【第4四半期の米国株見通し】綱渡りのような市場環境で、投資家が安全に歩むには?

株式は割高に向かい、世界的経済は減速、加熱気味のAIブーム。変化する状況に適した長期的に価値あるポートフォリオのポジションは?

The Markets Are Walking a Tightrope. How Can Investors Find Their Footing?
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スーザン・ズビンスキー: こんにちは、モーニングスターの「2025年第4四半期米国株式市場見通し」ウェビナーへようこそ。モーニングスターのインベストメント・スペシャリストで、ポッドキャスト「モーニング・フィルター」の共同ホストを務めているスーザン・ズビンスキーです。

今年も最終四半期を迎えました。株式は最高値を更新しています。AI投資は健在なだけでなく、市場の上昇に油を注いでいます。投資家はマクロ経済学的な市場の逆風やインフレ圧力に無関心なようです。果たしてこの幸せな状況は続くのでしょうか?

モーニングスターの米国担当チーフ・マーケット・ストラテジストのデイブ・セケラと米国担当チーフ・エコノミストのプレストン・コールドウェルが、第4四半期の株式市場と経済の見通しを語ります。そして今回は、モーニングスターのアジア株式ストラテジスト、カイ・ワンも加わっているのでアジア市場についての解説もお届けします。

それでは始めましょう。デイブ、どうぞ。

デビッド・セケラ: 第4四半期の見通しへようこそ。いつものように、米国株式市場のバリュエーションを簡単に概観し、セクター・バリュエーションと、当社のエクイティ・アナリスト・チームによるトップ・ピックをいくつかご紹介します。エコノミック・モート別にバリュエーションを検討し、超大型株についてお話しします。その後、プレストンが米国経済の見通しをお話しします。

さらにスーザンの紹介の通り、今日は香港から特別ゲストのカイ・ワンが来て、アジア市場の概況を話してくれます。では、さっそく始めましょう。

さて、9月30日の第3四半期末時点で、モーニングスターが推計した米国株式市場の株価/適正価値比率は1.03でした。つまり、適正価値に対して3%のプレミアム(割高)がついている状態です。

株式市場のバリュエーションについて、私たちは他の多くのマーケット・ストラテジストとはかなり異なる見方をしています。多くのストラテジストは、トップダウンの視点で分析を行います。たとえば、S&P500の年間利益を予測するために何らかの計算式やアルゴリズムを用い、それに将来の倍率をかけて、市場が8~10%割安だという風に主張を展開します。私には、それは真の評価というよりも、目標に辻褄を合わせた数字のように感じられます。

我々は世界で1,600社以上の企業を調査対象としており、そのうち700社以上が米国市場で取引されている株式です。私たちは、これら700社以上の企業の時価総額の合計を、当社の株式アナリスト・チームが算出したそれぞれの企業の本源的価値の合計で割ることで、市場全体の評価を導き出します。この方法は、まさにボトムアップの手法に焦点を当てた市場評価の分析だと考えています。

「市場が割高か割安か」を語る際には、我々は企業の本源的価値と比較しています。この本源的価値は、当社の割引キャッシュフローモデルを用いた株主資本コストによって決定されます。

もし、市場が適正価値で取引されているとすれば、長期投資家にとっては、時間経過とともに市場が株主資本コストとほぼ同等の(配当利回りを差し引いた)利回りで上昇すると予想されます。一方で、市場が割安であれば、適正価値に対してディスカウントが生じます。その場合、時間が経過とともに市場が私たちの評価に追いつくことで、ディスカウントが解消されていくと考えられます。

今回のように3%のプレミアムがある場合は、今後数年間の市場のリターンは、株主資本コストよりもやや低くなると予想されます。

この評価をさらに整理して、カテゴリー別や時価総額別に見てみましょう。現時点では、カテゴリー別に見ると、バリュー株はまだ割安で、適正価値に対して3%のディスカウントで取引されています。

コア株式は4%のプレミアム(割高)で取引されていおり、これは適正価値の範囲内で上限に近い水準です。通常我々は、プラス・マイナス5%を適正価値の範囲と見なしています。

そしてグロース株式は12%のプレミアムで取引されています。この12%のプレミアムという水準は、2010年以降で見ると、グロース株がこれほどのプレミアム(かそれ以上のプレミアム)で取引されたのは、全体のわずか5%の期間しかありません。つまり、めったにない割高な領域に入っていると言えます。

時価総額別に見ると、大型株も4%のプレミアムで、適正価値の範囲内で上限にあります。中型株は、ほぼ適正価値に近い水準で取引されています。そして依然として、小型株は適正価値に対して16%のディスカウントで、まだ割安な状態が続いています。

では、我々の見る適正価値は、これまでどのように機能してきたのでしょうか?現在の3%のプレミアムという水準は、前例がないわけではありません。過去にも、この水準に達したことがあり、市場がもっと高いプレミアムで取引されたことも何度かありました。ただ、これほどのプレミアムがつくのは、かなり稀なことなのですが、今年の初めも同じくらいのプレミアムがついたことがありました。

