むしろ大きな成果を上げることができるのです。
また、本小委員会の直接の管轄範囲からは外れますが、多くのアメリカ人が初めて投資家となる過程に関連する重要な動きについても注目に値します。集団投資信託(CIT: Collective Investment Trusts)は、退職後のための資金を積み立てる人々に低コストの投資機会を提供する手段として、大きな存在感を示し、拡大しています。モーニングスターの「ターゲット・デート・ファンド・ランドスケープ」レポートによると、2025年末時点で、CITはTDFの資産総額の54%を占めるに至っています。
401(k)プランにおいて、コストの高い投資信託からコストの低いCITへと移行する動きは、ファンド市場全体で起きた動きと同じく、「コスト効率を求める投資家主導の需要」を反映しています。
本節で述べた進展は確かなものですが、米国の退職年金制度には依然として改善の余地があります。改善点のいくつかは、本小委員会の直接の検討範囲を超える、より広範な退職年金政策に関わるものもありますが、それらはいずれも投資家の成果に直接影響を及ぼします。ここでそれらの課題を提起するのは、それらがコスト、情報開示、利用しやすさに関する本小委員会の取り組みを補完するものであり、以下の事項を推進する法制化の取り組みを本委員会が支持し、後押しすることを期待するからです。
第一に、制度加入の機会をより広く普及させる必要があります。数百万人のアメリカの労働者、特に中小規企業に勤務する人々は、雇用主が提供する年金プランを利用できずにいます。利用機会と加入率を拡大することで、前述のような恩恵をより多くのアメリカ人労働者が享受できるようになるでしょう。
第二に、規模の経済によるメリットは小規模な年金プランにも及ぶべきです。大規模な共同運用型プランであれば、少額の加入者でも機関投資家並みの価格設定や専門家による運用サービスを利用できますが、小規模なプランでは、たいてい大型のプランに比べてコストが高く、低コストの選択肢も少ない傾向があります。
第三に、適切な設計に基づく最低拠出額の設定や、早期引き出しに対する合理的な制限など、妥当な保護策(ガードレール)を導入すべきです。これにより、アメリカの加入者が、投資を継続することで得られる長期的な複利効果を、より確実に享受できるようになります。
5. 業界の対応:低コストで税効率を志向するイノベーションの継続
上場投資信託(ETF)は、現代の投資において最も重要な進展の一つであり、一世代前には極めて限定的だった低コストで、税効率に優れた、透明性の高い投資戦略へのアクセスを可能にしました。また、ETFの存在と成功は、ファンド業界により広範で積極的なコスト競争を促す要因となりました。この動きは、あらゆる種類のファンドに投資するすべての投資家に直接恩恵をもたらしています。
モーニングスターは、ETFの台頭を初期段階から注視してきましたが、ETFが成功した要因は単に優れた商品アイデアがあったからというだけではありません。それ以上に、競争を許容し、最終的には競争を促進した規制環境こそが成功の要因でした。数十年にわたる規制当局の対応の集大成として、2019年にSEC(米国証券取引委員会)は規則6c-11を採択しました。これにより、300件以上に及ぶ個別の適用除外命令が混在する状況が、単一の標準化された規制枠組みへと移行しました。この規制の基盤に加え、資産運用会社間の競争激化やフィーベースのアドバイス業務への移行が相まって、手数料の大幅な引き下げにつながりました。
こうした規制環境の変化に対する市場の反応は目覚ましいものでした。2025年には、アクティブ型ETFに約4,750億ドルの資金が流入し、これはETF全体の新規資金流入額の約3分の1を占めました。同年に新規設定されたアクティブ型ETFは約1,000本に上ります。過去5年間で、アクティブ型ETFへの資金流入は3,750億ドルでしたが、一方でアクティブ型投資信託は約1兆8000億ドルの資金流出となりました。モーニングスターによるアクティブ型ETFに関する調査では、従来の投資信託と比較して、ETFという仕組みは多くの場合、低コスト、高い税効率、透明性の向上をもたらしています。これらは、戦略や実際の運用次第で、投資家の成果にプラスの影響を与え得る要因となり得ます。パッシブ型ETFの普及という革命を牽引したのと同じ原理が、現在アクティブ運用をも変えつつあります。市場の進化に伴い、ETFを成功に導いた透明性やコストといった基準が維持される限りにおいて、この潮流は奨励すべきものです。
6. これらの成果を維持・拡大するために議会ができること
本小委員会が検討すべき課題は、投資家の成功を支える前述の環境をいかに維持・向上させるかということです。これまで述べた事例は、まさにアメリカにおける成功の好例でしょう。しかし、それは自然に続くものではありません。この成功を生み出した要因、すなわち基準の向上、手数料競争、情報開示の透明性、データの入手しやすさ、そして公平な規制環境などを保つには、積極的な関与が必要です。もし放置すれば、これらの要因は現在ある、または徐々に強まる圧力によって、ひとつひとつが損なわれる恐れがあります。
モーニングスターは、本小委員会に対し、以下の5つの提言を行います。
ファンドに関する充実した、かつ頻繁な情報開示を持続する。
投資家や独立系調査機関が、一般投資家に情報を提供するための分析を行うには、標準化され、比較可能で、かつ頻繁に開示されるファンド情報が不可欠です。こうしたデータが利用可能であれば、投資家が十分な情報に基づいた判断を行うのに役立つ包括的な調査・分析を提供できます。しかし、開示頻度の低下、比較可能性の低下、あるいは手数料の透明性に関する要件の緩和などによって情報の質が損なわれると、投資家に情報を提供する私たちの能力も損なわれます。モーニングスターは、「INVEST法」に含まれる「投資家のための開示改善法(Improving Disclosure for Investors Act)」の規定など、投資家が必要とする情報を、投資家がより利用しやすい形で確実に届けるための立法を支持します。投資信託関連書類の電子交付は、より低コストで投資家の情報アクセスを拡大する、簡便で実用的な手段です。
