モーニングスターがメダリスト・レーティングの評価手法の変更を発表: よりシンプルに、より分かりやすく

運用費用評価の基準をより明確化、評価アルゴリズムの構成を合理化。

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モーニングスターでは、12月4日にファンド評価「モーニングスター・メダリスト・レーティング」の評価手法をより簡素化することを発表しました。

※本稿は、マネジャーリサーチ部門グローバルヘッドLaura Luttonによる変更の趣旨やポイントの解説を、日本の同部門ディレクター元利大輔が翻訳し、日本の状況なども付加したものです。

「モーニングスター・メダリスト・レーティング」とは?

モーニングスター・メダリスト・レーティングは、投資信託やETFなどの運用商品に対する将来の見通しを勘案した評価です。メダリスト・レーティングでは、市場のあらゆる局面を通じて同一分類内のベンチマークを上回る運用成果を生み出すとモーニングスターが考えるファンドに対して、「金 (Gold)」、「銀 (Silver)」、「銅 (Bronze)」の高評価を付与します。2025年11月時点で、モーニングスターでは世界35万以上のシェアクラスに対して、メダリスト・レーティングを付与しています。

現在、メダリスト・レーティングを算出するにあたり、モーニングスターのアナリスト(アナリストによる当該ファンドのカバレッジがない場合はアルゴリズム)は、超過収益の可能性を判断するために3つの評価軸に関して評価をしています。

3つの評価軸とは、「運用担当者 (People)」、「運用プロセス (Process)」、「運用会社 (Parent)」です。「運用担当者」では、ファンドの重要な投資判断を行う運用責任者やアナリストを評価します。「運用プロセス」では、運用戦略の有効性や再現性を評価します。「運用会社」では、運用会社がファンドの投資家の利益を自社の利益よりも優先しているかどうかを評価します。

モーニングスターは、これら3つの評価軸に関する定性・定量の両面からの評価と運用費用を考慮し、当該ファンドがカテゴリ(分類)指数を上回る可能性を総合的に判断し、「金 (Gold)」、「銀 (Silver)」、「銅 (Bronze)」、「中位 (Neutral)」、「下位 (Negative)」の5段階のレーティングを付与しています。

メダリスト・レーティングの何が変わるか?

2026年4月に、ファンドの運用費用に関する評価、および最終的なメダリスト・レーティングの算出方法をより分かりやすくするため、いくつかの変更を実施します。また、アナリストによる評価が行われない評価軸にて用いられるアルゴリズムの構成等も変更します。

具体的には、以下の通りです:

  • レーティング算出構造の簡素化
  • カテゴリ内での相対評価アプローチの採用
  • 新たな定量評価手法の導入
  • 固定された評価基準によるレーティング付与

変更点を以下で詳しく説明する前に、変更されない点をお伝えします。モーニングスターでは引き続き、世界約130名のアナリストが、これまで数十年にわたり用いてきた透明性の高い手法を用い、3,200以上の運用戦略の3つの評価軸について定性評価を行ます。

アナリストは、明確なルールに従って評価を行い、その評価内容は記録され、他のアナリストによるレビューも受けています。この仕組みにより、どのファンドが質の高い投資を行っているか、そして今後も良好な運用が期待できるかを、一貫した基準で判断できます。

レーティング算出構造の簡素化

メダリスト・レーティングをよりシンプルにすることで、同じカテゴリの他ファンドと比べた時に、将来の運用成果を決める要素がはっきりと見えるようになります。これにより、どのファンドがカテゴリ平均を上回る可能性が高いかを浮き彫りにします。

引き続き、運用担当者、運用プロセス、運用会社の3つの評価軸レーティングは、「高 (High)」「平均以上 (Above Average)」「平均 (Average)」「平均以下 (Below Average)」「低 (Low)」の5段階で表示します。

さらにファンド評価をより強固なものとするために、ファンドの運用費用が投資家にとって優位となるか、あるいは逆風となるかを示す「メダリスト・レーティング運用費用スコア」をマイナス2.5からプラス2.5の範囲で表示いたします。この運用費用スコアは、運用費用の低いファンドの評価を高め、運用費用の高いファンドの評価を下げることで、投資家の皆様により良い投資判断をしていただけるようにしています。なぜなら、運用費用は将来のパフォーマンスを予測する上で最も重要な指標の一つだからです。

新たな算出手法では、各評価軸にシンプルな比重を設定し、それらを合計することでファンドのメダリスト・レーティングを決定いたします。アクティブ運用ファンドとパッシブ運用ファンドでは、運用の目的や運用成果の出し方が異なるため、評価軸ごとの比重が変わります。

新たなメダリスト・レーティングにおける評価項目の比重

この図は新たなモーニングスター・メダリスト・レーティングの評価項目の比重を表したものです。新たな手法では、各評価項目に比重を定め、それらを合計することでファンドのメダリスト・レーティングを決定します。アクティブ運用ファンドとパッシブ運用ファンドでは、運用手法や運用成果の出し方が異なるため、要素の重み付けが異なります。

米国大型グロース株式ファンドのいくつかのシェアクラスについて、評価軸レーティングと運用費用スコアがどのように表されるか、例として以下に示します。

カテゴリ内での相対評価アプローチ

従来の評価方法では、カテゴリ内の全ファンドがモーニングスターが設定したベンチマーク指数を上回ることを目指しているという前提に基づいていました。新たなメダリスト・レーティングでは、過去にファンドがカテゴリ指数に対してどれだけ超過収益(アルファ)を上げてきたかという点を、レーティング算出の要素から除外します。