もちろん、それはDeepSeekが話題になって市場が動揺する前のことで、同時期にトランプ政権による関税や貿易交渉が始まる前でした。こうした事象の影響で、4月初旬には株価/適正価値と比較すると、市場は17%の割安水準まで下落しました。その時点で私たちは、「株式をオーバーウェイト」という推奨に切り替えました。

その後、市場が適正価値に近づくにつれて、「マーケットウェイト(中立)」に戻し、現在もそのスタンスを維持しています。ですから、現時点では若干割高ではありますが、今は市場でどんな取引をするか物色するよりも、適正なポジションを保つことの方が重要だと考えています。

今四半期見通しのタイトルは「No Margin for Error (過ちは犯せない)」です。現在の市場を見て、今後1年ほどの見通しを考えると、市場はまさに綱渡りのような状況にあると思います。

一方では、AI関連の設備投資ブームと金融緩和が進んでいます。ハイパースケーラーやデータセンター、インフラ、そしてそれらの将来の成長を支えるエネルギー分野において、数十億、数百億ドル規模の投資が行われています。しかし、それは経済全体の成長をわずかに上回っているに過ぎないものです。

もう一方では、マクロ経済的には依然として多くの逆風が吹いています。後ほどプレストンが今後数四半期、そして数年先の経済も遠しについて意見を述べると思いますが、もっと近い将来、今年後半から来年にかけてインフレ圧力がまだ高まる可能性もあります。つまり、この2つの異なる力の間で、市場は非常に繊細なバランスを取っている状態だと言えます。

人工知能(AI)に関しては、まだ成長が加速している段階にあります。適正価値について見ると、第3四半期を通じて調査対象としているAI関連企業の多くについて、我々は引き続き適正価値推計値を引き揚げてきました。市場の上昇ペースの方が、当社のバリュエーション引き上げよりもやや速かった局面もありましたが、Microsoft MSFTを除くほとんどのAI関連株式は、少なくとも適正価値の水準に達しており、市場で完全に評価が織り込まれているか、場合によっては割高になっていることに留意すべきでしょう。

以前にもお話ししたように、そして今もさらにその傾向が強くなっていますが、市場全体の約40%が、たった10銘柄に集中しています。ですから、たとえ広範な企業に分散投資をしている様々な指数、例えばモーニングスター米国株式指数のような指数に連動する商品に投資していたとしても、その上位10銘柄に大きく偏ったポートフォリオになってしまいます。それほどに、上位企業の時価総額が市場に占める割合は大きいのです。

そしてもちろん、現在も続いている貿易交渉と関税の問題があります。私の考えでは、これはまだ結果を読むことができません。今後数週間のうちに、メキシコとの交渉がどうなるのかが見えてくるでしょうし、11月には中国との交渉の結果も明らかになるはずです。これらの交渉の展開次第では、市場にとってプラスにもマイナスにも働く可能性があります。

第3四半期のリターンを見ると、非常に好調で8.1%の上昇でした。この上昇を牽引したのは、コアカテゴリーの企業です。

そのコア・カテゴリの中でも、Apple AAPL株式が大きく影響しています。Appleは年初時点では2つ星(やや割高)のレーティングでしたが、今年前半の6ヵ月間、市場全体の足を引っ張る存在でした。しかし、3つ星(中立)の領域に達すると買いが入り、再び2つ星の評価に戻るまで株価は上昇しました。

Alphabet GOOGLもまた、第3四半期に大勝したもう一つのコア株式で、この四半期だけで38%上昇したと記憶しています。この2つの企業だけで、コア・カテゴリーのこの四半期のリターンの50%以上を占めているというのは、注目すべきことです。

グロース株式を見ると、第3四半期のリターンのうち、約4分の1はNVIDIA NVDA単体によるものでした。さらに、Tesla TSLA、Broadcom AVGO、Microsoftを加えると、この4社だけででリターンの55%以上を占めています

一方で、バリュー株は、より広く分散された企業群銘柄によって構成されており、特定の企業がリターンを大きく左右するような偏りは見られませんでした。

時価総額別で見ると、大型株が最も上昇しました。ただし、大型株では5つの企業の株式がリターンの70%以上を占めていました。これらの株式の大半は、現時点ではほぼ評価が織り込まれていると考えています。

そして小型株は健闘するかに見えました。実際、8月は小型株が比較的良いパフォーマンスを見せました。しかし、9月に入ってAI関連の様々な動きが発表されると、誰もがそれらの株式の評価を引き上げ、大型株カテゴリーが再び上昇の主役になりました。

今年これまでのグロース、バリュー、コアのそれぞれの動きを振り返ると、その集中度合いについて、2、3の異なるコメントがあります。大型、中型、小型で見ても同じことが言えます。むしろ注目すべきは、市場がここまで動いたこと、非常に変動の激しい年になったという点です。年初は若干のプレミアムでスタートしましたが、その後に貿易・関税交渉の問題があり、ディープ・シークが話題になりました。これは、投資家にとって、こうした下落に対する備えが必要だと意識するには良い指標だと思います。AIは依然として絶好調に見えますし、今後の成長も大いに期待されています。しかし、もしAIに何らかの問題が生じる懸念が湧けば、バリュエーションは再び大きく揺さぶられるかもしれません。そしてもちろん、市場の回復がどれだけ早かったかも覚えておきたいことです。

