世界最大の高齢者によるNPO「AARP」の詐欺防止担当ディレクターが、暗号資産関連の詐欺の脅威の高まり、最もリスクが高いのは誰か、投資家が注意すべき詐欺の手口について語ります。
ゲスト: キャシー・ストークス氏 NPO法人AARP 詐欺防止担当責任者
クリスティン・ベンツ:こんにちは、「The Long View」インタビューへようこそ。私はクリスティン・ベンツ、モーニングスターのパーソナル・ファイナンスおよびリタイアメントプランニング担当ディレクターです。
エイミー・アーノット:モーニングスターのポートフォリオ・ストラテジスト、エイミー・アーノットです。
キャシー・ストークス: お招きいただき、誠にありがとうございます。
<年金に恋をして歩んできたキャリア>
ベンツ:今回のテーマは重要なものです。まず、あなたの経歴と、AARPの不正防止ディレクターという現在の役割にたどり着くまでのいきさつを教えていただけますか。このテーマに興味を持ったきっかけは何ですか?
ストークス: そうですね、私は常に金融問題、金融教育、リテラシーに興味を持っていました。私はキャリアの中で早くから年金に情熱を注いでいました。少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、私はワシントンDCで医療と年金の問題に焦点を当てた非営利団体に就職していました。私は健康・医療分野の担当として雇われたのですが、着任初日に、上司から「年金をやってもらうよ」と言われました。
私は「えっ、年金って何?」と思いました。そこから、政策から見た年金というものと恋に落ちたのです――確定給付型から確定拠出型の世界への年金政策移行が、米国労働者が将来迎える退職にとって何を意味するのかという懸念が主因です。結局、ジョンズ・ホプキンス大学の大学院の学位を取得し、年金や401(k)プラン、21世紀に向けた変化など、様々な関連するテーマについて書きました。そして、私はそれが大好きでした。
その後、大手会計事務所であるアーンスト・アンド・ヤングに転職して金融教育を自ら行うようになりました。当時は全国的な慣行があり、大口のクライアントやその従業員に対して、401(k)、年金、資金状況把握法などについて教育していました。つまり、政策を草の根の現場まで啓蒙するわけです。その後独立して自分の会社で10年間ビジネスを続け、金融リテラシーや金融教育の分野で多くのことを行いました。AARPは当時の私の最大の顧客の1つでした。正直なところ、私は一生自営のままでいるつもりでしたが、健康上の問題があり、医療費負担適正化法があっても保険料の負担が大きすぎたので、AARPに就職することにしました。
それは文字通り、嵐の中で緊急避難する港のようなつもりでした。もう勤め人に戻る気はなかったし、正直なところ、最初の1年は、自分は退職後の教育を任されたはずなのに、何をしたらいいのかさえ全く分からずにいました。ところが私が入って2年目に、AARPは詐欺被害防止の分野で行っているすべての取り組みについて注目するようになり、2018年にはそれらを刷新しました。
私はその部署で最初の仮のディレクターとなり、かつて年金問題に没頭したのと同じくらい、詐欺防止というテーマに心を奪われました。それは実に理にかなったことだったようです。振り返ってみると、労働者がより安全に退職後の生活を送るための資産形成支援として、私はずっと働いてきたのだと気がつきました。そして今、この国では多数の退職者が詐欺が頻発する環境におかれ、老後の経済的安定が本当に大きなリスクにさらされているのを私は目の当たりにしています。
<あまりにも過小評価されている被害>
アーノット: 本題に入る前に、さまざまな種類の詐欺について、また投資詐欺と金融詐欺との違いについて、整理しておきたいと思います。投資詐欺は金融詐欺の一種とみなされますか? 例えば、家族や介護者が高齢の親から資産を盗むという話をよく耳にします。しかし、それは必ずしも投資詐欺ではありませんよね?
ストークス: その通りです。それは資産の搾取(経済搾取)です。AARPでは、投資詐欺と別のものとして見ています。これらのことを語るとき、様々な組織がちょっとずつ違ったとらえ方をしているため、非常に分かりにくい状態にあります。とはいえ、経済搾取について話すときには、良く知られた加害者が存在します。たとえば、成人した息子、悪徳弁護士、または特定の高齢者からお金を盗んでいる有給の介護者などです。
そして、もうひとつ、私が一般的に「見知らぬ人による危険」と呼んでいるものがあります。通常、ある日突然問題が発覚し、経済的に解決する必要があると知らされます。こうした問題の影には、投資アドバイザーや金融ブローカーを装い、人々からお金をだまし取ろうとする輩がいます。投資詐欺はアドバイザーやブローカーによって行われる場合も無きにしもあらずですが、多くの場合は、犯罪者が何かの職業の誰かのフリをしているに過ぎないことは間違いありません。
ベンツ: AARPは、2023年に50歳以上の人々が投資関連の詐欺により合計9億5000万ドルを失ったという記事を掲載しました。この数字は過少評価で、実際はもっと被害が大きい可能性があるのではないでしょうか? というのも、一部の高齢者は詐欺に遭ったことを恥だと感じて報告できないかもしれないし、または単に被害に気がつかずにいるかもしれないと思うのですが。
ストークス:私は 「彼らは詐欺に遭った」というような言葉も使いません。そういう言い方は、被害者が誰かに騙され、操られたという印象を与えるからです。起こっているのは、犯罪です。犯罪者や犯罪者集団は、意図的に被害者を標的にして真実ではないことを被害者に信じさせ、被害者からお金を盗みます。被害者が経験したことは犯罪なのです。人々が「欺かれた」「だまし取られた」「詐欺にひっかかった」などと言ったり、認知能力に疑問を抱いたりすることで、私たちは問題の本質を見誤ってしまいます。起きていることを犯罪として見る必要があります。
おっしゃる通り、羞恥心は年齢に関係なく絶対に大きな要素です。米連邦取引委員会(FTC)のデータによると、詐欺の被害の報告については、実際に若年層の方がお金を失うことが多いとされており、この結果を考えると本当にびっくりするでしょう。なぜなら、一般的には社会の富は高齢者層により多く傾斜しており、現実には高齢者が被害者である場合、被害額ははるかに多くなる可能性があるからです。
アーノット: その通りです。クリスティンは先ほど、9億5000万ドルという推定額に言及しましたが、ここ数年で投資詐欺がかなり劇的に増加しているようです。増加の理由についてどうお考えですか?
