テーマ型ファンド、残高は回復の兆しも資金は流出

テーマ型ファンドの最新動向2026年

Collage illustration of a robot and a semiconductor inside a pie chart, with graphical elements in the background.

テーマ型ファンドとは、AIやデジタル化、人口動態など中長期的な構造変化を捉えることを目的に、それらに関連する企業へ投資するファンドです。特定の国や特定の業種に投資するファンドとは異なり、テーマに基づく投資意図を明確にしているファンドと定義します。例えば、AI関連ファンドはテーマ型に分類されますが、インド株ファンドや半導体関連ファンドは、必ずしもテーマ型とは位置づけられないということです。

このように定義されたテーマ型ファンドは、コロナショック後の世界的な株式市場の上昇も追い風となり残高を拡大し、2021年には純資産総額が10兆円を超える水準に達しました。しかし、その後は市場環境の変化とともに減少に転じ、足元では回復の兆しが見られるものの、依然としてピーク水準には達していません。

テーマ型ファンドの残高推移(兆円)

本記事では、モーニングスターのテーマ型ファンドに関する最新のレポートにもとづき、その動向を見ていきます。

※ 本稿の基となるレポート全文は以下のリンクからダウンロードしていただけます。

中核は依然テクノロジーだが、その中身は変化が進む

資金動向を見ると、2022年以降はテーマ型ファンドは全体として資金流出基調となっており、資金流入に転じる局面は限られています。一方で、株式市場の回復を背景に残高は足元で持ち直しつつあり、また新規設定も徐々に増えています。2026年は年初から複数のファンドが設定されるなど、新たなテーマ型ファンドの供給は続いています。

テーマ別にみると、日本市場ではテクノロジー関連が長年にわたり中心的なテーマです。デジタル経済、ロボティクス・自動化、AI・ビッグデータなどのテクノロジー・テーマがテーマ型ファンド市場の残高の大部分を占めています。

しかし、これらのテクノロジー・テーマの中では、時と共に流行は変わります。以前は圧倒的な存在感を示したロボティクス・自動化は一度シェアを落とし、デジタル経済が拡大しました。しかし足元では、生成AIの応用が現実世界に広がる「フィジカルAI」への関心を背景に、ロボティクス関連テーマが再び存在感を高めつつあります。

主要テクノロジー・テーマの残高シェア

資金は新しいテーマへ

直近の資金動向を見ると、さらに多くの変化が見られます。過去1年では、宇宙、ナノテクノロジー、新素材、セキュリティなど比較的新しいテーマを持つファンドに資金が流入しました。一方で、デジタル経済などの既存の大型テーマからは資金流出が目立っています。

現在の市場では、引き続き従来の大型テーマが大きな資産残高を有する一方、投資家の資金は新しいテーマに向かっています。このことからも、テーマ型ファンドの中でも、流行が変わっていることがうかがえます。

テーマ別資金純流出入上位/下位(億円)

同様の傾向は、より細分化したサブテーマでも確認されます。インターネットや通信インフラ、ブランドなど成熟した分野は依然として大きな残高を維持していますが、資金フローの面ではこれらのファンドから流出が続いています。一方で、新素材やブロックチェーンなど新しい分野には資金が流入しています。

サブテーマ別資金純流出入上位/下位(億円)

長期投資では慎重な視点が不可欠

成長ストーリーに魅力を感じ、テーマ型ファンドへの投資を検討する方も多いかもしれません。一方で、注意すべき点もあります。

テーマ型ファンドは市場環境によって短期的に高いリターンを示すことがありますが、長期的に見れば状況は異なります。市場を上回る成果を継続し、かつ存続するファンドは多くありません。

また、テーマ型ファンドは一般のファンドと比べて運用コストが高い傾向があります。これは、多くがアクティブ運用であることが一因です。このコスト水準が、長期的なパフォーマンスを維持する難しさにつながっている可能性もあります。

さらに、テーマ型投資では「人気テーマへの追随」という形で投資タイミングが遅れ、結果としてパフォーマンスを後追いするリスクもあります。

投資に際しては、テーマの内容や背景を理解したうえで、コスト水準も踏まえ、長期的な視点で判断することが重要になります。◇

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針