若干のプレミアムの話に戻れば、第3四半期のセクター別リターンを見ると通信セクターがトップでした。ただし、これはAlphabetのリターンが牽引したものです。我々は同社をかなり以前から非常に前向きに評価しており、少し前までは5つ星(非常に割安)、今年に入ってからは4つ星(割安)のレーティングを付与していました。先ごろ、ようやく市場も我々の評価に同意したようで、前四半期に38%上昇したことで、現在は3つ星(中立)評価の領域にあります。テクノロジーセクターに目を向けると、Apple、NVIDIA、Broadcom、この3企業だけで四半期のセクター上昇の6割近くを占めています

景気循環型消費財・サービスセクターでは、好リターンのほぼすべてがTeslaに依るものであることを指摘する必要があります。Teslaはこの四半期に40%以上上昇しましたが、同セクターのリターンの75%がこの1銘柄によるものでした。同社もまた星つ1でしたが、今では電気自動車やロボットタクシーの企業ではなく、少なくとも市場ではAI関連企業として評価されています。

不振だったセクターでは、不動産や金融セクターがあります。これらのセクターは金融政策緩和による恩恵が期待されますが、市場のバリュエーションを見ると両極に分かれており、不動産は割安、金融は期待が織り込まれてすでに割高になっています。ヘルスケアセクターは、様々な規制強化や診療報酬率に対する議論もあり、診療報酬は引き下げられる可能性があります。このセクターには多くの圧力がかかっていると言えます。

そして景気非連動型消費財・サービスはかなり広範な企業を含みますが、前四半期にマイナスだった唯一のセクターです。同セクターの時価総額トップ10を占める企業を見ると、そのうちの7社が下落しました。特に、同セクターの超大型企業であるWalmart WMTとCostco COSTの2社は過大評価されており、我々の評価ではおそらく1つ星、あるいはそこまで行かなくても2つ星の水準で、私たちの目にはかなり割高に見えます。年初来のリターンについて、もう少し言いたいことがありますが、プレストンとカイのために十分な時間を確保したいので、先に進みます。

アトリビューション分析を簡単に見ると、今年前半に比べて第3四半期にはリターンに影響を与える企業の幅が広がっています。2025年上期は上位10社が市場リターンの74%を占めていたのに対し、第3四半期は53%を占占めているという結果になりました。また、この上位10社のうち7社が、何らかの形でAIブーム関連企業であることも付け加えておきます。市場の動きは、AIに大きく依存していたと言えます。トップ10に入った唯一のバリュー株式はJP Morgan JPMでした。そして、トップ10の中には、年初に4つ星(割安)と評価されていたものもありましたが、現在も4つ星の評価を維持して割安と見られるのはMicrosoftだけです。AI関連大型株の中で、現在も投資家にとって多くの価値があると思われる数少ない企業の一つです。

年初からここまでで大きく下落した株式を見回すと、特筆すべき企業は無いと言えます。UnitedHealthcare UNHはちろん、診療報酬の問題や費用超過によって大きな圧力を受けていましたが、市場の足を引っ張った1社とまでは言えません。ただし、人工知能によってビジネスモデルが破壊されると市場が危惧している企業が多数あり、その懸念がひとつのテーマであると言えます。たとえば、Salesforce CRM、Accenture ACN、Fiserv FI、Adobe ADBE、Trade Desk TTD、ServiceNow NOWといった企業は、現時点ではすべて、こうした懸念から売り込まれていると見られます。

これらの不振企業をレーティング別に見ると、年初は1つ星(非常に割高)や2つ星(割高)の割高評価だった株式が売られた結果、その評価帯の企業はほぼ消えて、4つ星(割安)評価の企業が多くなっています。3つ星(中立)もいくつかありますが、Fiservは5つ星(非常に割安)の領域に入りつつあります。市場全体のバリュエーションと比較すると、バリュー株はまだかなり割安で取引されています。市場全体でみると現在3%のディスカウントですから、必ずしも大きな安全余地とは言えませんが、それでも相対的には依然として魅力があります。また、小型株は2010年以来の割安な水準に近づいています。したがって、小型株は、絶対評価でも相対評価でも割安であると考えています。

さてここで、市場全体でみると、割安株を見つけるのはますます難しくなっています。株式市場全体では、4つ星や5つ星の領域にある株式は、歴史的に非常に低い割合になっています。ただ、我々が割安と見るセクターでは、一定の割合で割安な企業があります。

今期加えたチャートは、セクターごとの時価総額規模を、市場全体と比較したツリーマップです。例えば、テクノロジーはもちろん市場全体で時価総額が圧倒的に大きく、現在はほぼ適正価値の水準で取引されています。注目すべきは、ほとんど割安(チャートでは青)が無いことです。長期的な本源的評価から見て、かなり余裕のある安全域で取引されていると思われる割安セクターは非常に少なく、割高になりすぎていると思われる(チャートではオレンジ)領域に近いセクターが多いということを指摘しておきます。