ストークス: ええ、9億5000万ドルは、誰が見ても非常に過小評価された数字です。連邦取引委員会によると、2023年の損失総額は――お金はなくしたのではなく盗まれたのですから、私は「損失」と呼ぶべきではないと思いますが、――100億ドル前後と見積もっています。パンデミックの直前の24億ドルからの増加ですから、堰を切った勢いで増えています。もっとも、専門家が過少報告であると推測していることを考慮すると、FTCは2022年の被害はおそらく1370億ドル程度だったのではないかと考えています。この数字をじっくり考えてみてください――1年間で1370億ドル、この犯罪によってこれだけのお金が我々の経済から失われています。投資詐欺は暗号資産の隆盛によって巨大化しており、それが、最近我々の目に突出して飛び込んできています。
<あなたを信用させようとする巧妙な手口>
ベンツ:消費者に対して詐欺を仕掛ける人々にとって、暗号資産は特に豊かな鉱脈となっていると思いますか?
ストークス: そうですね、2、3年前、スーパーボウルの広告が暗号資産でお金持ちになることに関するものばかりだったときから、それは完全に常態化していました。犯罪者たちはその流行に便乗するだけでよかったのです。何か新しいものが登場し、消費者がそれについてよく知らない場合何でも信じ込ませることができるので、それは犯罪者にとってまさに宝の山です。暗号資産は今、そのような分野のひとつです。
私が理解している限りでは、主に中国(※原文ママ)の集団が暗躍しています。彼らは、犯罪の原因と結果の両極で犠牲者を生みます。職を求める人に仕事を与えるという口実で人々を奴隷化し、実際には詐欺電話のコールセンター要員として雇います。電話をかけたり、オンラインで人を見つけたり、誰かと友達になろうとするためだけに通話や通信を交わし、とあるテキストを誤送信のフリをして見知らぬ誰かに送り付けます。
そして、その人と親しくなり、相手から人生で信頼される人になっていくと、誤送信した書類の件を利用して、「ねえ、私がどれだけ大きく稼いでいるかわかるでしょう。私は暗号資産への投資の専門家だから、あなたがやってみるなら手伝ってあげる」と誘導し――こうしてすべてが始まります。信じられないほどの額のお金がこの手口によって失われ、盗まれました。被害者はすべてを失っていきます。「すべて」というのは、まず持っている現金をすべて最初の投資につぎ込み、やがて子供たちのために投資していた教育資金からお金を引き出し、住んでいる家を再抵当に入れ、文字通り「すべて」を失うのです。
アーノット: では、私たちがよく耳にする「ピッグ・ブチャリング詐欺」とは、誰かが感情的なつながりを築いて信頼を得てから、それを利用して相手を搾取するというものを指すのですか?