低コスト商品が公平な競争条件の下で競い合える環境を維持する。
ETF市場は、この仕組みが有効であることを示す最も明確な実例です。モーニングスターは、一般投資家が利用できる投資コスト情報の透明性や比較可能性を低下させるような法案や規制案については、本小委員会が慎重に検討されることを求めます。手数料の透明性は、投資家の選択において基盤となるものです。その透明性が、たとえわずかでも損なわれれば、最終的にそのコストを負担するのは投資家なのです。
ファンドの保有銘柄情報に投資家がアクセスできる環境を維持・強化する。
ファンドの保有銘柄開示頻度に関するモーニングスターの調査によると、月次で開示を行うファンドは、カテゴリ別・年別の調査結果の約51.7%で四半期ごとに開示を行う同種のファンドを上回る運用実績を示しています。この調査結果は、月次での保有銘柄情報の開示を後退させるのではなく、維持すべきであることを強く裏付けています。機関投資家は、例えばセパレート・アカウントや私募、その他のチャネルを通じて、個人投資家には得られない情報を入手できます。「Form N-PORT」に基づく月次保有銘柄情報の一般公開は、こうした情報の非対称を部分的に相殺する数少ない仕組みの一つです。その公開を縮小すれば、情報格差はさらに拡大することになります。
開示縮小の議論には一貫した傾向が見られます。ファンドの開示頻度や比較可能性を低下させる提案は、多くの場合、「投資家の混乱を軽減する」という名目で提示されます。しかし、データが示すのは、投資家がこの情報を活用し、恩恵を受けているという事実です。議会は、ファンドの保有銘柄の開示頻度や比較可能性を低下させるいかなる提案についても、開示が投資家に提供する実証済みの利点と照らし合わせて判断すべきです。透明性の向上は一般的に投資家の意思決定の改善につながりますが、一方で透明性の低下は、商品間の比較可能性を制限し、投資家によるコスト分析を困難にする恐れがあります。
低コストの運用商品のイノベーションを支援する。
アクティブ型ETFの台頭は、この潮流の新たな展開を象徴しています。商品の形態は進化しますが、コストと透明性が重要であるという原則は変わりません。連邦議会は、低コスト商品の開発に再び障壁を設けるような措置に反対し、アメリカの一般投資家にとって利便性を提供してきたETFの税制上の取り扱いを維持することで、この環境を支援することができます。
金融商品の状況が変化する中、引き続き警戒を怠らないことが重要です。
個人投資家が利用可能な商品形態で、流動性の低い資産やオルタナティブ戦略を用いた運用商品の提供が盛んになっており、細心の注意を払う必要があります。例えば、インターバル・ファンドやテンダーオファー・ファンドなどです。ETFが一般投資家にとっての成功事例となった要因であるコストの透明性、日々の流動性、標準化された情報開示などの原則は、こうした新しい商品には必ずしも備わっているわけではありません。規制当局および本小委員会は、金融商品のイノベーションが進展する環境で、これらの基準を維持することを引き続き優先すべきです。
極めて重要なのは、コストの低下、透明性の向上、標準化され比較可能な情報開示など、これまで述べてきた潮流が、公開市場の枠にとどまるべきではないということです。これらの傾向の多くは、非公開市場においても同様に展開し得るものであり、またそうあるべきです。非流動性資産やオルタナティブ戦略が最終的に個人投資家層に普及するか否かに関わらず、これらの商品に投資するすべての投資家、つまり最大の機関投資家から小口の個人貯蓄者まで、公開市場の投資家に還元されてきたものと同等の恩恵を受ける権利があります。そのためには「比較可能性」が不可欠です。公開市場と非公開市場の間で基礎となる開示情報が一貫し、比較可能でなければ、投資家は両市場の商品についてコスト、パフォーマンス、リスクを適切に比較検討することはできません。公開市場の基準であるコストの透明性や比較可能な情報開示の原則を非公開市場にも拡大することで、投資家がどこに投資することを選択しても、こうした恩恵を確実に享受できるような環境になるでしょう。
結論
データは明確な事実を示しています。過去20年間で、米国の投資家は数十億ドルもファンドに支払う費用を節約し、かつてないほど多岐にわたる低コストの運用商品を利用できるようになり、一世代前には考えられなかったような成果を上げてきました。こうした進歩は、意図的な政策選択の賜物です。
しかし、この成功物語はまだ完結していません。モーニングスターの調査によると、米国の投資家の半数以上を占めるおよそ54%が、依然として現在の市場環境に対して不安や懸念を抱いています。本小委員会が推進する、コストの低減、情報開示の改善、より利便性の高い商品の提供といった政策課題は、投資家が実現できる成果と、それを達成できるという自信との間のギャップを埋める一助となるでしょう。
モーニングスターの使命は、投資家の成功を支援することです。私たちは、公開市場と非公開市場において投資家が十分な情報に基づいた投資判断を下すために必要なデータ、洞察、レーティングを提供することで、この使命を果たしています。モーニングスターと本小委員会は、すべてのアメリカの投資家が、十分な情報に基づいて判断を下し、経済的な成功を収めるために必要な情報や機会を享受できる投資環境を実現するという、極めて重要な目標を共有しています。◇
※ 本稿はモーニングスターの「Morningstar to Congress: Investor Success Hinges on Lower Costs, Greater Transparency」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。