セクター・バリュエーションの観点では、不動産セクターが適正価値から見て最も割安な水準で取引されています。このセクターは、金融緩和や長期金利の低下に伴って、時間とともに上昇すると我々は考えています。不動産についての私個人の見解としては、都市部のオフィス関連の投資はリスクとリターンのバランスが好ましくないと考えるので、今後も近づくつもりはありません。ただし、特に景気非連動的な性格のテナントを持つ REIT には、確かな価値があると見ています。

エネルギーセクターについては、この四半期に我々は原油の長期・中期の予想価格を引き上げました。WTI原油価格の見通しを、従来の1バレルあたり55ドルから60ドルに、ブレント原油の予測を60ドルから65ドルに引き上げました。エネルギーセクターにはさまざまな投資機会があると見ており、ポートフォリオのヘッジ手段としても有効だと思います。もしインフレが長期化すれば、原油価格もそれに追随する可能性が高く、地政学的なリスクが新たに生じた場合にも、ポートフォリオのヘッジとして機能すると考えています。

ヘルスケアセクターは、我々が現在割安だと感じているもうひとつのセクターです。私が今日選好するのは、投資家にとって最も割安感があると思われる医療機器、医療技術、医療消耗品関連といった分野の企業です。

通信セクターについては、現在ほぼ適正価値の水準まで上昇していることを指摘しておきます。過去の見通しを振り返ると、通信セクターは2023年には適正価値に対して40%以上の割安水準で、2024年初頭でも最も割安なセクターの一つでした。2025年初頭になっても、我々はこのセクターを割安であると評価していました。このセクターの代表的な企業としては、Meta METAやAlphabet が挙げられます。これらは以前から弊社では著しく過小評価されていると指摘していた企業ですが、現在その評価が市場にも認められてきています。

残念ながら、投資家にとってこれらの株式はすでに上昇し終えたと我々は見ており、現時点では適正価値に達しています。しかし、ここ数年にわたる大幅なアウトパフォームについては、長期的な本源的価値を信じて分析を続けてきた当社の通信セクター担当アナリストたちに、敬意を表し、心から祝福したいと思います。

他のセクターに目を向けると、公益セクターはかなり割高に評価されていると我々は見ています。確かに、AIの継続的な成長に伴い電力需要は大幅に増加すると思いますが、我々のチームはすでにそれをモデルに組み込んでいます。公益は金利の低下からも恩恵を受けますが、我々は既にそれも織り込んでいます。それでもなお、現時点では上昇しすぎていると考えています。公益セクター全体としては、投資機会は非常に限られており、全体が過大評価されていると考えています。

金融サービスセクターも同様に、かなり過大評価されています。確かに、金利低下や金融緩和の恩恵を受けると思いますが、それもすでに株価に織り込まれていると私たちは考えています。また、市場は今後の債務不履行や損失の正常化、すなわち顕在化について十分に懸念していないため、これらの株式を過大評価していると思います。

消費財・サービスについて景気循環型(シクリカル)と景気非連動型(ディフェンシブ)の両方に触れておきましょう。この2つのセクターのバリュエーションを見ると、セクター中の企業分布はかなり「バーベル型(両極に偏っている)」になっています。たとえば、景気循環型セクターのバリュエーションが高すぎるのは、時価総額第2位のTeslaが、当社の当社の評価では上昇しすぎているためです。同様に景気非連動型セクターでは、Walmart、P&GPG、Costocoといった株式が我々から見ると過度にアウトパフォームしており、長期的な本質的価値を大きく上回って取引されていると考えています。しかし、これらの株式以外を見れば、いずれのセクターにも多くの価値を見出せるでしょう。これらのセクターは、セクター全体への投資というよりも、個別企業の株式を厳選すべきセクターであると言えます。

すべてのセクターについて詳しくは触れませんが、我々の各セクター担当責任者が選定した新たな「ベスト・ピック(注目株式)」が多数あるので、Morningstar.com、またはMorningstarのプラットフォームで、ご自身で調べたり、これらの株式に関する当社の分析をご覧いただければと思います。

最後に、企業の競争力を評価するエコノミック・モート別にバリュエーションを見て、簡単にまとめたいと思います。エコノミック・モート別に見ても、特に割安な銘柄は見当たりません。そしてエコノミック・モートの評価がもっとも高い「広い(Wide)」評価を得ている株式は、ほぼ適正価値に近い水準で取引されていることは注目に値します。相対的な価値の観点から見ると、そうした銘柄が私にとって最も魅力的だと思います。長期的で持続可能な競争優位性を持つ「広い(Wide)」評価の株式は、株価の下降局面においても、他の株式よりも下落幅が小さい可能性があるからです。

モーニングスターのサイトにあるツールを使えば、大型株、中型株、小型株といった規模別に、さまざまな「広い(Wide)」モート・レーティングを付与されている株式を探すことができます。(その上で、不確実性レーティングが、「低い」または「中程度」の株式のうち、最も割安な銘柄をビデオ内でランキングしています。ただし、小型株では、モート・レーティングが「広い(Wide)」企業が少ないので、「狭い(narrow)」の企業も加えています)。