ストークス: まさにその通りです。ただし、私はその言葉を使いません。一度被害にあった犠牲者に対してそんな呼称を用いてもう一度傷つけるのは、あまりにも残酷です。いいですか、詐欺師たちがそう呼ぶことで生まれた言葉で、犯罪者の側に立った呼び方なのですよ。私は「ファイナンシャル・グルーミング」(お金のための接近、手なずけ行為。※グルーミングは性暴力の加害者が被害者に接近し信頼させ、洗脳する場合などにも用いられる用語)という言葉を使用しています。この言葉は、今起こっていることをずっとハッキリと説明していると思います。
ベンツ:ある専門雑誌に、数週間前に投資詐欺について非常に優れた記事が掲載されていましたが、その内容はキャシー、あなたが話してくださったこととそっくりの内容でした。孤独な高齢者を搾取対象とするものでしたが、投資詐欺としてはよく似ており、記事で紹介されている被害男性は本当に彼の全財産を賭けていました。多分外国為替関連を標榜したものだったと思いますが、指南役からの誘導によって被害者の退職後のための資産をまるごと、効率よく犯罪集団に送る手口だったと思います。
ストークス: それが現実に起きていることです。孤立や孤独は疫病のようなものです。あれこれ話す相手がおらず、社会との定期的な接触を失ったとき、かかってくる電話は誰かと会話をかわすチャンスです。誤って送られてきたテキストは、誰かと関わる機会となります。たとえそれが、単にオンラインで自分と同じような興味を持つ人々とつながるだけのことでも。それは、私たちが孤立しており、孤独で、寂しいからこそ、はまってしまう罠です。そして、ここで感受性――人からの影響に対する脆弱さが大きな役割を果たすのです。
アーノット: 人工知能(AI)の発達によって、この種の盗難がより広まったり、被害者がおかしなことが起きていると見破るのが難しくなったりしていると思いますか? おそらく5年、10年ほど前にも詐欺メールは届いていましたが、それが詐欺であることは一目瞭然でしたよね。なぜなら、それらは明らかに文法が間違っている片言の英語で書かれているので、無視するのがはるかに簡単だったからです。
ストークス: おっしゃる通りです。生成型人工知能(EVI)を使えば、今では完璧なメール、完璧なテキストメッセージを作ることができるようになりました。これを使用して静止画をアニメーション化し、運転免許証の私の写真が実際にあなたに話しかけているように見せ、まるで本物のように見せることができます。さらに、ボイス・クローニング(合成音声)があります。
最近、私たちの被害者支援プログラムのひとつとして行われたZoomによるセッションに参加した女性が、彼女が経験したロマンス詐欺について話してくれました。加害者は、アメリカの軍隊に所属して海外で働いているフリをしている人物でした。その人物は、彼女からすべてを盗みましたが、彼女の場合は約4万ドルほどだったと思います。それが詐欺であり、実際はインドからのものだとようやく気づいたとき――彼女の同僚の何人かは、それがインドに拠点を置くと彼女に言っていたのですが――彼女は「そんなことは、あり得ない」と思ったそうです。その男性と毎日通話をしていたのですが、彼はアメリカ人のように話していました。彼女は、彼がAIを使って言葉に訛りがないようにしていたからだと信じています。
<自助努力で築いた老後資金が狙われている>
ベンツ: キャシー、あなたは年金に関する以前の仕事や、この国で経験した確定拠出年金制度への移行について関心を持っているとおっしゃいました。その移行によって、今では50年前とは違って、資産管理を自分でする人々が出てきました。高齢者の投資詐欺に対する感受性に確定拠出年金がどのように影響したかについて、あなたの見解をお聞かせください。年金制度の観点から、それが投資詐欺被害を高齢者がこうむる可能性を増大させたと合理的に考えられることについてお話しいただけますか?
ストークス: 90年代初頭から半ばにかけて年金制度について考えたり書いたりしていたとき、詐欺に対する脆弱性や感受性についてなどは全く考えたことはありませんでした。気にも留めていなかったのです。ところで、1950年代以前に退職した人は全員年金を持っているという思い込みが世間でまかり通っていますが、そうではありませんでした。ですから、いつだって退職者の大部分は自分でお金をやりくりしています。しかし、今やそれに輪をかけてずっと多くの人が自分で老後のための備えをするようになっています。
誰がいまだに年金をもらえるのか? と聞かれたら、「私はもらえます」とAARPで答えられることをとても誇りに思います。年金を受け取る権利を得るのに十分な期間アーンスト・アンド・ヤングで勤務したことを私は非常に誇らしく思いますが、ほとんどの人はそうではありません。ですから、雇用主が投資を管理してくれるのではなく、プロバイダーが毎月送金してくれるのでもない多額の老後準備資金が、世の中に現金としてそこら中にあふれています。そのため(老後への自助努力が常識となった現在金融詐欺が増加していることは)、起こるべくして起きていることでしょう。
アーノット: 投資詐欺やその他の種類の詐欺は、高齢者だけでなく、若い世代にも影響を与えているとおっしゃいました。しかし、被害に遭った人々や、この種の詐欺に対してより脆弱な人々の間には、何か共通点があるのでしょうか?
ストークス: 私は、標的にされ、被害を受けている人々についてではなく、詐欺攻撃の共通性について述べたいと思います。多くの人は、これらの犯罪者たちが詐欺のマニュアルを持っていることを理解していません。かつては個別の悪党が用いた手段を、今では国際的な犯罪集団が使っています。それは、恐怖であれ、パニックであれ、「あなたの孫が何か問題に巻き込まれ、今すぐあなたの助けが必要です」といって、ターゲットを差し迫った心理状態に陥らせます。
いわば興奮状態です。「宝くじと車にたった今当たった!」という興奮、「使用中のコンピュータが今まさに恐ろしいウイルスに乗っ取られたかもしれない!」という恐怖。誰かを感情がひどく高ぶった状態に陥らせることを、犯罪者は「エーテルを嗅がせる」と呼んでいます。なぜなら、高ぶった感情に脳を支配されてしまうと、人は一歩退いて論理的な思考をすることが難しくなることを犯罪者たちは知っているからです。つまり、被害者の脆弱性についての共通項よりも、犯罪者が操りだす戦略マニュアルを知る方がずっと重要なのです。