アロケーション型ファンド、コア以外の株式ファンド、および債券ファンドのカテゴリにおいて、カテゴリ指数における資産配分、セクター比率などは、そのカテゴリ内での典型的なファンドのものとは大きく異なることがしばしばあります。そのため、カテゴリ指数との比較は、同じカテゴリ内の他ファンドとの比較ほど重要ではありません。したがって、新たな評価方法では、カテゴリ指数ではなく、同じカテゴリ内のファンド平均と比較してメダリストを評価します。

より明確な入力項目

2025年11月21日時点で、約17万5,000本のファンドおよびETFのシェアクラスがメダリスト・レーティングを付与されていますが、そのうち約15万本はアナリストによる直接評価ではなく、少なくとも1つの評価軸レーティングはアルゴリズムが付与したものとなっています。従来のアルゴリズムの手法では、機械学習モデルを用いてアナリストの定性評価を模倣し、評価軸レーティングを算出しています。このモデルは良好なパフォーマンスが見込まれるファンドを効果的に特定しますが、機械学習モデルの性質上、どのデータ項目がファンドのメダリスト・レーティングに影響を与えたかを特定することが難しくなっています。

2026年4月より、アルゴリズムによる評価軸レーティングの算出では、より明確で透明性の高いデータ項目を用います。これらは、モーニングスターのアナリストが各評価軸をどのように評価するかをふまえた、シンプルなデータ項目です。例えば、運用担当者の評価軸においては、アナリストはファンドマネジャーの経験に着目します。

今回、新たなデータ項目「ファンドマネジャー成功経験値」(※)がモデルに追加され、キャリアを通じて優れた運用実績を積み重ねてきた運用担当者が運用するファンドか否かを測定します。これが運用担当者の評価軸レーティングの土台となります。日本でも、ファンドマネジャー情報の開示が進むことにより、この評価項目がより精緻なものとなり、投資家により有益な情報がもたらされることが期待されます。

アクティブ・ファンドの運用プロセス評価において、アルゴリズムではインフォメーション・レシオ、すなわちベンチマークに対する超過リターンをトラッキングエラーで割った値を用います。さらに、運用プロセス評価には、スタイル・ドリフト(投資スタイル特性の変遷)やボラティリティ(価格変動性)を測定するデータに加え、運用会社レベルで同一資産クラス内で過去においてアウトパフォーマンスを達成した実績も含まれます。

アルゴリズムによる運用会社評価は、運用会社の全ファンドについて、運用費用、各ファンドのファンドマネジャーの担当期間、定着率、運用実績、ならびに存続率と償還率を考慮します。

パッシブ・ファンドの場合、メダリスト・レーティングの決定において、運用プロセス評価が最も重要な要素となります。アルゴリズムにより運用プロセス評価を求める際には、カテゴリ内におけるパッシブ運用のアクティブ運用に対する優位性、カテゴリ指数に対する超過リターンの変動性(トラッキングエラー)、保有上位銘柄への集中リスクなどが重点的に分析されます。

このようにアルゴリズムによる算出方法を明確にすることで、ファンドのメダリスト・レーティングの算出に際し、どのデータがどのように寄与したかをより容易に特定できるようになります。データ表示やレポートにおいては、アルゴリズムの評価軸に上付き文字のQを付記する方式を継続します。

(※)ファンドの運用担当者(ファンドマネジャー)の成功経験値を、運用担当期間で加重平均した数値。各マネジャーの成功経験値は、過去10年間で運用費用控除前のリターンがカテゴリ指数を上回った月数から、下回った月数を差し引いて算出される。

固定された評価基準によるレーティング付与

従来の手法では、メダリスト・レーティングを決定する際に、一定の分布に従う形で評価を割り振っていました。この方法では、各カテゴリにおける金、銀、銅の評価を得るファンド数が制限されていました。今回、分布による手法を廃止し評価閾値を導入します。新しい手法では、アルゴリズムによる評価軸で用いられる長期的なデータの性質なども含め、より安定したレーティングが実現されることが見込まれます。新たに導入される閾値のアプローチにより、より評価が長期的に安定したものとなることが見込まれます。

投資家の皆様はご自身のファンドのメダリスト・レーティングを注視し、レーティングが変わると、なぜ変わったのか疑問に思われることでしょう。今回の変更により、他のファンドの状況によって自分のファンドのレーティングが変動していた分布手法を廃止することで、レーティングの安定性が向上します。

変更時期

新たな手法は2026年4月に導入する予定です。ファンド間で比較可能なものとするため、新たな固定化された評価基準に基づく評価を全ファンドに一括適用します。 現在レーティングを付与されているファンドに新たな評価基準を適用した場合、現行の評価手法と比較して、銅、中位、下位の評価が減少する一方、金および銀の評価が、世界全体で増加する見込みです。ただし、金、銀、銅の評価を獲得することが容易になるという意味ではありません。現在レーティングを付与されているファンドのうち、新しい手法でメダル(金、銀、銅)を獲得できるのは30%未満になる見込みです。

メダリスト・レーティングのグローバル分布:新メソドロジーと現行メソドロジーとの比較

より詳細な情報

メソドロジーについての詳細は、メソドロジーの詳細とデータ定義(英語)をご確認ください。また、今後のウェビナー(英語)にて、モーニングスターのアナリストに直接ご質問いただくことも可能です。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針