それでは、ここからはプレストンにバトンを渡して、米国経済の見通しをについて聞きましょう。

プレストン・コールドウェル: デーブ、ありがとう。まず、いくつかの大きなトピックについてお話しします。最初に申し上げたいのは、いわゆる「関税ショック」は、米国経済全体に波及しはじめたばかりの段階にあるということです。そのため、今年下半期には、第2四半期より企業業績への影響は大きくなる可能性があります。消費者物価への転嫁もまだ緩やかですから、これも今後変化する可能性が高いでしょう。

次に、「AI」が経済の需要サイドにおける主要な、そして最大の推進力となっている点です。AIは、株式市場の資産効果を通じて、設備投資や消費を促進しています。この点についてもう少し文脈を理解するために、データに基づいて言うならば、テクノロジーが経済に与える影響は、一見すると非常に大きく見えるかもしれませんが、過去10年間のトレンドから大きくかけ離れているわけではありません。

では、さっそく見ていきましょう。2025年と2026年のGDP成長率は平均1.7%と予測されており、2022年から24年の平均2.8%を1%ポイント強下回ると見られます。すでに今年前半に成長率は前年比2%まで減速しましたが、これは関税が主因ではなく、他の要因によるものと考えています。これらの要因が今後も影響を及ぼす上に、関税による影響が遅延効果で加われば、2026年に成長は底を打つと予測しています。その後は関税政策による影響が薄れ、金融緩和が進むことでGDP成長率は再び加速すると思います。

インフレ率は、関税問題の影響が遅れて顕在化するため、2026年には再び3%まで上昇すると予想しています。しかしその後は、GDP成長率の鈍化によって経済に需要の緩みが蓄積され、それが物価下押し圧力となるため、インフレ率は再び低下に向かうと考えています。

政策金利(FFレート)については、今後175ベーシスポイントの引き下げを見込んでおり、目標レンジは現在の4.0%~4.25%が、2027年末までに2.25%~2.5%まで引き下げられると予想しています。これは我々の長期的な見通しです。短期的には、市場が織り込んでいる金利見通しとほぼ一致していますが、2027年末には市場予想よりも75ベーシスポイント低い水準になると見ています。これは、やや高めの失業率と経済成長の鈍化、そして2027年に再びインフレ率が低下するという見通しに基づいており、その年に追加利下げが実施されると考えているためです。

高金利が経済に与える影響は依然として続いており、特に住宅市場の減速が再燃しています。世帯収入に占める住宅ローンの割合(中央値)は、パンデミック前の18%から現在は28%にまで上昇しています。

従って、健全な経済成長を継続させるには、金利の引き下げが必要でしょう。我々のFFレートの見通しと同様に、10年物米国債利回りは現在の4.1%から、2028年には3.25%まで低下すると予想しています。長期的な見通しです。

現在の平均表面関税率は約16.3%で、これは発表されたすべての関税引き上げを加味し、2024年の輸入量に基づいて加重平均したものです。我々は、この平均関税率が2025年の年末までに17.3%に上昇すると予想しています。半導体や医薬品に対する新たな「232条」関税が導入される可能性をある程度織り込んでいます。これは多少遅れる可能性がありますが、いずれ導入されると見ています。

その後は、消費者物価の上昇による反発で、関税の例外措置の増加、あるいは政権交代などを背景に、関税率は次第に低下していくと予想しています。また近く下される最高裁の判決も影響を与えるでしょうが、仮に最高裁が、トランプ政権がこれまですべての国別関税に用いてきたIEEPA(国際緊急経済権限法)による関税権限を無効と判断したとしても、他にも多くの使用可能な法的権限が存在するため、思われているほど大きな影響はないでしょう。

この点についての詳細なシナリオ分析については、最新の「米国経済見通し」をご覧ください。

さて、ここで「表面関税率」と「実効関税率」を区別しておきたいと思います。表面関税率は、発表された関税率を2024年の輸入量に単純に適用したものです。一方、実効関税率は、関税収入を総輸入額で割ったもので、実際に支払われた関税の負担を示します。

第2四半期には、この2つの間に非常に大きな隔たりが見られました。その理由の一つは、輸送中の貨物に対する免除措置が4月末から5月初旬にかけて継続していたためです。これらの貨物には関税が課されず、また、5月中は何らかの理由で関税率変更への対応が遅れていたようです。しかし最終的には、6月には実効関税率が表面関税率にかなり近づいてきました。

実際、関税データ(速報値)によると、第3四半期の関税収入は第2四半期比でさらに30%増加しています。つまり、実際に支払われた関税負担は、第3四半期に大幅に増加したことになります。これは、4月にピークを迎えた表面関税率だけを見ていると見落とされがちな事実で、実効関税負担は現在も増加傾向にあることを示しています。

また、第2四半期に企業収益への関税の影響が比較的小さかった要因のひとつとして、企業がまだ関税導入前の在庫を販売していたことが挙げられます。今後は関税導入後の在庫に切り替わっていくため、売上原価に対する上昇圧力が強まると思います。

これらの要因、つまり関税負担の増加、関税前在庫の減少により、今年下半期の企業収益への打撃はより大きくなると予想されます。その結果、関税コストの消費者物価への転嫁が進むと考えられます。現時点では価格への転嫁はまだ非常に限定的です。たとえば関税を含む輸入価格は年初から約12ポイント上昇していますが、コア消費財の価格は年初から1%程度しか上昇していません。つまり、現時点では関税による影響は消費者価格にほとんど反映されていないのです。