<標的は高齢者とは限らない>
ベンツ: 私は、老化という事象や年をとると何が起きるのか、そして様々な認知機能低下を引き起こす老化の役割について訊きたいと思います。おそらく、あなたは老化がどの程度詐欺被害の要因になるかをご存じでしょう。そして私の想像ですが、もうひとつ別の要因として、高齢者は自分が年をとるということを信じたくない場合が多いのではないかと思います。老化によって能力や活力が衰えていくこともあると思いますが、そうすると私たちは、年をとるにつれて本能でそれを否定するのだと思います。誰も老いについて考えたくないのです。そのため、安全対策を講じるのを先延ばしにします。でも、こうした年齢を重ねるにつれて起きる認知機能の低下や判断力の鈍化について、その様々な側面から議論をして全体像を描けるかもしれません。
ストークス: そうですね、私は神経科医でも脳研究者でもありませんが、これについてはたくさん読みました。ぜひ肝に銘じていただきたいのは、詐欺被害はどんな側面から見ても、人々が想像しているような認知機能の低下の問題ではないということです。実際に詐欺にあった被害者にとっては、はるかに幅広いリスクなのです。もしこうした詐欺が高齢者のみに起こっただけなら、老化に伴う脆弱性について何か言うべきことがあるかもしれませんが、これは高齢者に限ったことではありません。これらの犯罪には人口統計学的な境界はありません。彼らはすべての人を標的にしています。
そして、私たちの対応はといえば、長い間、高齢者だけに起こることで、認知機能が低下しているせいだと思い込んでいて、そのため自分たちには決して起こらないと言えたということです。でも、今は状況は変化してきていると思います。メディアは、詐欺や犯罪の巧妙さについて非常に多くの報道をしており、目にする機会が増えています。私たちは5月に全国規模の調査を行いましたが、お金、あるいは機密性の高い個人情報を盗まれるという詐欺の被害を経験した人の割合は、たしか42%だったと思います。91%の人が詐欺を心配しています。これは大きな発見で、私たちが最も心配しているのは、自分自身が被害者になるかもしれないということです。これには良い面と悪い面があります。悪い面とは、詐欺が蔓延して、私たちがそれを恐れているということです。一方、良い面とは、私たちは恐れているからこそ、おそらく、攻撃から身を守るために、もっと防衛する行動を何かしら実践していくだろうということです。
<洗練された投資家も例外ではない>
アーノット: あなたは、これらの犯罪の最大の加害者として海外の組織について言及しました。この種の詐欺行為によって誰が利益を得ているのかについて、他に一般化できるものはありますか?
ストークス: ええ、中国と名指ししてしまいましたが、もちろんそれだけではなく多数のグループが、ミャンマー、カンボジア、インド、アフリカ、コスタリカ、カナダその他のいずれの場所からであっても、多国籍犯罪組織によって動かされています。しかし、米国の現場には、これらの犯罪者集団をほう助し、教唆している多くの人々が存在します。法執行機関は、「彼らは海外にいるから、いずれにせよ打つ手はないのです」という決まりきった反応を返してきますが、これは近視眼的な対応です。なぜなら、国内の現場には大勢の実行犯がいるので、彼らを逮捕し懲役刑を課すことができるし、そうすることで詐欺ビジネスモデルの破壊に手を付けることができるからです。
ベンツ: これらの投資関連の詐欺に対して最も脆弱なのは誰かというエイミーの質問について、フォローアップしたいと思います。数年前に見た研究によると、実際にはある程度洗練された投資家、例えば全くの初心者ではない投資家や、時には初心者とは異なる形で脆弱な投資家について指摘がありました。個人の(金融についての)洗練度に対する認識レベルや、それが投資詐欺に対する感受性とどのように相互作用するかについてのデータを見たことがありますか?
ストークス: はい、私が入社する以前の2016年か2017年に、AARPがその研究の一部に関わっていたことを覚えています。その研究は、投資についてより多くの知識を持っている人々は、たとえば「自動車事故が起きた」と聞いたときのように(自分は大丈夫だという)誤った安心感をもっていることを示唆していたと記憶しています――ほとんどの場合、事故は家から5マイル以内で起きているのに。私たちは快適で、その空間にいることに慣れているので、運転中にふと注意力を欠いてしまうのかもしれません。おそらく、自分の能力を信じきっている洗練された投資家と似ているのではないでしょうか。
アーノット: 投資関連の詐欺の多発地帯となっている分野には、貴金属、コイン、商品(コモディティ)等があるようです。これらの分野がより一般的に詐欺の中で利用されているように見える理由について、もう少し詳しくお話しいただけますか?
ストークス: 私たちがそれについて研究をしたかどうかはわかりませんが、いくつかの大まかな仮定を立てることはできます。その一つは暗号資産で、あまりにも加熱しているため、犯罪者が容易に利用できるということです。基本的に、分野の投資についてあまり知識がなければ、人々はどんなことでも信じてしまうのです。貴金属なども同様で、犯罪組織は利用できそうなものなら何でも使うと聞いています。また、貴金属の場合、一部の犯罪組織では、暗号資産詐欺に人々が気づきはじめたと感じて、貴金属に乗り換えたと私は理解しています。ですから、何を利用するかは単に機会の問題でしょう。政府に対する信頼の欠如という現在の米国の国民感情と少し関係があるかもしれません。それが経済システムへの信頼の欠如につながっているのかもしれません。そして、それがこれらの犯罪者たちが人々を心理的に操る糸の一部なのかもしれません。
<大手金融機関を名乗る詐欺も>
ベンツ: あなたが注目している投資関連の環境の中で、今はまだ本当に主要な投資詐欺分野として浮上していないけれど、将来そうなる可能性のある分野はありますか? 新たな問題が起きそうな分野は?
