市場は決して静止しない。地政学的な情勢は一夜にして変化し、経済は警告なく方向を変え、投資家心理は一瞬にして真逆に変わることもある。
2026年を迎えるにあたって、多くの投資家は明確に描かれた未来予想図を手にして安心したいだろう。「確かな予測」は、誰にとっても魅力的である。しかし実際には、将来について断定的な予測を試みることは、かえって弊害をもたらす可能性が高い。
2025年を例に考えてみよう。市場とは、どんなに大規模な調査・研究を重ねたとしても、予測者を謙虚にさせる(つまり、予測を見事に裏切る)性質を持っている。
以下の図表は、2025年の米国株式についてウォール街のほとんどの企業が、当初は高い期待を示す予測をし、4月にドナルド・トランプ大統領の関税方針を受けて目標を引き下げ、その後数か月の間に株価が回復するにつれて再び目標を引き上げた様子を示している。
The Forecast Trap: 2025 Price Target Changes From Wall Street Firms
これらの予測を鵜吞みにして追いかけた投資家は、まさに私たちが避けようとしている――高値で買い、安値で売る――という結果をみずから招いてしまったはずだ。
だからこそ、「モーニングスターの2026年アウトルック」は予測ではなく、準備に関するものとなっている。
「モーニングスターの2026年アウトルック」が示す、投資家への3つの重要な示唆
2026年の展望について、全体をいくつかのポイントに要約することはほぼ不可能だが、特に筆者の印象に残った考え方を紹介したい。
1. 投資を成功させるには、独自の視点が不可欠である
多くの投資家は、最近好調な投資対象に惹かれる。しかし、市場は往々にして、他者が踏み込まない道に進む投資家に報いるものである。最良の投資機会は、人気を失った資産、あるいはモーニングスターの用語で言えば、独立した適正価値推計値に対して割安で取引されている資産に見出される。人々が注目する資産を無視して、こうした資産へ投資するのは不安なことだが、リターンの向上につながる可能性がある。
2. 市場はサイクルを描いて変動する傾向がある
すべての好況の内側には、衰退の種が潜んでいる。投資家があらゆるリスクを無視して上昇しか見ない時期があれば、その後には真逆の状況が訪れるのが常である。経済サイクルのリズムを理解するための深い考察は、群集心理に流されることを防ぎ、強力な優位性をもたらしてくれる。
3. 自分の目的に合ったポートフォリオでなければ意味が無い
ポートフォリオは投資リターンを追求するだけでなく、好況でも不況でも常に自分の投資目的に応えるものである必要がある。そのためには、予測不可能な様々な市場の荒波に耐えられる構成でなければならない。特に、(投資を継続できる期間が短くなり)失敗を挽回する機会が限られる退職後は、この点は極めて重要になる。 ◇
今後も注目!:モーニングスターの2026年見通し
モーニングスターのアウトルックに関連して今後も記事の中で、より深く様々な角度から考えてみたいと思います。各記事では、2026年以降に投資家が直面する主要な課題について取り上げていく予定です:
AI拡大競争:予期せぬ大規模な拡充
チャットボットが大流行しているが、その先を見据えて超巨大テクノロジー企業はグローバルなAI関連インフラ投資の急増を牽引している。設備投資は現在、エネルギー産業など既存のセクター全体の支出を上回るほどに拡大している。AI関連投資の規模やリスク、高騰した評価額への圧力から、投資家が既にどれほどどっぷりとAI関連投資に関与しているかが明らかとなり、ポートフォリオ内で適切なバランスを保つことが重要な課題となっている。
マグニフィセント7を超えて:市場リーダーシップの再考
米国市場のリターンを牽引してきたのは、きわめて少数の超大型企業の株式であったが、その結果、投資家のポートフォリオは(銘柄やセクターの)集中リスクに晒されている。だからこそ、これらの超巨大企業以外に視線を向けて投資機会について検証する。
インカム投資:利回りは回復したが、リスクは依然として残っている
金利の上昇により、債券と株式の両方でインカム機会が再び生まれた。しかし、全てのインカムがこのまま続いていくわけではない。持続可能なインカムを獲得するには、インフレや信用スプレッドの縮小、価格変動リスクへの対応が不可欠である。
不確実性への対応:過剰反応せずに備える
市場は依然として予測不可能な状況が続いている。2026年には、関税問題、中央銀行の政策転換、地政学的緊張といった新たな課題が生じる可能性がある。将来どのような状況が待ち受けているかは分からないからこそ、成功を収めるための重要な投資戦略と行動指針について確認しておこう。
ドル安の背景:グローバル投資家にとっての意味
長年にわたって強かった米ドルが弱含みとなり、通貨エクスポージャーとグローバルな資産配分の見直しが促されている。海外市場はより割安な投資機会と分散投資の場を提供するが、必ずついてくる為替変動に備えるには、コストやリスク、地域ごとの動向に細心の注意を払う必要がある。
米国の展望:ますます身近になるプライベート資産への誘惑
公開市場が縮小し、プライベート(非公開)資産が拡大する環境で、投資家はポートフォリオ構築の見直しを進めている。非公開の株式・債券やそれらの企業への融資などが、セミリキッド・ファンドなどの仕組みや年金運用を通じて、より身近なものになってきている。リターン向上の可能性が無いわけではないが、高いコスト、不透明な情報開示、流動性の欠乏が潜在的に伴う投資であることを意識して、きわめて慎重に検討する必要がある。
どんな市場局面でも、モーニングスターは投資家を支え続け、ともに歩みます
モーニングスターは40年以上にわたり、あらゆる市場の局面——好況期、バブル期、不況期——で投資家を支え続けてきました。2026年がどんな年になったとしても、投資家の前途に何も立ちはだかることがないよう、モーニングスターは引き続き投資家とともに歩み支えて参ります。◇