今後は、消費者への転嫁が進むと予想しています。というのも、輸入価格の上昇を考えれば、現在関税のコストをほぼ全額負担しているのは米国企業で、海外セクターや海外の製造業者はほとんど、あるいはまったく負担していないからです。

短期的なGDP成長について見ると、第1四半期にGDPが縮小し、第2四半期に回復しました。ノイズを除けば、上半期のGDP平均成長率は前年同期比2%増となり、過去3年間の平均成長率と比べてやや減速しています。この成長率の鈍化を支出項目別に見ると、民間固定投資と政府支出の減少によるものです。

個人消費は2025年上半期に前四半期比では減少したものの、前年同期比では堅調な伸びを維持しました。上半期に見られた減少は、2024年後半の成長が非常に大きかった反動と考えられます。

政府支出の減速は、連邦政府の人員削減と州・地方政府におけるパンデミック後の黒字の使い切りによる支出減少が要因です。

民間固定投資の内訳を見ると、AI関連の支出があるにもかかわらず、特に住宅投資や商業用不動産など、他の分野では再び減速が見られ、関税以外の要因が重石となっています。

したがって、現時点では成長鈍化の主因は関税ではないように見えますが、今後、関税コストの消費者物価への転嫁が進めば、企業収益への影響が強まることで、関税が実体経済に対してより大きな逆風となるでしょう。

さて、関税とは別に、今後数年間のGDPの重石となると予想される要因がもう一つあります。それは、個人または家計の貯蓄率がパンデミック前の水準を下回っていることです。我々は、いずれは貯蓄率が元の水準に戻ると予想しており、それに伴って消費の伸びが鈍化する可能性があります。

この貯蓄率の低下は、資産価格の上昇が一つの原因であると見られます。家計の純資産はGDP比で2019年以降55ポイント上昇しました。過去の回帰分析に基づくと、これが貯蓄率低下の約1.4パーセントポイントを説明することができます。パンデミック前とのギャップは2.5パーセント・ポイントあるため、全てを説明できるわけではありませんが、大きな要因であることは確かです。

仮に、資産価格が下落すれば、消費の伸びはより急激に弱まる可能性があります。逆に、資産価格が引き続き急速に上昇すれば、消費の伸びは力強く維持され、GDP成長率の鈍化を回避できるかもしれません。

もちろん、AIが株式市場の資産効果を通じて消費成長を支える役割を果たしていることは明らかです。また、AIは現在の民間固定投資を支えている主な要因でもあります。ハイテク投資を除けば、実質的な民間固定投資は、現在住宅投資や商業用不動産の影響で縮小してる状況です。

また、製造業の工場建設ブームのような、好調な支出を支える政府補助金主導の一時的な要因もありましたが、これも徐々に勢いを失いつつあります。したがって、非テクノロジー分野の投資支出は縮小傾向にあります。とはいえ、GDP成長への貢献は大きく、本年上半期にはハイテク投資はGDP成長率に約0.7%寄与しました。もっとも、これは非常に高いように見えますが、過去10年間のトレンドと比べて極端にかけ離れているわけではありません。本年上半期のハイテク投資は前年同期比9.4%の成長でした。しかし、パンデミック前の2015年~2019年の平均である7.7%と比べるとやや加速している程度とも言えます。

そして実際には、2021年~22年の直近のピーク時より低い水準にあります。その理由は、AIデータセンター関連投資が急増している一方で、ソフトウェア関連の支出が減速しているからです。ソフトウェア投資は、米国商務省経済分析局(BEA)によって資本支出として計上されるため、テクノロジー関連投資に含まれます。また、研究開発(R&D)支出も減速しています。

つまり、広義のハイテク投資は、想像されるほど急増していないのです。これはやや意外なことで、本来であればAIの進展によって知識労働やソフトウェア投資、研究開発などの収益性が高まるはずだからです。しかし、現時点では企業によるこれら分野への大規模な支出はまだ増えていないのです。

同様にGDPに占めるハイテク関連投資の比率を見ると、過去最高を更新していますが、これは2010年代半ばから続く長期の上昇トレンドの延長線上にあるもので、最近のソフトウェアやAI主導の投資ブームの一環といえます。現在では、ドットコムバブル期のピークを超えています。これは一つの警鐘とも言えますが、しかし、1990年代のような急激な上昇ではなく、また、当時と比べて投資の将来収益性についてはより説得力のある議論が可能です(もちろん議論の余地もあります)。

労働市場に目を向けると、BLS(労働統計局)が発表した9月のベンチマーク速報値に基づくと、労働市場の現状はかなり悪化しています。8月時点の雇用の伸びは前年比0.5%でしたが、これはパンデミック前の平均成長率1.5%と比べてかなり鈍化しています。

失業率もわずかに上昇し始めており、自然失業率とされる約3.7%を上回っています。つまり、労働市場にはかなりのスラック(余剰労働力)が生じており、それは賃金の上昇が継続的に鈍化していることにも表れています。こうした状況は、FRBが金融政策を緩和する判断に影響を与えている要因の一つとなっています。