ストークス: そうですね、私が思いつくことでは、現在銀行業界で見られる投資アドバイスになりすました詐欺で、この分野でもっと犯罪が起こるのではないかと思います。これはここで話し合えると思います。また、人々が保険プランで多額の資産を保有していることに犯罪者が気づけば、ある種の保険商品はおそらく犯罪の舞台にのぼる期が熟しており、これもまた利用されるのではないかと思います。
アーノット: では、あなたが指摘された投資アドバイザーのなりすましについて、それがどんなもので、どのように起きるのか、もう少し詳しくお話しいただけますか?
ストークス:銀行で今、何が起こっているのかお話しましょう。最近目につく新手の詐欺のひとつは、銀行になりすました相手から詐欺メールが送られてくるものです。銀行から「この取引があなたのものであることをご確認ください」というメールを受け取ることに、誰しも慣れているでしょう。そして、あなたの銀行からメールが来ています。たとえば私がバンク・オブ・アメリカに口座を保有している場合は、バンク・オブ・アメリカと表示されます。「この取引は、あなたのものですか?」――なぜそんな質問が? 答えは「はい」か「いいえ」――そしてあなたは、反射的に「ちょっと待って、そんな取引はしていない」と感情的に反応して、とっさに「いいえ」をクリックします。すると次に起こることは――現実の銀行ならあり得ないのですが――この犯罪では、次にあなたに電話がかかってくるでしょう。バンク・オブ・アメリカの詐欺についての調査です。彼らはあなたのアカウントについて十分な情報を持っているようです。電話は、慣れ親しんだ銀行からの番号でかかってきます。
そして、彼らは「あなたのアカウントが現在ハッキングされた状態にある」とあなたに告げます。「どうかご心配なさらずに。私たちはあなたのお手伝いをします」。そこからは非常に複雑なスキームになりますが、最終的には、「口座名義人(あなた)がお金を「どこか」別のところに移動させることでお金を安全に保つ必要がある」のだと、犯罪者はあなたに信じ込ませます。そして、「どこか」というのが犯罪者のポケットだったことが判明したときには、彼らは完全に姿をくらませています。心配になって、翌日またはその日遅くに銀行に電話をかけます。すると、「何のお話でしょうか?」「それは私たちではありません」といった返事が銀行から返ってきます。資産運用アドバイスの分野でも、同様のことが起きています。
<相手の正体を調べる必要がある>
ベンツ: 私はそれについてもっと知りたかったのです。あなたのグループは、人々がデューデリジェンス(取引相手についての調査)を行うのを助けるために、多くの素晴らしい情報などをまとめました。誰かが投資アドバイザーであると名乗っている場合、その個人が本物かどうかを確認するためには、しかるべき手順を踏む必要があります。何をすればよいのか、重要な点を説明していただけますか? これを読んでいる消費者が、あるアドバイザーが正当な者かどうかを確認したいと思ったら、どうやって調べればよいのでしょうか?
ストークス: 自分で調べなければなりませんが、使えるツールがあります。もし誰かがアドバイザーであると名乗っているなら、本物かどうか調べてください。彼らがブローカーである場合は、brokercheck.finra.org で調べます。Finraは、証券業界を規制する機関で、あなたはここで調べることができます。投資アドバイザーであれば、証券取引委員会(SEC)からも非常に優れた情報が提供されています。investor.gov のサイトを閲覧すれば、これらの資料や情報が簡単に入手できます。このサイトは証券取引委員会による投資家教育とリソースのサイトですから、投資アドバイザーについて調べることができます。こうした情報源をぜひ活用してください。
詐欺犯罪に関わっている人々のほとんどは無登録です。本当に登録された業者なのか? これが最初に確認すべき重要なポイントです。同時に、一歩下がってみることも重要です。このような犯罪がでは常に、人々は追い詰められ、すぐに行動するように圧力をかけられるからです。一歩下がって考え、電話を切り、誰かと話し、要求に抵抗する暇はありません。しかし、もし、「今この世界で私たちが晒されているコミュニケーションは本当に信用できない」ということを思い出すことができれば。だから鳴っている電話の受話器を取り上げると、相手は「ブローカー」と名乗り、あなたに投資の機会を売ろうとしているということが起きるのです。これから私が言うことは、投資コミュニティにとっては決して素晴らしいことではないとわかっていますが、「信用してはいけません」。現在、かかってきた電話を信頼することはできないのです。
アーノット:電話やメール、書類など受け取るものは何でも、たとえそれが正当なコミュニケーションであるように見えても、おのずと懐疑的になる必要があるというのは重要なポイントだと思います。それでは、アカウントがハッキングされた、カードが盗まれたといった正当に見える通知やメールを銀行から受け取った場合、という先ほどのケースでは、対処するための最善のアプローチは何でしょうか? メールやテキストメッセージで連絡をとる代わりに、デビットカードの番号を使って直接銀行に電話をかければいいのでしょうか?
ストークス: その通りです。カード関連の場合はそのカードを裏返して、記載されている番号にあなたから電話してください。もし電話がその番号からかけて来ているように見えても、詐欺では簡単になりすまして見せることができます。ですから、相手に見せられている数字を正当性の指標として信用してはいけません。連絡先のメール、テキスト、音声を受け取っても、それがあなたを相手にビジネスをしている人からであっても、そこに連絡をしてはいけません。その連絡先が本当にAmazonなのか、それともバンク・オブ・アメリカなのか、確実に知ることはできないのです。もしあなたが口座を、どこにせよ誰かがなりすましを試みている可能性のあるオンライン口座を持っているなら、まず、そのアカウントにアクセスしてください。ウェブサイトの場合は、ログインします。アプリの場合でも、ログインします。あなたが電話で口座のある会社と関係を持っているならば、あなたは番号が何であるかを知っていますし、あなたの口座関連の過去の書類から電話番号を見つけることもできます。どうか、外部からやってくる着信や通信を信用するのはやめてください。
ベンツ: 金融サービス提供者、つまり正規の金融サービス企業側でも、顧客と接する担当者にこれらの問題を認識しさせ、顧客と協力してうまく舵取りできるように真剣に努力しているようです。銀行や投資機関によるこれらの取り組みは、消費者がこれらの悪質な犯罪の餌食になるのを防ぐ役割を十分に果たしていると思いますか?
ストークス: 一括りに表現するのは本当に難しいです。誰かが追い詰められて決定を下し、真実ではない何かを信じさせられている兆候について、人々を教育するためにとても熱心に働いている銀行やファイナンシャル・アドバイザーを私は知っています。そして、あなたが言うように、犯罪者を信頼してしまった人は、銀行の誰も信用できないと信じ込まされることがあり、ファイナンシャル・アドバイザーリー会社も信頼できない状態に陥ってしまいます。信じられるのは電話の相手だけ、と思い込んでいるのです。そうなると、最前線の銀行員が何かおかしいと気づいても、その被害者は自分が信じていることが真実だと思い込んで、銀行員が自分を騙そうとしているのではないかと心から信じているため、銀行員は非常に苦労するかもしれません。実に困難な話です。ソーシャル・エンジニアリング(※人々を巧みに操って目的を達成する詐欺)との闘いは、厳しいものです。しかし、銀行員に対する教育は重要です。AARPには、BankSafeと呼ばれるプログラムがあります。顧客と直接かかわる銀行員に、誰かが搾取されたり騙されたりしている兆候とはどんなものかを理解してもらうための教育活動です。
アーノット: 実用的な対処のひとつは、フィデリティ、バンガード、モルガンスタンレー、その他の大手企業とだけ取引を行うことであるように思われます。しかし、それらの大企業から来たと名乗る誰かによっても詐欺が行われた例もありますか?
ストークス: それは、私がおそらく次に起こり得る犯罪として前に述べたものです。今はそんな話は聞きませんが、起きていないとは思いません。銀行を狙う犯罪が起きているのであれば、ファイナンシャル・アドバイザリー会社を狙ったなりすましが起きる可能性は確かにあります。そして犯罪者は、確かにそれらの会社に口座を持っている人々が資産を引き出すように仕向けています。彼らを狙った犯罪は多発しています。そして、アドバイザーにはもう少し多くの自由に使えるツールがあると思います。銀行よりもアドバイザリー会社の方が、より日常的に信頼できる連絡先となるからです。顧客が資産を投資顧問の口座から銀行口座に移す場合、そこに脅威を認めれば、何が起こっているのか確認しようと努める間、アドバイザリー会社は資金を一時保留できるはずです。いずれにせよ、そこにお金があり、しかもそれが多額であれば、どんなところへでも犯罪者は追いかけると思います。
<信頼する代理人を決めておく意味>
ベンツ: 自分のポートフォリオを管理することに大層熱心な高齢者についてお聞きしたいと思います。私たちのMorningstar.comはそのような方が大勢活用してくれています。彼らは本当にアクティブで熱心な個人投資家です。彼らがDIY投資家を返上して誰かに任せたいと思った場合、どのように自分自身を守ればよいのでしょうか? 投資関連の詐欺に対する安全策を講じていると確認するために、彼らが注目すべきシグナルは何ですか?
ストークス: 私は、将来何らかの認知障害を経験するとき、どんな保護策を実施するかについて何ができるかを、一人一人が考えるべきだと思います。AARPが後援したプロジェクトによるthinkingaheadroadmap.org というサイトには実によく考え抜かれた解説があり、委任状を託してお金を任せる相手を選ぶ方法について知ることができます。このサイトは将来を考えている若年層から年配の人々まで広く対象としており、保健管理官の助けや委任状についてなどを知りたい人向けに作られています。私たち全員が遅かれ早かれそうしたことについて考えるべきだと思います。信頼できる連絡先を持つことは本当に重要です。あなたのファイナンシャル・アドバイザーはその役目を果たすことができるでしょう。銀行はそうした連絡先を提供していないかもしれませんが、頼むことはできます。
自分のアカウントについて信頼できる連絡先を設定すると、その人が自分のお金にアクセスできるようになってしまうと多くの人は考えています。しかし、それはまったく見当はずれです。私がファイナンシャル・アドバイザーや銀行と連絡が取れない場合に、必要であれば私の代理人に電話をかけることができる、ということです。たとえば、私はタヒチにいて、そのことを銀行やアドバイザーに話さず連絡がとれなかったとすると、必要であれば、私が信頼している人に電話をかけることができるのです。または、誰かが私をだましてお金を盗もうとしていると金融機関などが察知したとき、代理人に電話をして、何が起こっているのかを私に理解させる手助けをしてもらうことができます。
アーノット: それは成人した子供が両親を守るために、また、自分自身を信頼できる連絡先としてリストアップすることについて親と話すために利用できる方法かもしれませんね。
ストークス: そうですね。ただ、必ずしも子供である必要はありません。友達、姪や甥でもいいし、あなたがあなたの財政的な意思決定を任せたいと思う最も信頼する人を選べます。
ベンツ: さて、こうした状況すべてにおいて政府の役割についてお聞きしたいと思います。投資詐欺の増加は法律や規制の失敗だと思いますか? もしそうなら、あなたあるいはAARPの見解では、高齢者を保護するために行うべき明確な改善点はありますか?