それでは、ここからはアジア市場についてのコメントをカイ・ワンにお願いします。

カイ・ワンです: 皆さん、こんにちは。アジア株式について幅広くお話しするのは今回が初めてですので、少し今年の状況を振り返ってから今後の見通しについてお話しましょう。

モーニングスター・アジアTME指数は、年初来で25%上昇しており、S&P500指数のリターン14%と比べても好調です。トランプ政権と中国との休戦以来リスク選好のセンチメントが強まって、テクノロジーと通信サービスセクターがこれまで市場を牽引してきました。昨年の水準が比較的低かったこともあり、今年の主な推進要因としては、DeepSeek、中国への関税強化の一時停止、AIハイパースケーらーによるインフラの構築、そして日本の見通し改善などが挙げられます。これは、時系列的に挙げた事象の流れです。

一方で、今年最も出遅れているのは消費関連株です。中国の消費者は、いわゆる資産効果で多少の消費支出はあるものの、中国の不動産市場は非常に厳しい状況にあります。最近の報道でも、大手不動産開発会社の破綻や債務不履行などが相次いでおり、不動産市場は停滞し、それに伴って消費支出や消費者信頼感も悪化しています。そのため、卸売価格の安定化や既存店売上高の回復には一貫した兆しはまだ見えません。

ただし、景気循環型消費財・サービスセクターは21%のリターンを記録しています。このセクターの上昇の多くは、Alibaba(阿里巴巴) BABAが牽引したものです。AlibabaはオンラインショッピングサイトのTaobao(淘宝網)などを展開していますが、AIクラウドの収益やAIインフラの構築など、消費者向け以外のカタリストによって株価が押し上げられました。Alibabaはまた、AIクラウドとクラウド・コンピューティングにおいて中国で最大の市場シェアを占めています。つまり、このセクターの上昇は、Alibabaによって非消費関連の要因で牽引されたとも言えます。

我々は消費関連株は依然として割安と見ていますが、現在の市場のAI関連株に対する熱狂ぶりや、それによって引き寄せられる投資資金を考えると、投資家はこのセクターを引き続きアンダーウエートしても良いと考えています。おそらく投資資金は今後もテクノロジーや通信サービスセクターに向かい、消費関連株の回復は遅れる可能性があります。

今年のトップ企業と出遅れている企業について、若干の展望などを具体的に見ておきましょう。トップ企業は、Tencent(腾讯) TCTZF、TSMC TSM)、Alibabaで、いずれもAI関連です。Tencentは、社内AIによって利益率が向上し、主力事業や広告に貢献すると見られています。TSMCは御存じの通り、Nvidia NVDA、AMD AMD、Apple向けの半導体を製造しており、Alibabaは先に述べたようにクラウド分野での市場リーダーです。

Samsung SSNLFもAI関連で恩恵を受け、AIデータセンターに必要な高帯域幅のメモリーチップを製造しています。米国で同様の事業を行う競合相手を上げればMicron MUでしょう。同じく半導体企業のARM Holdings ARMの過半数を保有しているソフトバンク SFBQFもトップ5に入ります。

一方、出遅れている企業としては、アプリによるフード配達サービス企業で中国版のDoorDash DASHと言えるMeituan MPNGYがあります。同社はYelp YELPやSeamlessが10年前に直面した問題と同じ、競争の激化と利益率の圧迫といった課題を抱えて苦境にあります。

また、トランプ政権によるインドへの関税もInfosys (INFY)やTataといった主要IT企業に負の影響を与えました。リクルートホールディングス RCRRFは、米国の求人情報サイト「Indeed(インディード)」を所有していますが、同社はプラットフォーム上での採用活動が減少していると指摘し、成長予測を下方修正しました。

年末に向けた最新の材料としては、AI関連の大型企業であるTSMC、Tencent、Baidu(百度) BAIDF、Samsung、Alibaba、SK hynix HXSCFなどが、引き続きテクノロジーや通信サービスセクターの上昇を牽引しています。

産業セクターは主に日本が牽引しており、豊田自動織機 TYIDF、伊藤忠商事 ITOCF、三菱商事 MSBHFなどが挙げられます。日本は、米国との関税交渉が決着したことにより、アジア市場の上昇に貢献しました。関税交渉が解決したことで関税の影響がより明確になり、国内の経済見通しが改善されて市場のセンチメントが向上しました。

AI関連以外では、高市氏のサプライズ当選を受けて、日本株式は短期的に上昇する可能性があると考えています。高市氏の勝利は10月4日、週末の土曜日に発表され、一部の人々にとっては意外な結果でした。そのため、選挙後の最初の取引日である月曜日には、日経平均が4%上昇しました。高市氏は財政刺激策を推進し、金融政策を緩和すると予想されており、利上げは遠のき、円安が進むと見られます。おそらく、トヨタなどの自動車メーカーのような輸出依存度の高い企業にとっては追い風となるでしょう。これらの要因は短期的には市場を支えると見ており、そのために日本市場は上昇する可能性があると考えています。

しかし、インフレ環境下で金融緩和と低金利を続ければ、将来のインフレを加速するという懸念があります。そのため、政策立案者がインフレを制御不能にすることなく経済成長を維持することは難しくなるでしょう。ですから、短期的にはかなりポジティブに見ていますが、長期的にはこれらの政策がどのような影響をもたらすかはまだ不透明です。