ストークス: 必ずしも法律や規制自体の問題かどうかはわかりませんし、むしろ本当に私たちの政府業務グループの領域です。しかし、この大規模な詐欺の増加には、現在、本当に意味のある法執行機関の対応が欠けていると言えます。法執行機関は、この脅威と戦うという任務を果たせていません。それには多くの正当な理由があります――人手や情報などのリソースが足りない、人々がこれが犯罪であることさえ理解していない。そして、私が本当に探し求めているもの、広く支持を得ようと努めているのは、法執行機関、連邦法執行機関が、これらのバラバラに見える事件を一括して扱うための新しい方法です。
よくある詐欺の手口としては、真夜中に電話がかかってきて「孫のマイキーが飲酒運転や事故で本当に困ったことに巻き込まれ、今すぐにあなたの助けが必要です」と祖父母をだますものがあります。これは、1つの郡で1つ起こっている事件ではなく、全米で起こっています。もし、これらの事件を結びつけるリソースがあれば、9000ドル、1万ドルといった個々の窃盗事件ではなく、共通の加害者と結びつけられ、被害額は数百万ドルにのぼる事件であることがわかるでしょう。そうなれば捜査にFBIも参加することができるでしょう、なぜなら彼らが担当すべき全国規模の巨額の犯罪だからです。ですから、もし詐欺事件のケースについて関連性を整理した情報があれば、彼らの捜査に役立ちます。最初の一歩であるレベル1から始めるのではなく、もっと進んだレベル8のようなもので、彼らは悪者を逮捕して刑務所に入れるでしょう。
実際に現在、このように高齢者の詐欺に焦点を当てる取り組みが進行中です。そして、おそらく秋には何か取り組みが始まるのを見るでしょう。それは、National Elder Fraud Coordination Centerと呼ばれるもので、この種の詐欺の中でも特に巨額の被害が出ている高齢者相手の詐欺から始めることになります。おそらくその結果、すべての詐欺がまったく同じ犯罪組織によって行われていることが発覚するのではないでしょうか。ですから高齢者詐欺への取り組みを厳しくすれば、それ以外の人を標的とした詐欺から犯罪者を引き離すことにもなります。
<被害の報告をして情報共有を図る>
アーノット: このインタビューの準備としてAARPのサイトを見ていたのですが、郵便番号を入力して、あなたがいる場所から一定の距離内で人々が報告した詐欺の報告を見ることができるページがありますね。ところでAARPサイトには、詐欺被害に合ったことを報告する場所もありますか?
ストークス: 最初に指摘されたページは私たちの詐欺マップで、こちらaarp.org/scammap からご覧いただけます。そこでは自分の地域で報告されている詐欺について確認できますが、同時にレポート、つまり詐欺被害に合った場合に報告することも可能です。また、我々には「Fraud Watch Network Helpline」という全米ヘルプラインもあります。利用するのに、AARPのメンバーである必要はないし、特定の年齢以上などという制限もありません。あなたが直接被害を受けていない場合でも、ある詐欺事案について人々に知らせるために報告したい場合は、AARPに電話をすれば我々はその情報を連邦取引委員会と共有します。
Publishers Clearing Houseからの当選の報せが本物かどうかわからない場合は、お電話ください(※最高100万ドルの賞金を出すPCHの懸賞を騙る様々な詐欺が横行している)。また、詐欺を経験した場合や、愛する人が詐欺事案の真っ只中にいて、詐欺犯たちの心理的支配から抜け出させようとしている場合も、電話してください。対応可能な専門家が全国に約200人おり、何が起こっているのかについてあなたに話します。連絡先の番号は877-908-3360です。
ベンツ: 関連する質問ですが、キャシーさん、フィッシング詐欺か何かと思しきメールが届いたら、通常はそれを報告しますよね。そんな怪しげなものが来たとき、何が起こっているのかが正しく報告されていることを確認するために、どのような正式な手順を踏む必要がありますか?
ストークス: 重要なのは、明らかに詐欺の試みであるテキストを受け取った場合、もちろん関わりたくはないでしょう。しかし、少なくとも現在のAppleのiPhoneで受け取った場合、発信者または発信アドレスに心当たりが無いということを、迷惑メールとして報告する手順が備わっているはずです。「報告する」場合、政治的なスパム、一般的なスパム、詐欺の試みなど、6つほどの選択肢から選ぶことができます。つまり、「詐欺の試み」を選択するだけで、テキストメッセージの中で詐欺集団がその名を騙った企業は、リアルタイムでその情報をアルゴリズムに追加して、それらの犯罪が他の人を攻撃するのを防ぐことができます。こうした動きを触発できる、すごくクールな仕組みです。したがって、報告するのは大切なことです。
また、実際に盗難に遭った場合、もしお金の場合で何等かの形で銀行が関係している場合には、最初に銀行に連絡を取りましょう。お金を取り戻したり、お金が犯罪組織の手中に到達するのを止めたりするために銀行がとれる方策が何かあるかを確認するためです。また、盗まれたのが情報であろうとお金であろうと、即刻警察に連絡をします。法執行機関の対応は地域によって多少しばらつきがありますが、警察に被害届を出す必要があります。今では、これは犯罪であり、少なくとも誰かが警察に被害届を出せるようにするべきだという認識が高まっています。たとえ警察があなたを助けるために多くのことをできないとしても、あなたに何が起こったのかという記録は重要です。その記録は、将来、州レベルの基金または連邦基金などによる返還の機会が生じたときに、利用できる可能性もあります。また、被害者の一部の人は、加入しているホーム・オーナーズ保険(※火災保険に類似した住宅家財保険)がこのような経済的な損失をカバーしていることがわかるかもしれません。
アーノット: あなたはまた、FBIがこうした大がかりな詐欺や大規模な犯罪組織について捜査に関与しているとおっしゃいました。ふつう、どのようにして詐欺がそのレベルまで表面化するのでしょうか?
ストークス: FBIに対して直接報告できるインターネット犯罪苦情センターIC3.gov というポータルサイトがあります。そこで報告をして、FBIデータベースに登録されていることを確認してください。ただし、もし大きな損失を被って、その盗難があなたの生活に影響をおよぼしているのであれば、そこで報告するだけでなく、その報告を印刷して最寄りのFBIのオフィスを見つけ、そこに行って「助けが必要です」と伝えてください。あなたが持参した報告は、FBIが調べて、あなたを助けるために何ができるかを確認するのに役立ちます。
ベンツ: あなたとあなたのチームは、詐欺の被害者について我々がどんなふうに話すか、その話し方を改善しようというキャンペーンを開始しました。実際、あなたは第一声で「それは詐欺ではなく、犯罪なのです」とおっしゃったことに気がつききました。詐欺の被害者について昔から言われてきたのはどんなことで、彼らについて語る場合にもっと適した方法は何でしょうか?
ストークス: 「なんてこった、あなたがそんなことに引っかかったなんて信じられない」、あるいは「どうして彼らはそんなに愚かなのか? あれは明らかに詐欺だった」、あるいは「彼らは欺かれた」「だまし取られた」「詐欺にひっかかった」「詐欺にはまった」などの言葉を使って、私たちの社会は詐欺の被害者を責める傾向があります。私たちがこれらの言葉を言うとき、私たちは本質的に、あなたが無知だったことやあなたが何かしなかったことで被害に遭ったと言って、被害者を責めているのです。そして、私たちはそれを犯罪だとさえ思っていません。人々はさらに多くの取り組みを始めていますが、間違った場所に焦点を当てています。諸悪の根源として対処すべきは加害者です。非難すべきは、これらすべての背後にある多国籍犯罪集団やマネーロンダリング業者や資金移動屋たちであり、犯罪として追及すべきです。ところが、私たちはこうした問題は高齢者にしか起こらない、なぜなら彼らは認知機能の低下のせいで犠牲になるのだと信じて、自分には決して起こらないと思って、こうした詐欺を犯罪の中で優先順位の低い位置に放置してきました。その結果、今日米国で起きている最大の犯罪は詐欺である、と私は述べておきます。
アーノット: この仕事を続けてこられて、ご自身のお金に関してどのように扱うか、またはこの種の犯罪を避けるために取った措置について、何か変化したことはありますか?
ストークス: どんなことを注意すべきかを知っているので、かなり準備ができていると感じます。何よりも、犯罪者が得ようとしているのは感情的な反応です。しかし、だからといって、必ずしもすべてを把握する必要があるわけではありません。詐欺対策において本当に重要な情報は、教育が欠かせないということです。私たちはこの犯罪から逃れる方法を教育することはできませんが、祖父母への孫を詐称する詐欺や投資詐欺など、特定の詐欺スキームについて知識があれば、その詐欺の試みに関与する可能性が80%低くなることを示すデータがあります。ですから、そのようなケースでは知識が大きなに力になります。
ベンツ: キャシーさん、今回のお話では新たな知見を得ることができ、とても価値のあるインタビューになりました。貴重なお考えをお聞かせいただき、どうもありがとうございます。
ストークス: お招きいただき、どうもありがとうございました。本当に感謝しています。
アーノット: キャシーさん、どうもありがとうございました。
※ 本稿はMorningstarによるキャシー・ストークス氏へのインタビュー「The Long View」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。翻訳と原本に差異がある場合は原本の内容が優先されます。インタビューの原本(英語)とポッドキャストへのリンクはこちら(Kathy Stokes: How to Protect Yourself from Investment Fraud ’ Morningstar からご覧いただけます。
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サイバー事案に関する通報・相談・情報提供窓口
【消費者庁】
消費者ホットラインは188 消費者ホットライン ’ 消費者庁
【政府広報オンライン内の啓蒙記事】
投資詐欺にご注意を 気をつけるべき6つのポイント。相談窓口もご紹介。
※ 本稿は情報提供のみを目的としており、特定の投資対象・投資資産などを推奨するものではありません。投資は個人の責任において行ってください。