日本の企業業績が改善傾向にあることについて1つだけコメントすると、日本の会計年度は4月に始まり、多くの企業は年度初めに非常に保守的な見通しを出す傾向があります。そして年後半に予想を上方修正することが多く、今年もその傾向が見られるでしょう。これも今年の日本市場をポジティブに見ている理由の一つです。もう一つの理由は、我々が調査対象としているアジア企業の株式は、現在適正価値の1.02倍で取引されていおり、ほぼ適正水準にあるということです。

基礎素材、テクノロジー、ヘルスケア、産業セクターは、純粋に割高な水準になっています。これらのセクターは評価が高く見えますが、平均を歪めている一握りの割高株式があるからです。そのため、特に産業とテクノロジー・セクターの中にはまだ投資機会が残されている可能性があります。

最近、AIをテーマにした追い風を受けて市場が大きく上昇していますが、ある程度の上昇は正当化されるものの、中国市場は過熱しています。特に、収益が初期段階にある事業や、まだ収益が出ていない企業で、非現実的な成長期待を織り込んだり、実はAIとは無関係だったりするケースもあります。私たちは、こうしたアーリーステージの実態を伴わない企業を期待だけで追いかけることは勧めていないし、投資家がそのような企業に投資しているのであれば、早々に利益確定すよう提言しています。

とはいえ、AIの発展によって長期的に恩恵を受ける企業もあります。TSMCのような半導体セクターがその代表で、ここ1ヵ月ほどで大きく値を上げましたが、依然として当社のトップ銘柄のひとつで、もし調整が入れば投資家に買い増しを推奨するでしょう。

Foxconn FXCOFとして知られるHon Hai(鴻海)は、Appleの部品を製造しており、Appleのサプライチェーンを構築しています。新興のAIサーバーの成長によっても恩恵を受ける可能性があります。Tencent(騰訊)は先ほども紹介しましたが、自社AIの恩恵を受ける企業の一つです。Tencent、Alibaba、Baidu(百度)の3社は、中国においてAIハイパースケーラ・ビジネスを展開しており、AIインフラやデータセンターの構築を進め、AIアプリケーションの開発・拡張が可能な主要企業です。

AIはTSMCにとって循環的な成長要因となるでしょう。TSMCは、主にNvidia、AMD、Apple、Broadcomなどに半導体チップを提供しており、これらの顧客はきわめて堅調で長期的な需要を持っています。我々は今後もテクノロジー主導の上昇は投資家の熱狂とともに続くと見ており、繰り返し申し上げますが、過熱感のある銘柄、特に非現実的な成長予測が織り込まれている企業については、利益確定を検討するよう強くアドバイスしたいと思います。

AI以外で最も注目しているのは、消費関連セクターです。現時点では明確な転換点はまだ見られませんが、依然として割安だと考えています。レストラン、アルコール飲料、ノンアルコール飲料などは消費が低迷しており、株価にも影響しています。ただ、いずれは回復すると考えています。同時に、一部の消費関連企業では、AI技術を導入することでサプライチェーンの効率化や、広告のターゲティング、運営・営業費用全般の削減など業務効率の改革が進んでいます。したがって、収益が回復し、売り上げ成長が復活してくれば、改善された業務効率との相乗効果で急激な収益成長が期待できると考えています。

さて、適正価値水準より割安であるかという観点では、いわゆるディープバリューの5つ星を獲得している株式の割合は減少傾向にあります。それでも、我々がアジアで調査対象としている企業のうち、3割以上が依然として割安な水準にあります。これらの企業の多くは消費関連セクターに集中しており、先ほど取り上げたアルコールや飲料企業などが含まれます。

産業セクターでは、工場の自動化が再び活発になると考えています。AIインフラを構築するには多くのロボットが必要になるでしょう。現在は農業や建設業が低迷しているため、循環的な要因で弱含みですが、再び回復すると見ています。

当社の調査対象企業全体でみると株価は適正価値に近い水準で取引されていますが、4つ星(割安)評価の企業の比率は1つ星や2つ星(割高)評価の比率を上回っています。特定のテクノロジーやヘルスケア企業は非常に高い評価を受けており、これが平均値をゆがめている点には注意が必要です。もう一度注意喚起しますが、ハイテクとヘルスケアの特定の企業が市場であまりにも高く評価されており、それが平均値を歪めている点には十分留意する必要があります。

以上が現在のアジア市場の概観です。ここでデイブにマイクを戻しましょう。

セケラ:どうも ありがとう、カイ。

ズビンスキー: デイブ、プレストン、カイ時間をいただき、どうもありがとう。また1月の2026年米国株式市場見通しウェビナーもよろしくお願いします。皆様、ご視聴いただきどうもありがとうございました、それではまたお目にかかりましょう。

※ 本稿はモーニングスターのウェビナー「The Markets Are Walking a Tightrope. How Can Investors Find Their Footing?」の主要部分をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです(視聴者からの質問部分を除く)。本文内の解説に伴う図表はビデオからご覧いただけます。英語と翻訳に相違がある場合は英語が優先されます。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針